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宗教対立を描く映画『ボンベイ』

2006-06-16 07:52:00 | ニュース
レポーター:祐子

『ボンベイ』は、ジャーナリスト志望の青年が、妹の友人にひとめぼれ。青年はヒンズー教徒。娘はイスラム教徒。異教徒同士の恋はご法度で、親たちは決して結婚を許そうとしなかった。そこでふたりは駆け落ちして大都市ボンベイで新生活を始める。そんな中、1992年、ヒンズー教の聖地アヨドヤでヒンズー教徒により、イスラムモスクが破壊されたのがきっかけで、ナイフや銃、火を持ち出し、激しい衝突が起きてしまう。警官隊もその衝突を銃を使って鎮圧し、それによりたくさんの死者が出てしまい、ボンベイの街中が混乱に陥る。
その場面で流れた歌「ここは母なる母国 人はなぜ血を流す 宿命じゃない ただの裏切り行為 闘いをやめろ 流血をやめろ ヒンドゥーかムスリムか そんな問いは無意味 流れる血は同じ 我々はみな同じインド人」という歌詞は、すごく印象的だ。
子供もが生まれ幸福な日々を送っていた主人公夫婦も、この紛争に巻き込まれていく。お互いの親たちも息子と娘の無事を気にし、ボンベイに駆けつける。そんな混乱状態の中、やがて故郷の親たちも2人の関係に理解を示すようになる。はじめは反発しあっていた双方の父親が、騒乱の中で互いを理解し、心を開いていく。
この映画の監督は、インド・パキスタンの平和的解決を願ってこの映画を作ったのだろう。でも実際は、まだ解決が見えない状態だ。戦争や争いは始めるときより、終わらせることの方が圧倒的に難しい。一度戦争が始まってしまえば、身内や友の命を奪われたことに対しての、憎しみ、復讐心が生まれてしまう。それを抑えるのは本当にむずかしい。だから一度戦争が始まってしまうと、その憎悪の連鎖が加速してしまう。
しかし、夫妻双方の両親は、宗教の違いから、息子や娘の結婚を絶対に認めようとはしなかった。でも、聖地アヨドヤで起きたヒンズー教徒によるイスラム寺院(モスク)爆破事件によって、ボンベイも紛争状態に陥ってしまい、息子達の安否を心配した故郷の親たちがボンベイにやってきて、はじめはあんなに宗教的な違いから反発しあっていた双方の親が、騒乱の中で宗教を超えて、お互いを認め合い、理解していく場面をみて、異なる価値観を理解し、認めようとする努力、こうしたひとりひとりの意識がインドとパキスタンの和解解決をも可能にするのではないか・・・という希望の光をみせてくれたような気がした。
誰しも愛するものを殺し合いなんかで失いたくないし、愛する土地を破壊されたくない。だから、そんな醜い戦争や争いをみんな正しいとなんて思っていないと信じたい。根本的に人の思いは変らないと思いたい。私も、監督のように、「インド・パキスタン」が平和的解決の道があると信じているし、きっとできると信じている。そして、インド・パキスタン以外でも同じように争っている地域が平和的に解決してくれる日がくることを信じたい。そのためにも、平和のために自分ができることを見つけて、取り組んでいけたらと思った。

モデレーターのコメント
 宗教の対立を愛で乗り越えていく感動的な映画ですね。人間はもともと暴力的ではないことをユネスコが1989年に採択した「セビリア声明」で確認していますが、まさにそれを映像で示してくれる映画といえますね。
ピースキー:(1)生命の尊重  (2)非暴力  (6)寛容と連帯 


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