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ダカーポ ♯006

2023-07-30 21:00:00 | Keyword/話題

 ■リノベーション

 よく“リノベーション住宅”という言葉を耳にしませんか?

 リノベーションとは、

 1.リフォームと比べて大規模な建物の改修のこと。
 英語のrenovationは建物の改修のこと(カタカナ語のリフォームとリノベーションを含む。)。

 2.英語でreformは改宗、
 心を入れ替えるという意味で建物の改修の意味にはあまり使われない。

 《概要》

 リノベーション住宅は戸建住宅のリノベーション物件と、マンションなど集合住宅のリノベーション物件に大きく分けられる。
 さらに、自分で中古住宅を購入してからリノベーションを行う場合と、あらかじめリノベーション工事が済んだ物件を購入する場合とがある。
 特に自分で中古住宅を購入してからリノベーションを行う場合、以下の様なメリットが挙げられる。

 自分の住み方に合わせて、自由に内装を設計できる

 新築に比べて費用を抑えられる

 都心部など人気が集中するエリアでも、中古物件なら残っている可能性が高い

 資産価値の面で見ると、購入時よりも物件の価値を上げることができる


  ★逆にデメリットとしては

 住むまでに時間を要する

 耐震性能などの検査が必要な場合がある(戸建住宅の場合)

 一般の住宅ローンでは、借入額に制限がかかる場合がある

 などが挙げられる。

 また、通常自分でリノベーションをする際には、リフォーム会社や設計事務所、不動産会社、金融機関など複数の会社に依頼する必要があり負担が大きい。
 ただし近年では、ワンストップでリノベーションのサービスを提供する、ワンストップリノベーション業者も増えている。
 ワンストップとは、ひとつの場所でさまざまなサービスが受けられるということを指す。
 ワンストップリノベーションにおいては、リフォーム会社や設計事務所、不動産会社、金融機関などの窓口をひとつに統一することができ、負担を軽減することができる。
 さらに独自ローンの適用などが行える場合もある。

 《リノベーションとリフォームの違い》

 リノベーションとリフォームは混同されやすい言葉である。

 どちらも住宅に手を加える点では同じだが、厳密にはその目的の部分で次のような違いがある。
 リフォームは「老朽化した建物を建築当初の性能に戻すこと」を指し、元に戻すための修復の意味合いが強い。
 古くなったキッチンを新しいものに変えることや、汚れた壁紙を張り替えるなどの小規模な工事は「リフォーム」に分類される。
 一方リノベーションは、修復だけでなく「用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりする」行為も含むため、より良く作り替えるという目的が含まれている。
 工事の規模も、間取りの変更を伴うような大規模なものを指すことが多い。 英語ではどちらも「renovation」であり、reformは住宅の改修という意味ではあまり使われない。

 《誤解され易い言葉》
      『イノベーション』

 イノベーション
(英: innovation)

 物事の「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。
 一般には新しい技術の発明を指すという意味に誤認されることが多いが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自律的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。
 つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。
 また、イノベーションは国の経済成長にも極めて重要な役割を果たす。

 ▼語源

 英語の「innovation」は動詞「innovate」(革新する・刷新する)に名詞語尾「-ation」が付いたもので、「innovate」はラテン語の動詞「innovare」(リニューアルする)の完了分詞形「innovatus」(リニューアルされたもの)から由来している。
 更に、「innovare」は「in-」(「内部へ」の方向を示す接頭辞)と動詞「novare」(新しくする)に分解される。
 動詞「novare」は形容詞の「novus」(新しい)から由来している。
 「innovation」という語自体の用例は1440年から存在するラテン語あるいはイタリア語の名詞である(シュンペーターは複数のヨーロッパ言語に堪能だった)。
 なお、「innovation」の訳語として日本語でよく使われる「技術革新」は、より近い意味の英語で「technical innovation」あるいは「technological innovation」と言うのが相応しく、誤訳とされることも多い。

 ▼定義

 イノベーションに関する文献の調査では、多種多様な定義があることが分かっている。
 2009年のBaregheh らの調査では、様々な科学論文で約60の定義があり、2014年の調査では40以上あることが判明した。
 イノベーションは、1911年に、オーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによって、初めて定義された。
 シュンペーターはイノベーションを、「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」と定義した。

 ▼日本での使われ方

 1958年の『経済白書』において、イノベーションが「技術革新」と翻訳紹介され、日本においてはこの認識が定着している。
 1958年は日本経済が発展途上であり、新技術の発見と技術の革新、あるいは技術の改良が死活的であり重要な時代だった。
 その後の成熟した日本経済においては、技術に限定しすぎた「技術革新」は、社会的なニーズを無視、軽視した技術開発を招き、新たな経済成長の妨げともなっている。
 イノベーションとは、経済成長を生み出すような社会的影響を及ぼすものを指す用語であり、技術革新だけでなく価値の創造と普及するものを指す。
 このため、「技術革新」は誤訳と批判されることもある。
 中小企業庁が発刊する『2002年版中小企業白書』では、「経営革新」にイノベーションの括弧書きをしている。
 2007年の『経済白書』においては、シュンペーターの定義に立ち返り、イノベーションを「新しいビジネスモデルの開拓なども含む一般的な概念」としている。
 たとえば、それまでの社会的な通念を覆すようなマーケティング・コンセプトも、社会通念と新たなコンセプトとの思ってもみない「新結合」だと考えれば、社会的なニーズをリードし、広告すら含めた一般的な経営上の創意工夫をイノベーションといえる。

 ▼分類

 イノベーションの分類方法は様々なものが知られている。

 ★新しい財貨すなわち消費者の間でまだ知られていない財貨、あるいは新しい品質の財貨の生産
  プロダクション・イノベーション

 ★新しい生産方法の導入
     プロセス・イノベーション

 ★新しい販路の開拓
    マーケット・イノベーション

 ★原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
 サプライチェーン・イノベーション

 ★新しい組織の実現
オルガニゼーション・イノベーション

 ▼種類

 イノベーションの種類を定義するいくつかのフレームワークが提案されている。

 ★持続的・破壊的イノベーション

 クレイトン・クリステンセンが提案した枠組みでは、持続的イノベーション (Sustaining innovation) と破壊的イノベーション (Disruptive innovation) の区別を行う。
 持続的イノベーションは、現在の顧客の既知のニーズ(例えば、より高速なマイクロプロセッサ、フラットスクリーンテレビ)に基づく製品またはサービスの改善である。
 一方、破壊的イノベーションとは、新しい製品やサービスが新しい市場(例えばトランジスタラジオ、無料のクラウドソーシング百科事典など)を生み出し、最終的に確立された競合他社を置き換えるプロセスを指す。
 クリステンセンによれば、ビジネスの長期的な成功には破壊的イノベーションが不可欠である。
 破壊的イノベーションは、多くの場合、破壊的なテクノロジーによって実現される。
 マルコ・イアンシティとカリム・R・ラカニは、基盤的技術は、長期的にグローバルなテクノロジーシステムの新しい基盤を作り出す可能性を秘めるものと定義している。
 基盤的技術は、長年にわたってまったく新しいビジネスモデルが出現するにつれて、ビジネスオペレーションモデルを変革する傾向があり、イノベーションが徐々に着実に採用され、技術や制度の変化の波が起こっていく。
 パケット交換通信プロトコルTCP/IPは、もともと米国国防総省の電子通信(電子メール)の単一のユースケースをサポートするために1972年に導入され、ワールドワイドウェブの出現で1990年代半ばになって広く採用された基礎技術である。

 ★4種類モデル 編集

 イノベーションマネジメントコースで共通して学習するもう一つのフレームワークは、ヘンダーソンとクラークによって提案されているものである。彼らはイノベーションを4つの種類に分けている。

 ・革新的イノベーション
   (Radical innovation)

 「新しいドミナントデザインを確立し、そしてそれゆえに新しいアーキテクチャ内で結び付けられたさまざまなコンポーネントに体現された、一連の新しい中核的設計概念を確立する。」

 ・漸進的イノベーション
  (Incremental innovation)

 「確立された設計を改良したり拡張したりするものである。そこでは、個々のコンポーネントは改良されても、その根底にある中核的設計概念やコンポーネント間の連携方法は変わらない。」

 ・アーキテクチャ・イノベーション 
  (Architectural innovation)

 「既存のコンポーネントを新しい方法で結び付けるための、既存システムの再構成。」

 ・モジュール・イノベーション    (Modular Innovation)

 「技術の中核的設計概念だけを変化させるイノベーション。」 ヘンダーソンとクラーク、クリステンセンが技術革新について語る一方で、サービスイノベーションや組織イノベーションなど、他の種類のイノベーションもある。


   〔ウィキペディアより引用〕

Wonder To Oneself ♯001

2023-07-29 21:00:00 | 千思万考

 『CTNRX的文學試行錯誤 ♯014』から。

 自問自答とは

 自分で自分に問いかけ、自分で答えること。
(情報元)

 その行為によって何が解かるのか。

 そして、何が視えるのだろう。

 質問という行動は、自他と共に大事なことです。
 自分を“知る”上では大切だと思います。
 この世の中は、情報量が膨大で、過多傾向にあります。
 そこは、大人は上手く間引きして、“要らない情報”、“要る情報”を選別しながら遣り過ごすのでしょう。
 でも、子供は違います。
 好奇心の塊ですから、良かろうが、悪かろうが、興味津々。
 手当たり次第、吸収しようとします。

 大人が知らない事でも、子供たちは感じとってしまいます。

 例えば、

 外務省のHPには『キッズ外務省』があり、そのカテゴリーの内に、“みんなの質問、素朴な疑問があります。

 質問内容ですが、

 Q.世界には何カ国の国がありますか?

  あなたは、答えられますか?

  キッズ外務省によると、

 A.196か国です。これは、現在、日本が承認している国の数である195か国に日本を加えた数です。
 最近では、ニウエ(2015年5月15日)、南スーダン(2011年7月9日)及びクック(2011年3月25日)を承認しました。

 子供たちとって、世界を見ているという質問でしたね。

 しかし、国を構成するためには「領土・国民・主権」が必要ですが、条件を満たしているにもかかわらず、独立を果たすことが出来ていない「未承認国家」がいくつもあり、2018年現在、日本が国家として認めていない国があります。
   〔情報元 : 外務省・キッズ外務省〕

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 じゃ、何故『未承認国』が存在するのでしょう?

 1カ国以上の国連加盟国から国家の承認を受けているが、日本国政府からは国家の承認を受けていない「独立国」や「主権実体」があり、また、過去の非承認国家で現在は国として承認している国もあります。

 さて、
 
 ■日本政府が何らかの外交関係を有する未承認国
 から始める事にします。

 ▼北朝鮮
(国家名称:朝鮮民主主義人民共和国)

 ・国連加盟国

 1948年に独立。1991年に大韓民国(韓国)と同時に国際連合へ加盟。
 2018年2月の時点で国連加盟192か国のうち164か国が国家承認しており、国際連合加盟国で日本が唯一未承認の国となっている。

 ▼パレスチナ・パレスチナ自治政府  
  (国家名称:パレスチナ国)

 ・国連総会オブザーバー国

 1988年にPLOが「パレスチナ国」として独立宣言するが、オスロ合意に基づいて1995年にパレスチナ自治区を統治するパレスチナ自治政府が発足。
 国際連合加盟国ではないが、国連総会オブザーバー国、及びにUNESCO正式加盟国である。
 2015年11月の時点で、国連加盟193か国のうち136か国が国家承認しており、他34か国と外交関係を結んでいる。
 日本政府は将来の承認を予定したパレスチナ自治政府として扱っている。

 ▼台湾(中華民国)

 ・国家承認を取り消した元国連加盟国

 日本は1952年に中華民国との国交を樹立。
 1972年9月29日、日中共同声明により中華人民共和国政府を「中国の唯一の合法政府」と承認して国交を樹立したことに伴い、中華民国政府との国交を断絶。  
 これによって双方の大使館等が閉鎖されたが、その代わりに民間レベルの交流・実務関係を維持するために、日台相互に非政府組織としての連絡機関を設置し、現在に至っている。

 ■日本政府が外交関係を一切有さない未承認国・主権実体

 ▼サハラ・アラブ民主共和国

 ・未承認国

 1976年に独立宣言。国連加盟193か国のうち、45か国から継続的に国家承認を受けている。
 日本政府はサハラ・アラブ民主共和国政府を政府として承認しておらず、両政府間の窓口となる関係機関も設置していない。

 ▼アブハジア共和国
 (ジョージア・アブハジア地域)

 未承認国 1992年に独立宣言。国連加盟193か国のうち、4か国から国家承認を受けている。
 日本政府は、アブハジア地域をジョージアの一部と認識している為、アブハジア共和国を国家承認せず、政府間の窓口となる関係機関も設置していない。

 ▼南オセチア共和国
  ( ジョージア・南オセチア地域)

 ・未承認国

 1991年に独立宣言。国連加盟193か国のうち、4か国から国家承認を受けている。
 日本政府は、南オセチア地域をジョージアの一部と認識している。
 その為、南オセチア共和国を国家承認せず、政府間の窓口となる関係機関も設置していない。

 ▼北キプロス・トルコ共和国
  (キプロス北部のトルコ系実効支配地域)

 ・未承認国

 1983年に独立宣言。国連加盟193か国のうち、トルコのみから国家承認を受けている。
 日本政府は、北キプロスが、キプロス共和国の一部としている為、北キプロス・トルコ共和国を国家承認せず、政府間の窓口となる関係機関も設置していない。

 ■主権実体

 ▼マルタ騎士団

 1522年からマルタ島を領土としていたが、1798年の領土喪失後はモンテビデオ条約が定める「国家」の資格(領域、住民、政府)を満たさない組織となった。
 しかし、かつて領土を有していた経緯から「主権実体」として113の国・地域と何らかの関係を有しており、国連でも「国連総会オブザーバーとして参加するために招待を受ける実体あるいは国際組織」の一つとして扱われている。

 ■日本政府から特定の主張を承認されていない国

 ▼イスラエル

 国家承認はしているが、エルサレムが首都であることは承認していない。

 ■過去の非承認国家

 ▼バーレーン バーレーン
  (1880 – 1971年)

 1880年からイギリスの保護国であったが、1971年の独立宣言とともに国家承認。

 ▼ブータン
  (1907 – 1971年)

 1910年のプナカ条約でイギリスが外交権を取得して保護下に置き、インド独立以降はインドの保護国であった。
 1971年9月、日本はブータンの国連加盟の共同提案国となり、黙示の国家承認を行う。

 ▼オマーン オマーン
  (1862 – 1971年)

 1862年以降イギリスの保護下にあったが、1971年に保護関係を解消し、日本政府は国家承認を行った。

 ▼カタール
  (1916 – 1971年)

 1916年からイギリスの保護国であったが1971年の独立宣言とともに国家承認。

 ▼トルーシャル・オマーン
  (1820 – 1971年)

 トルーシャル・オマーンはアブダビ、アジュマーン、ドバイ、フジャイラ、カルバ、ラアス・アル=ハイマ、シャールジャ、ウンム・アル=カイワインの8首長国からなるイギリスの保護国。
 1971年12月にラアス・アル=ハイマを除く6首長国がアラブ首長国連邦を結成し、同時に国家承認した。

 ▼クック諸島
 (2001 – 2011年)

 1965年に自治権を獲得し、ニュージーランドとの自由連合を形成した。2001年の共同宣言において、クック諸島は主権独立国家であると宣言。
 2011年3月25日に日本政府は国家承認した。

 ▼ニウエの旗 ニウエ
  (1974 – 2015年)

 1974年に憲法を制定して自治権を獲得し、ニュージーランドとの自由連合を形成した。日本政府は、2015年5月15日に国家承認した。

 ■日本が承認していない国リストまとめ

 1.北朝鮮 (朝鮮民主主義人民共和国)

 2.パレスチナ・パレスチナ自治政府    
  (国家名称:パレスチナ国)

 3.台湾(中華民国)

 4.サハラ・アラブ民主共和国

 5.アブハジア共和国
  (ジョージア・アブハジア地域)

 6.南オセチア共和国
  ( ジョージア・南オセチア地域)

 7.北キプロス・トルコ共和国
  (キプロス北部のトルコ系実効支配地域)

 8.マルタ騎士団

〔情報元 : Yattnke! 小・中学生サイト〕

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 ■「未承認国家」とは何か。

 ●「未承認国家」は日本人にとってはあまり聞き慣れない言葉ですが、「国家」と「未承認国家」の違いとは何なのでしょう。

 ▼ごく簡単に言ってしまいますと、他の国からの広い国家承認を受けているか、否かですね。例えば台湾は後者で、60年以上も台湾島を初めとした領土を維持しておりますが、国際的な影響力が強い中国が台湾の独立を認めていないため、未承認国家のままとなっています。
 中国も台湾も、領域、人民、権力という、国家の要件のほとんどを満たしているので、逆に言えば、国家を考える上では、国家承認の意味がすごく大きいといえます。
 未承認国家についてもう少し細かく考えてみると、ある一定の「国境線」をもつ「領土」が確保されていて、政治が機能しており、かつ「国民」ないし住民が、納税など「国民」としての権利や義務を果たしていて、その状態が2年間以上保たれている、というのがおおよその目安になっています。英語ではUnrecognized Statesですので、非承認国家という研究者も少なくありません。
 他に英語で、De facto States(事実上の国家)という呼び方も広く使われていて、この概念を示す言葉は画一的ではないというのが現状です。

 ●台湾のような冷戦期に生まれた未承認国家と、ウクライナのようにソ連崩壊に伴って生まれた国家の違いは顕著なのでしょうか。

 ▼冷戦時代に生まれた未承認国家については、明らかにアメリカとソ連を中心とした、東西分裂が背景にあります。一方、冷戦後の未承認国家は、純粋なナショナリズムと周辺国の個別の利害関係がその成立に大きく影響しているように思います。

 構図的には、冷戦後に生まれている未承認国家の方が複雑な気がしますね。ソ連解体をはじめ、冷戦の終結でこれまでの国家のシステムが変わることで、「自分のアイデンティティが脅かされる」と感じる人が分離の動きに出たことが大きかったと思います。それが力のない動きであれば、簡単に潰されてしまう訳ですが、一定の力のある人たちが集まり、ある程度のリソースも得られれば、新たな「国」が生まれ、承認を得ていないながらも存続することができてきた。構図としては、だいたいそのような感じであると思います。

 ●ソ連の崩壊にともなって生まれた未承認国家の方が愛国心は強いと思われますか。

 ▼それはまた別の問題だと思います。

 多くの場合、国家の成立は戦争を経ていますが、戦闘の中で醸成されるナショナリズムは極めて強いと思うのです。たとえば、台湾と中国を分けたのも、最初は政策の方針やイデオロギー的な差異だったはずですが、戦闘のプロセスで「台湾アイデンティティ」が芽生え、大きくなってきた。韓国と北朝鮮の場合も、南北それぞれのアイデンティティがどんどん強化されていったはずです。そういう意味では、愛国心の強さを冷戦期、冷戦後で比べることはできないのではないかと思います。

       〔情報元 : NHK books〕

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 子供は、成長過程にあり、例え愚問でも、真摯に向き合ってあげて下さい。
 其事に依って本人が“自問自答”するんだと思います。




もの思う葦 ♯007

2023-07-28 21:00:00 | 日記

 ■ 穴

 『穴』という言葉で何をイメージされますか?

 “虎穴に入らずんば虎子を得ず”

 でしょうか?

 まぁ、それはなかなかないに等しいですよね。

 私の場合は、何かしら、隠秘で、好奇心を擽られているような気がします。

 名詞の「穴」から「覗く」という動詞へ移行する行為が居心地良かったりします。

 さて、タイトルでも、モチーフでも多数の著書に使ったりします。

 穴

 小山田浩子/著 の場合。


 奇妙な獣のあとを追ううちに、私は得体の知れない穴に落ちた――。
 仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ夏。
 見たことのない黒い獣の後を追ううちに、私は得体の知れない穴に落ちる。
 夫の家族や隣人たちも、何かがおかしい。平凡な日常の中にときおり顔を覗かせる異界。

 『工場』で新潮新人賞・織田作之助賞をダブル受賞した著者による待望の第二作品集。芥川賞を受賞した表題作ほか二篇を収録。

 『穴 HOLES』
      ルイス・サッカー著        
         幸田 敦子 訳の場合。 

 先祖のおじいちゃんがヘマをしたせいで、呪いをかけられ、不幸の家系になってしまったと信じる少年スタンリー。
 彼はある日、運悪く無実の罪で捕まってしまう。
 そして、自分の潔白を証明することをあっさり諦め、少年矯正施設行きを受け入れる。
 しかし、そこは想像を絶する過酷なところだった。
 砂漠のど真ん中に建つその施設では、恐ろしい女所長が恐怖支配を行い、“人格形成のため”と称して、来る日も来る日も少年たちに大きな穴を掘らせていた。
 だがその“穴掘り”には、ある別の大きな企みがあったのだった…。

 ルイス・サッカーの傑作児童文学を豪華キャストで映画化した日本劇場未公開の痛快ファミリー(コメディー)・アドベンチャー。映画化もされている。

 私の好きな作品は

 穴
    山本亜紀子著

 売れない作家として燻っていた真木栗勉がある時に見つけたのは、自宅の木造アパートに空いたふたつの穴です。
 両隣の部屋を除いて見聞きした出来事を題材に執筆を続けていくうちに、連載小説は評判を集めていきます。
 その一方では真木栗は原因不明の体調不良と、不可解な出来事に悩まされていくのでした。

 映画『真木栗ノ穴』


 《ストーリー概要》

 真木栗勉(まきぐり べん)は売れない作家です。
 もうすぐ40歳を迎えようとする真木栗は、ある雑誌に半年間の連載をしていました。
 築40年のボロアパート「みどり荘」に独りで暮らしています。
 連載の最終回の原稿を喫茶店で、担当編集者の男性に渡した真木栗は、次回からの連載のことを質問しました。
 真木栗は新たな連載を持ちたいと思っていたのですが、次の連載は先日新人賞を獲った塩田という作家が書くことに決まっていました。
 その次の連載を真木栗は聞きますが、真木栗に縁はなさそうです。
 喫茶店でコーヒー代をおごって編集者の歓心を買おうとしますが、経費で落ちるからと断られました。
 それでもしつこく真木栗は、おごろうとします。
 アパートには風呂がついていないので、真木栗は銭湯に通っています。
 風呂へ行く前に立ち寄る馴染みの中華料理屋へ行った真木栗は、店員の年増女性・沖本シズエに声をかけられました。
 シズエは真木栗に「うちでお風呂入ってかない?」と声をかけると、真木栗の手を引いて自分のアパートへ連れ帰ります。

 真木栗が浴槽で湯につかっていると、シズエも風呂に入ってきました。
 シズエは真木栗の下の名前を聞き、独り暮らしは寂しいと話します。
 真木栗は寂しいからという理由だけで交際を始めても難しいだけだと、真面目に答えます。
 しかしシズエに誘われて、身体を重ねました。
 そのあと真木栗が部屋に戻ると、部屋は泥棒に荒らされていました。
 足の踏み場もないほど散らかっています。
 安アパートの部屋の玄関で真木栗が途方に暮れていると、隣室から明かりが洩れていることに気づきました。
 普段は気づかなかったのですが、壁に小さな穴が開いていました。
 泥棒が入り、本棚が倒れたことで壁の穴が露出していました。

 翌朝、真木栗の部屋に訪問客があります。ノックの音で起きた真木栗は、覗き穴にカレンダーをつけてふさぎました。 
 部屋をノックしたのは、置き薬の営業をする若い男性・細見貢でした。
 細見は気弱で善良な男性で、真木栗の散らかった部屋を一緒に片づけると言い出しました。
 好感を持った真木栗が持病の片頭痛の話をしたところ、細見は自社の頭痛薬を置いていきます。
 真木栗はその後に、連載した雑誌の編集者に電話をかけ、折り返しの連絡を待ちますがかかってきませんでした。
 真木栗はそのまま部屋で無為にひと晩過ごします。

 電話を抱えたままその場で眠った真木栗は、途中で目が覚めたときに反対側の壁の床に近い部分に、新たな穴を見つけました。
 穴の存在に気づいた真木栗は早速覗いてみますが、反対側の部屋は空き室なので誰も人はいません。
 馴染みの中華料理屋へ行くと、店主の飯田時子が真木栗に話しかけてきました。シズエは逮捕されたと言います。
 シズエはやもめ暮らしの男性を標的にして部屋に呼び、そのあいだにシズエの連れの男性が、標的の部屋に空き巣に入っていたのでした。つまり真木栗は被害者のひとりです。
 そこへ週刊誌の雑誌記者が、店主の飯田に詳しい話を聞こうとやってきていました。逮捕されたシズエが真木栗の部屋を荒らしたことを供述していたため、真木栗は取材対象になります。その代わりに記者は、交換条件を出しました。官能小説を書く予定だった小説家が行方不明になったので、空いた穴の連載を真木栗に依頼すると言ったのです。
 官能小説など書いた経験はないものの、連載がもらえるのは魅力でした。
 締め切りは3日後だと言われます。

 帰宅した真木栗は、部屋の穴を見てストーリーを思いつきます。
 アパートに一人暮らしをしている男性が、部屋の壁に穴が開いているのを発見するという話にしました。
 さらに隣の空き部屋に、若い女が引っ越してくるという内容を思いつきます。
 ただし、官能小説は書いたことがないので、向いていないとも思っていました。
 ああでもない、こうでもないと考えていた真木栗は、アパートの真下で出会った女性を見て、その女性が越してくるところを想像します。
 顔を合わせた女性をスケッチした真木栗は、それを小説のヒロインにして書き始めました。
 持病の片頭痛に悩まされる真木栗は、置き薬の頭痛薬を服用しながら、書き進めます。
 ときどき穴をのぞいては、隣の部屋を確認しては小説を書き続けました。

 編集者の女性・浅香成美が部屋にやってきます。
 成美は先日の中華料理屋で顔を合わせた女性で、自分が真木栗の官能小説の連載担当者になったと話しました。
 真木栗は覗き穴でちょうど隣室を覗いていたところだったので、びっくりします。
 ヨガをしていたと話してごまかすと、成美は納得します。
 その夜、隣家の男性・佐々木譲二が彼女を連れて帰宅しました。それを知った真木栗は部屋の明かりを消して、覗きます。
 恋人同士が肌を重ねる一部始終を、真木栗は穴に張り付いてただひたすら、むさぼるように凝視していました。

 真木栗がアパートの真下で見かけた女性は、水野佐緒里という名の女性でした。
 佐緒里はIT社長の男性・貞男の妻です。
 貞男が事業に失敗して借金を背負いました。貞男は佐緒里と離婚することで、佐緒里を借金取りから解放しようとします。
 家の前に群がるマスコミを避けて、佐緒里は裏口から家を出て、塀を乗り越えて去ります。
 真木栗が共同のトイレを掃除していると、宅配便が荷物を持ってきました。越してくる隣人の荷物を押し付けられた真木栗は、宛名を確認もせず受け取ります。
 夜、空き部屋だった部屋に人の気配を感じて覗いた真木栗は、自分が妄想したとおりにあの女性、佐緒里が隣室に越してきたと知って興奮しました。
 受け取っていた荷物を持っていきます。そっけなく対応して荷物を置くと去った真木栗は、部屋に戻るとまた覗きを再開します。
 佐緒里は箱を開けて、中に入った下着を取り出していました。
 固唾を飲んで見守っていた真木栗は、電話の音にびっくりしました。
 電話の主は成美で、原稿を翌朝に取りにいくという話でした。

 成美が原稿を取りに来ました。
 真木栗が書き終わるまで待つつもりです。
 真木栗が原稿を書いている最中に隣家の佐々木が恋人を連れて帰宅すると、隣で行為を開始しました。
 音を聞いて居心地が悪くなった成美は、飲み物を買ってくると言って中座します。
 成美がいなくなると真木栗は覗きを始めますが、戻ってくる気配がすると急いで原稿に戻ります。
 書いている小説が真木栗の実生活に近いので、成美は「実話」なのかと聞きました。真木栗は否定します。
 隣家の音に気付いていたと知った成美は、よく集中できますねと答えました。

 コインランドリーの帰りに隣の佐緒里と出会った真木栗は、トマトのおすそ分けをもらいます。
 部屋の入り口で受け渡しをしていると、佐緒里が1つ落としました。
 トマトの汁で服が汚れたので、佐緒里は部屋に戻ると着替えをします。
 その様子を、真木栗は必死で見ていました。 佐緒里の部屋に元夫の貞男が訪ねてくると、2人は身体を重ねます。
 そうした様子も真木栗はつぶさに観察し、知った情報はすべて小説に書き起こしていきました。 小説のストーリーに変化をつけたい真木栗は、名札を落としていった宅配の男性・秋田健の名前を借りることにしました。
 小説に秋田を登場させると、佐緒里が秋田を誘惑するストーリーを書きます。  
 すると不思議なことに、寸分の狂いもなく書いたのと同じことが、隣家で起きたのです。
 真木栗は驚くと同時に、これはいいと思いました。

 真木栗の運命は?

    〔ウィキペディアより引用〕

 

CTNRX的文學試行錯誤 ♯014

2023-07-27 21:00:00 | 出来事/備忘録

 私からのオススメ本でもないのだが、以前から気になる本があって、それがその本が廃刊になっていたものだから手に入らない状態だった。
 それがwebで、最近、たまたま復刊と知ったものだから、紹介しよかと思います。

 それが『質問(新書)』田中未知 著です。


 《文芸春秋booksによる作品紹介文》

 あなたとあなたの大切な人の人生を変える伝説の書、待望の復刊!

 日本語と英語それぞれ365個の質問。答えを考えていくうちに、あなたと世界の関係が動き出します。

 あなたの夢は何角形だと思いますか?
 意識は透明でしょうか

 ここより一番遠い場所とはどこでしょう

 心も年をとるのでしょうか

  ~読者の回答

 質問:空に字を書く方法を知っていますか

 答え:手鏡に文字を書いて空を映す

 質問:淋しさはどの方角からやってくるのでしょうか

 答え:“人”のいる方向

 〜寺山修司の回答

 質問:時間を保存する方法を知っていますか

 寺山:これは記憶もしなければ記録もしないことだと思います。
 この本には、右から開けば日本語、左から開けば英語で1ページにひとつずつ、合計365個の質問が用意されています。
 どこから開いても構わない。
 ページの余白のぶんだけ、時間を掛けてじっくりと、私たちは思考をめぐらすこととなります。
 すぐに答えが思い浮かぶものもあれば、しばらく考え込んでしまうもの、考えても答えが見つからないものもある。
 1日1ページずつ、ひとつの質問を考えるとしたら、365日=1年分の時間の重さがこの本にはぎっしり詰まっています。

 質問の答えに正解はありません。
 読み手によって、読むタイミングによって、その時々で答えは変わるでしょう。
 自分自身の内面に語りかけ、覚醒させる。
 ひとりでじっくり読むことはもちろん、だれかに質問を投げかけて、コミュニケートすれば新しい発見があるかもしれない。
 言葉の力を今こそ感じて自分と向き合うために必携の一冊です。

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 【プロフィール】

 田中 未知(たなか・みち)

 1945年東京生まれ。

 作曲家、楽器作家、実験映画監督。

 演劇実験室「天井桟敷」の初期メンバーとして入団。
 制作・照明を担当し、1983年に寺山修司が亡くなるなるまでの16年間、秘書兼マネージャーを務めた。

 音楽家としてヒット曲「時には母のない子のように」をはじめ、寺山修司作詞・田中未知作曲のコンビで数多くの歌を残したほか、東陽一監督作品「サード」「もう頬づえはちかない」「四季・奈津子」「ザ・レイプ」

 寺山修司監督作品「迷宮譚」「ローラ」などの映画音楽も手がける。

 主な著書に「空の歩き方」「寺山修司と生きて」(共に新書館)などがある。

 また、「寺山修司未発表歌重 月蝕書簡」(岩波書店)など、寺山修司未発表作品の編集も手がけている。

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ダカーポ ♯005

2023-07-26 21:00:00 | Keyword/話題

 ■ヘイト

 毎日新聞に、こんな記事が掲載されていた。

 『ヘイト投稿」男性に賠償命令 安田菜津紀さん被害で地裁

 ツイッターで在日コリアンに対する「ヘイト投稿」をされて精神的苦痛を受けたとして、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん(36)が、投稿したとされる男性に195万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(目代真理裁判長)は19日、男性に33万円の賠償を命じた。
 訴状によると、安田さんは2020年12月、在日コリアンだった父のルーツを追った自身の記事をツイッターに投稿した。
 これに対して、在日コリアンに対する差別表現とともに、日本人よりも優遇されている「在日特権」があり、「日本人から嫌われている」とする投稿があった。
 安田さん側は訴訟で、この投稿をしたのは男性で、事実に反するうわさにより、日本以外にルーツを持つ人に対する差別的意識を助長・誘発することが目的だったと主張。
 ヘイトスピーチ解消法が定める「差別的言動」に該当し、安田さんの人格権が侵害されたと訴えている。
 一方、男性は「自分はそもそも投稿者ではないし、問題となった投稿は安田さんに対する差別的言動とも言えない」とし、請求棄却を求めていた。【巽賢司】

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 ヘイトとは、

 憎悪(ぞうお)
 (英: hatred あるいは hate)
や憎しみ(にくしみ)は同義語であり、憎悪は「ひどくにくむこと」で憎しみは「憎く思う気持ち」と辞書には書いてあるが、(「憎しみ」を「憎く思う気持ち」と書くだけでは、そもそも「憎い」ということはどういうことか全く説明されておらず辞書的定義としてもかなり不十分なので十分に定義するために補足すると)、「憎い」とは、(「誰か」や「何か」を)「いやな相手(いやな存在)として、何か悪いことがあればよいと思うほどに嫌っている」や「気に入らない」ということである。

 日本語の場合、大和言葉の「にくしみ」や「憎しみ」に比べて、漢字表現の「憎悪」のほうが、同じ憎しみでもより程度が激しいものを指す傾向が(やや)ある、といった程度のことである。
 ただし、学術分野の文章などでは、学術的慣習として、ひらがなの大和言葉を避けて漢字表現のほうを選んで使うこと(「くるま」はくだけた日常語として扱い「自動車」をそれに対応する学術的表現として扱うように、「にくしみ」を日常語として扱い「憎悪」はそれに対応する学術的表現として使う、というやり方)も行われているので、いつもその程度(感情の強さ)によって使い分けられているわけでもない。
 この記事も、見出し語を選択する際には百科事典的に(つまりやや学術的に)、大和言葉的な「憎しみ」という表現を避けて「憎悪」を選択している。

 《概説》

 「憎しみ」や「憎悪」、というのは(広辞苑などの定義文からも判るように)、結局(「誰か」や「何か」を)ひどく嫌う、ということであり、(当人の感覚としては、誰かや何かに対して)「××は、ひどく嫌いだ」と感じている心の状態(感情)のことである。 結局、根底には、「好き / 嫌い」という感情(学術的にはしばしば漢字表現を選択し「好 / 悪」(こう / お)の感情、と表現する)がある。根底にあるのは「好き / 嫌い」の感情である。では、どのような場合に、人は 誰か(や何か)を憎むか、激しく嫌いだ、と感じるか、というと、それは人それぞれ(各人各様)であり、感じる人の感性や度量によっても異なるし、また状況次第でもある。 基本的には、「好き」と感じている対象に危害が加えられた、と感じると憎しみ(憎悪)を感じる人は多い。
 例えば、ある人(Aさん)がペットを飼っていて、そのペットのことをとても好きだ、大好きだ、と思っている場合に、誰かがそのペットに危害を加えたりすると、Aさんは、そのペットに危害を加えた人に憎しみ(憎悪)を感じることは多い。 たとえば、自分の娘を強く愛している父親の場合は、娘に危害を加える人のことはひどく憎む、強い憎悪を感じる、ということは多い。

 たとえば「わたし(自分)のことが大好き」という人(自己愛が激しい人)の場合は、「わたし」「自分」と当人が感じているもの(自己の身体だけでなく、しばしば「自己像」と呼ばれる観念的なもの)を損なうようなことをする人のことを憎む。
 たとえば白人で、たとえば「自分は白人で、(子供のころに(白人社会で)読んだ童話やおとぎ話のように)白人は皆、いつでも、他の人種を圧倒するほどに優れていて強いんだ。
 自分はそうなんだ。」と信じ込んでいて、その自己イメージが大好きな人は、「白人が必ずしも優れているとは限らない。
 しばしば劣っていることがある。」ということを様々な例を引き合いに出して指摘する人や、(面とむかって言語的にそう指摘されなくても)他の人種の人で実際に優秀で各分野で成功している人を見たりするだけでも(つまり「有色人種」で成功している人を見るだけでも、その人が面と向かって何も言っていなくても)、まるで自分が子供のころから心に抱いている自己イメージを破壊されているように感じて、強く憎む。
 たとえば「自分は○○民族だ。○○民族だけは、いつでも、何の分野でも、優れているんだ。自分はそうなんだ」と信じこんでいる人は、他民族で優秀な人々を見ると、強く憎む。

 心理学での研究によって、人間というのは幼児段階ではほとんどの人は、基本的には「わたし(自分)が(大)好き」と(しばしば言語も用いず、非言語的な、根底的な感情として)感じている、ということが理解されている。
 幼児段階ではそれが一般的で、それで良いのだが、大人になるにしたがって人は成長し、自分に対してもアンビバレントな態度がとれるようになることが一般的である。つまり、自分に対する感情も多様化し、しだいに変化するので、人が自分に対して何かをした時の感情も変化する。(それができないまま年齢的にだけ「大人」になってしまった人が、つまり大人になっても「わたし(だけ)が好き」「わたし(だけ)がかわいい」という感情ばかりに駆り立てられて過ごしている人が、社会で様々な問題を引き起こす傾向がある)。
 例えば、人によっては子供の時には、親や教師などから自分の不十分な点を指摘されたりすると、指摘した人を「大嫌い!」と感じて、憎む人はいる。だが、その同じ人が、大人になり、大人扱いされるようになり、大抵のことで「大人だから本人の責任だ」と見なされ、周囲のほとんどの人が親切に先まわりして自分の不十分な点を指摘してくれなくなり、取り返しのつかない大失敗をするまで放置される、ということを何度か経験したりすると、今度は誰かから自分の不十分な点を指摘されても、「厳しいけれど、注意してくれる人がいるだけでもありがたい」とか「客観的に見れば、自分にも到らない点は多々ある。今回は、あの人がこれを指摘してたおかげでこれにも気付くことができた。
 私の至らないところは素直に改善しよう。」などと感じるようになる人もいる、といった具合で、同じ人が同じことをされても、年月とともに受け取り方が変化しすることはあり、「憎悪」を感じていた人が、逆に ある種の「感謝」すら感じるようになる場合もある。
 なお、幼児的な自己愛の段階を卒業して、全ての人々への愛(人類愛、友愛、兄弟愛)を自分の心の中心に据えて生きゆく道を選ぶ人も多いが、たとえば「人々が相互の人権を心から大切にして、誰もが互いを尊重している状態、そういう社会」が好き、と感じている人は、(たまたま自分個人がどう扱われたか、ということではなくて)誰に対してであれ人権を侵害する行為を行う人のことを憎むことは多い。

 憎悪(憎しみ)によって引き起こされる感情や行動 人によっては、憎む相手を「(この世から)消し去ってやりたい」とか「殺したい」とまで感じる場合がある。大抵の人は、そういう感情を感じても、「それを実行することは犯罪だ」と理性を働かせて踏みとどまる。「私がどんなにAを憎く感じているとしても、だからといってAを殺して良いということにはならない。
 何か他の解決策があるはずだ、それを考えよう。」と、理性を働かせる。
 例えば、短期的解決策としては、レストランに出かけて美味しいものを食べて自分をなぐさめたり、あるいはたとえばボクシングジムに出かけてサンドバッグを「憎い人」に見立てつつパンチして気分をスッキリさせて済ませたりし(これを心理学用語で言うと「代償行動」と言う)、たとえば長期的解決策としては、職場の上司や同僚が憎くてしかたないのであれば、人事部に相談して、その憎い人の顔を毎日見なくて済むように部署移動(配置転換)の希望を出したり、それも叶わないようなら転職先を探して見つける、などということは世の中で広く行われている。
 こうしてほとんどの人は理性が勝ったり、うまく別の解決策を見つけたりするので、この世は殺人事件だらけにならずに済んでいるのだが、まれに理性よりも感情が勝りすぎている人や、何らかの事情で他の解決策が無い人(あるいは、(本当は他の解決策があるのにもかかわらず)他の解決策に気付く知恵が無く、他の解決策は無い、と感じてしまった人)などがいて、感情に駆られるままに殺人を実行してしまい、事件となり、報道されたり、逮捕されて裁判にかけられたりする人が出てくる。
 自分が属する民族や人種が好き、ということばかり感じている人は、他の民族や人種を憎みがちで、民族差別や人種差別につながりがちである。
 民族主義者や人種差別主義者は、感情に駆られていて、自分を理性的に客観視することができない人が多いので、ささいなことをきっかけにして暴力事件を起こしがちである。
 しかも、民族主義は相対的でしかなく(Aという民族から見ればBは「他民族」で憎悪の対象で、Bという民族から見ればAこそが「他民族」で憎悪の対象で)際限が無く、泥沼の、醜い殺し合いの状況を招きがちである。

 一方、「好き」という感情や愛情の中でも(幼児的な自己愛ではなく)、全ての人々に対する愛情、人類愛(友愛)を心の中心に据えたうえで、人々を苦しめる者を憎み、人々を苦しめる者を排除するために具体的な行動を起こすことは、良い結果を生むこともある。
 たとえば、18世紀のフランスでは、王族が国民を食い物にして国民を苦しめていたが、それに対して憎しみを抱いたフランス国民は立ち上がり、フランス革命を起こし王族を排除し、人権宣言(「人間と市民の権利の宣言」)が採択され、「自由、平等、友愛」を理念にかかげ、共和制の国を構築することに成功した。
 このおかげで、ヨーロッパの他の国々でも人権が尊重されるようになっていった。たとえば、アメリカ合衆国憲法があるのも、もとをたどれば、フランス国民が、抑圧的で搾取的な王族に対して憎しみを抱いて立ち上がって、それを打ち倒して、全ての人々の人権を尊重する、という理念をかかげて政府を樹立し、世界にその理念を広げてくれたおかげである。
 大航海時代以降、世界各地で先進国による植民地支配が行われたが、全ての人々の人権を尊重すべきなのだ、という理念が理解されるようになり共感する人々が殖えると、「植民地」や「奴隷制度」という、人権を侵害するやり方に憎しみを抱く人々が、(白人の国々の中の、一般市民の中からも)出てくるようになり、長い闘いの結果、植民地は少しづつ減り、奴隷制度も廃止されてきた。
 なおイギリス、フランスなどは、地中海世界を支配してきたオスマン帝国に対して計略を用い、サイクス・ピコ協定を締結し、帝国をバラバラに解体したのだが、イスラーム教徒の側は、ムハンマドがクルアーンに書いたように、イスラームの理念によって統一されている世界こそが望ましい世界と感じているので、イギリスやフランスに対して激しい憎悪を感じている。
 その結果、イギリスやフランスなどイスラーム世界に危害を加えたもの、加えるもの、に対して、イスラーム教徒たちは国境を越えて広く力をあわせて、闘い(ゲリラ的武力闘争、イギリスやフランスの人々からは彼ら側の論理で「テロリズム」と呼ぶもの)をしかけることが行われている。これなどはイスラームの理念とキリスト教の理念のせめぎあいによってのみ憎悪が生まれているのではなく、イギリスやフランスが選んでしまった汚い手段、策略(陰謀)や、「約束破り」が強い憎悪を生んでしまっている。
 トーマス・エドワード・ロレンスが(イギリスの国家側の都合に振り回されて、結果として)アラブ人たちをひどく騙してしまった結果になったことや、イギリスやフランスがサイクス・ピコ協定を結んでアラブ人たちを騙していたことなどを知らないと、どうして今日でも、イスラーム教徒たちがイギリスやフランスに激しい憎悪を抱いているのか、理解しそこなうわけで、それ(「何を憎んでいるか」)を知らないとただ「憎んでいる人」という表層的な理解のしかたになってしまう。

 ▼関連表現

 ・愛憎(あいぞう)。
 「愛することと、憎むこと」である。
 愛と憎しみを一対、ワンセットにした表現。
 人は、子供のころは、ある対象に対して愛ばかりを感じたり、反対に憎しみばかりを感じるが(心理学用語で言う「スプリッティング」な状態)、大人になると成長してアンビバレントになり、同じ対象Aに対して、愛情を感じつつも、同時に憎しみを感じる、という状態にもなる。
 こういう状態を日本語では昔から、「愛憎相半ばする」(あいぞう あいなかば する)と言う。大人の男女の恋愛では、相手を深く愛すれば愛するほど、相手のちょっとした言葉や態度が自分の心のやわらかいところ、一番痛いと感じるところにグサリと刺さるように感じられて、(愛しているはずなのに)同時に強い憎しみも感じるものである。恋人同士だけでなく、結婚した男女(夫婦)でも、「愛憎相半ばする」状態の人々は多い。
 夫婦は一般に、愛し合っているのか?、憎みあっているのか?、と言うと、大抵の夫婦は、「愛し合いつつ、憎みあっている」わけであり、別の言い方をすると「愛しているからこそ、憎んでいる」。
 
 ・「嫌悪(けんお)」とは、「憎み嫌うこと」である。
 「憎しみ」や「憎悪」とほぼ同義語であるが、やや程度が軽いものを指すことが多い。「嫌悪(けんお)」とは、「憎み嫌うこと」である。
 「憎しみ」や「憎悪」とほぼ同義語であるが、やや程度が軽いものを指すことが多い。「厭悪(えんお)」とも。
 「毛嫌い」は、「(鳥獣が相手の毛なみによって 好き/嫌い することから)何という理由もなく、ただ嫌うこと」である。「厭悪(えんお)」とも。

 ・「毛嫌い」は、「(鳥獣が相手の毛なみによって 好き/嫌い することから)何という理由もなく、ただ嫌うこと」である。

     〔ウィキペディアより引用〕