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■雑談ネタにもならない雑学 ♯01

2023-06-03 21:00:00 | 日記

 『不思議の国のアリス』
Alice's Adventures in Wonderland)

 イギリスの数学者チャールズ・ラトウィッジ・ドドソンがルイス・キャロルの筆名で書いた児童小説。(1865年刊行)

 幼い少女アリスが白ウサギを追いかけて不思議の国に迷い込み、しゃべる動物や動くトランプなどさまざまなキャラクターたちと出会いながらその世界を冒険するさまを描いている。


 キャロルが知人の少女アリス・リデルのために即興でつくって聞かせた物語がもとになっており、キャロルはこの物語を手書きの本にして彼女にプレゼントする傍ら、知人たちの好評に後押しされて出版に踏み切った。
 1871年には続編として『鏡の国のアリス』が発表されている。

 『アリス』の本文には多数のナンセンスな言葉遊びが含まれており、作中に挿入される詩や童謡の多くは当時よく知られていた教訓詩や流行歌のパロディとなっている。
 イギリスの児童文学を支配していた教訓主義から児童書を解放したとして文学史上確固とした地位を築いているだけでなく、聖書やシェイクスピアに次ぐといわれるほど多様な言語に翻訳され、引用や言及の対象となっている作品である。
 本作品に付けられたジョン・テニエルによる挿絵は作品世界のイメージ形成に大きく寄与しており、彼の描いたキャラクターに基づく関連商品が数多く作られるとともに、後世の『アリス』の挿絵画家にも大きな影響を及ぼしている。
 ディズニーのアニメーション映画『ふしぎの国のアリス』(1951年公開)をはじめとして映像化や翻案・パロディの例も数多い。

 ▼《成立

 『不思議の国のアリス』成立の発端は、作品出版の3年前の1862年7月4日にまで遡る。
 この日キャロル(ドドソン)は、かねてから親しく付き合っていたリデル家の三姉妹、すなわちロリーナ(Lorina Charlotte Liddell、13歳)、アリス(Alice Pleasance Liddell、10歳)、イーディス(Edith Mary Liddell、8歳)、それにトリニティ・カレッジの同僚ロビンスン・ダックワースとともに、アイシス川をボートで遡るピクニックに出かけた。
 この行程は、オックスフォード近郊のフォーリー橋から始まり、5マイル離れたゴッドストウ村で終わった。
 その間キャロルは少女たち、特にお気に入りであったアリスのために、「アリス」という名の少女の冒険物語を即興で語って聞かせた。
 キャロルはそれまでにも彼女たちのために即興で話をつくって聞かせたことが何度かあったが、アリスはその日の話を特に気に入り、自分のために物語を書き留めておいてくれるようキャロルにせがんだ。
 キャロルはピクニックの翌日からその仕事に取り掛かり、8月にゴッドストウへ姉妹と出かけた際には物語の続きを語って聞かせた。
 この手書きによる作品『地下の国のアリス』が完成したのは1863年2月10日のことであったが、キャロルはさらに自分の手で挿絵や装丁まで仕上げたうえで、翌1864年11月26日にアリスにこの本をプレゼントした。
 さらにこの間、キャロルは知己であり幻想文学・児童文学の人気作家であったジョージ・マクドナルドとその家族に原稿を見せた。マクドナルド夫妻は手紙で、作品を正式に出版することをキャロルに勧め、また夫妻の6歳の息子グレヴィルが「この本が6万部あればいいね」と言ったことがキャロルを励ました。
 こうしてキャロルは出版を決意し、『地下の国のアリス』から当事者にしかわからないジョークなどを取り除き、「チェシャ猫」や「狂ったお茶会」などの新たな挿話を書き足して、もとの18,000語から2倍ちかい35,000語の作品に仕上げ、タイトルも『不思議の国のアリス』に改めた。
 出版社は1863年末にロンドンのマクミラン社と決まった。マクミラン社は当時、自社で出したばかりのチャールズ・キングスレーの児童書『水の子どもたち』が好評を得ていたため、キャロルの物語に興味を示したものと思われる。
 挿絵は『パンチ』の編集者トム・テイラーの紹介によって、同誌の看板画家ジョン・テニエルに依頼された。挿絵にこだわりを持っていたキャロルはテニエルと何度も連絡をとり、細かい注文をつけてテニエルを閉口させたが、二人のやりとりのあとを示す書簡は今日では残っていない。

 ▼《ストーリー概要

〔第1章 ウサギ穴に落ちて〕

 ある日、アリスは川辺の土手で読書中の姉の傍で退屈を感じながら座っていた。
 すると、そこに服を着た白ウサギが、人の言葉を喋りながら通りかかる。驚いたアリスは、白ウサギを追いかけて、ウサギ穴に落ち、さまざまなものが壁の棚に置いてあるその穴を長い時間をかけて落下する。
 着いた場所は、広間になっていた。アリスは、そこで金の鍵と通り抜けることができないほどの小さな扉を見つける。その傍には不思議な小瓶があり、それを飲んだアリスはみるみる小さくなる。
 しかし、今度は鍵をテーブルに置き忘れて、取れなくなってしまう。

〔第2章 涙の池〕

 次に、アリスは、不思議なケーキを見つける。しかし、それを食べると、今度は身体が大きくなりすぎてしまい、部屋から出られなくなった。困ったアリスは泣き出し、その大量の涙で池が出来てしまう。アリスは、白ウサギが落としていった扇子の効果で再び小さくなるが、足を滑らせて自分の作った池にはまり込む。そこにネズミをはじめとして、さまざまな鳥獣たちが泳いで集まってくる。

〔第3章 コーカス・レースと長い尾話

 アリスと鳥獣たちは、岸辺に上がり、体を乾かすために「コーカス・レース」という、円を描いてぐるぐるまわる競走を行う。
 それから、アリスはネズミにせがんで、なぜ彼が犬や猫を怖がるのかを話してもらう。
 この話に対して、アリスは、飼い猫のダイナの自慢話を始めてしまう。そして、この猫がネズミも鳥も食べると聞いた動物たちは、逃げ去ってしまう。

〔第4章 白ウサギがちびのビルを使い出す〕

 一人になったアリスのもとに白ウサギが戻ってきて、アリスをメイドと勘違いして自分の家に使いに行かせる。
 そこで、アリスは、小瓶を見つけて飲んでしまい、この効果で再び身体が大きくなり、部屋の中に詰まってしまう。
 白ウサギは、「トカゲのビル」を使ってアリスを追い出そうとするが、失敗に終わる。
 その後、白ウサギたちは、家のなかに小石を投げ入れた。この小石が体を小さくさせるケーキに変わったため、アリスは再び小さくなって家から出られるようになる。

〔第5章 イモムシの助言〕

 アリスは、動物たちや大きな子犬から逃れて、森に入った。そこで、キノコの上で大きなイモムシに出会う。イモムシは、ぞんざいな態度でアリスにあれこれ問いただした後、キノコの一方をかじれば大きく、反対側をかじれば小さくなれると教えて去る。アリスは、キノコを少しずつかじり調節しながら元の大きさに戻る。次に、小さな家を見つけ、そこに入るために小さくなるほうのキノコをかじる。

〔第6章 豚とコショウ〕

 その家は公爵夫人の家であり、家の前ではサカナとカエルの従僕がしゃちほこばった態度で招待状のやり取りを行っている。家の中には、赤ん坊を抱いた無愛想な公爵夫人、やたらとコショウを使う料理人、それにチェシャ猫がいた。
 料理人は、料理の合間に手当たり次第に、赤ん坊にものを投げつける。
 アリスは、公爵夫人から赤ん坊を渡されるが、家の外に出るとそれは豚になって森に逃げていく。
 アリスが森を歩いていくと、樹上にチェシャ猫が出現し、アリスに三月ウサギと帽子屋の家へ行く道を教えたあと、「笑わない猫」ならぬ「猫のない笑い」(a grin without a cat) を残して消える。

〔第7章 狂ったお茶会〕

 三月ウサギの家の前に来ると、そこでは三月ウサギ、帽子屋、ネムリネズミがテーブルを出して、終わることのないお茶会を開いている。
 帽子屋は、同席したアリスに答えのないなぞなぞをふっかけたり、女王から死刑宣告を受けて以来時間が止まってしまったといった話をしたりする。
 しかし、アリスは、好き勝手に振舞う彼らに我慢がならなくなり、席を立つ。
 すると、近くにドアのついた木が見つかった。入ってみると、アリスが最初にやってきた広間に出る。
 そこで、アリスは、キノコで背を調節し、金の鍵を使って、今度こそ小さな扉を通ることができる。

〔第8章 女王陛下のクロッケー場〕

 通り抜けた先は美しい庭で、そこでは手足の生えたトランプが庭木の塗り替えをしている。
 そこにハートの王と女王たちが兵隊や賓客をともなって現われる。癇癪持ちの女王は、庭師たちに死刑宣告をした後、アリスにクロッケー大会に参加するよう促す。
 しかし、そのクロッケー大会は、槌の代わりにフラミンゴ、ボールの代わりにハリネズミ、ゲートの代わりに生きたトランプを使っているので、すぐに大混乱に陥る。そこに、チェシャ猫が空中に頭だけ出して出現し、女王たちを翻弄する。
 しかし、女王が飼い主の公爵夫人を呼び出すころには、チェシャ猫は再び姿を消している。

〔第9章 代用ウミガメの話〕

 やってきた公爵夫人は、なぜか上機嫌で、アリスが何かを言う度に、教訓を見つけ出して教える。
 女王は、公爵夫人を立ち去らせ、クロッケーを続けようとする。しかし、参加者に次々と死刑宣告をしてまわるので、ついに参加者がいなくなってしまう。
 女王は、アリスに代用ウミガメの話を聞いてくるように命令し、グリフォンに案内をさせる。アリスは、代用ウミガメの身の上話として、彼が本物のウミガメだったころに通っていた学校の教練について聞かされる。

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 なお、この教練は、キャロルの言葉遊びによってでたらめな内容になっている。
 たとえば、読み方 (Reading) ではなく這い方 (Reeling)、絵画 (Drawing) ではなくだらけ方 (Drawling) などである。

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〔第10章 ロブスターのカドリール〕

 しかし、グリフォンが口をはさんだので、今度は遊びの話をすることになる。代用ウミガメとグリフォンは、アリスに「ロブスターのカドリール」のやり方を説明し、節をつけて実演してみせる。そのうち裁判の始まりを告げる呼び声が聞こえてきたので、グリフォンは、唄を歌っている代用ウミガメを放っておいて、アリスを裁判の場へ連れてゆく。

〔第11章 誰がタルトを盗んだ?〕

 玉座の前で行われている裁判では、ハートのジャックが女王のタルトを盗んだ疑いで起訴されており、布告役の白ウサギが裁判官役の王たちの前でその罪状を読み上げる。
 アリスは、陪審員の動物たちに混じって裁判を見物する。
 しかし、その間に自分の身体が勝手に大きくなりはじめていることを感じる。裁判では、証人として帽子屋、公爵夫人の料理人が呼び出され、続いて3人目の証人としてアリスの名が呼ばれる。
 アリスは、何も知らないと証言する。しかし、王たちは新たな証拠として提出された詩を検証して、それをジャックの有罪の証拠としてこじつける。
 アリスは、裁判の馬鹿げたやり方を非難しはじめ、ついに「あんたたちなんか、ただのトランプのくせに!」と叫ぶ。すると、トランプたちはいっせいに舞い上がってアリスに飛びかかる。
 
 アリスが驚いて悲鳴をあげると、次の瞬間、アリスは、自分が姉の膝を枕にして土手の上に寝ていることに気がつく。
 自分が夢を見ていたことに気づいたアリスは、姉に自分の冒険を語って聞かせた後で、走り去ってゆく。
 一人残った姉は、アリスの将来に思いを馳せる。

 ▼関連項目ー不思議の国のアリス症候群(アリス症候群)

 不思議の国のアリス症候群
(Alice in Wonderland syndrome、AIWS/アリス症候群)

 知覚された外界のものの大きさや自分の体の大きさが通常とは異なって感じられることを主症状とし、様々な主観的なイメージの変容を引き起こす症候群である。
 この症候群の名前は、ルイス・キャロルの児童文学『不思議の国のアリス』で薬を飲んだアリスが大きくなったり小さくなったりするエピソードに因んで、1955年にイギリスの精神科医トッド(John Todd)により名付けられた。

 《症状

 典型的な症状は、眼に障害がなく外界が通常と同じように見えていると考えられるにもかかわらず、一方では主観的にそれらが通常よりも極めて小さな、または大きなものになったように感じられたり、ずっと遠く、あるいは近くにあるように感じられたりする。
 例えば、子供が、自分の母親が自分より小さくなったように感じたり、蚊が数十 cm もあるように見えたりする。
 自分の体は逆にそれぞれ大きく、または小さくなったように思うこともある。  外界が小さく感じられるものを小視症(英語版)、大きく感じられるものを大視症(英語版)、ひずんで感じられるものを変視症(英語版) と呼ぶ場合もあるが、これらの呼称は眼底疾患など視覚そのもの障害による症状においても用いられている。
 この症状にはさまざまなバリエーションがある。
 対象や位置が限定されており、例えば、人の顔以外を見たときにのみこの現象が現れたり、視野の右半分だけが 2 倍の大きさになったように感じたり、テレビに全身が映った人物の顔と体の比率が歪み、何頭身であるかを認識できなくなったりする。
 大きさだけでなく色覚についても異常が起こることもあり、例えば自分の母親が緑色に見えたりする。
 また、この現象は視覚だけでなく時間の感覚に関して類似した現象が起こることもあり、時間の進み方が速くなったり遅くなったりしたように感じる人もいる。
 空中を浮遊するような感覚も特徴とし、現実感の喪失や離人症状も現れることがある。現象は数分で終わることが多いが、何日も継続する場合もある。

 この症状は、ヘルペスウイルス科の一種のエプスタイン・バール (EB) ウイルスの初期感染で引き起こされた中枢神経系の炎症での報告が多い。
 EBウイルスは、日本では子供のころにほとんどの人が感染するもので、おそらくこのために、子供のころ一過性のこの症状を体験した人は比較的多い。
 大人になっても不思議の国のアリス症候群を定常的にもつ人の多くは偏頭痛をもっている。
 また、他のウイルスによる脳炎、てんかん、統合失調症の患者からも報告されることがある。
 さらにある種の向精神薬によってもこの症状が現れることがある。またまれにうつ病の前触れとなったという報告もある。
 ルイス・キャロルは偏頭痛に悩んでいたことが知られており、彼自身がこの症状をはじめとする作品内のエピソードを体験していたかもしれないとする推測がある。
 このような症状がどのようにして起こるのかはまったく不明である。 症候群自体の認識が薄いこともあり、報告は多くない。
 EBウイルスに罹患した患者において、限定された画像法でのみ短期間で一過性の大脳皮質の広範囲の変異が認められたという報告があるが、限局した病巣を認めるような報告はなく、脳の広い範囲が関わっているものと示唆される。

  〔ウィキペディアより引用〕