CPNN(平和の文化ニュースネットワーク):国連の「世界の子どもたちのための平和と非暴力の文化国際10年」(2001~2010)

生命尊重・非暴力・助け合い・良く聞く・地球環境・寛容と連帯・男女平等・民主主義の記事を配信します。

オードリー・ヘップバーン

2007-07-24 02:35:28 | ニュース
レポーター まみち

私はオードリー・ヘップバーンが大好きです。彼女は戦争中に軍人から一枚のチョコレートを貰い、その一枚のチョコレートが彼女のその後の人生を変えたそうです。女優として大成功を収めた彼女は、その後ユニセフの親善大使として活躍をしました。年老いたオードリーに心無い人は「年老いた姿を見せるな」と言ったそうです。しかしオードリーは「私のこの皺は私が皆を愛され皆から愛したしるしなのだ」とそう話しました。オードリーの本当の美しさというものは、外見や演技ではなく、優しさ、清らかな心が彼女の魅力になっていたのだと思います。そして私は彼女が息子たちに遺した詩を読みました。

魅力的な唇の為には 優しい言葉を話すこと
愛らしい瞳の為には 人々の素晴らしいところを見つけること
スリムな体を作るには 飢えた人々と食べ物を分かち合うこと
豊かな髪の毛にするには 一日に一度子どもの指で梳いてもらうこと
美しい身のこなしをしたいなら 決して一人で歩んでいないということを知る
こと
年をとると人は自らが2本の手をもっていると気づくでしょう
一つは自分の為に
もう一つは人を助ける為にあるのだと

この詩を読み私は涙を流しました。自分は一人じゃないんだよといってもらえたような気がしました。私はみんなの力を借りて生きていることに気が付きました。そして逆に私という存在が、誰かの役に立っていることにも気づきました。その事がとても嬉しいです。自分が存在するという意味が、誰かを助ける為に存在するということならば、私は感動です。
自分が一人だと思っている人や、誰も信じられないと思っている人、このオードリーの詩を読んで、何でもいいから感じ取って欲しいです。

モデレーターのコメント
 オードリー・ヘップバーンの素晴らしさは、生きることの意味を多くの人に伝えていることですが、
ここで紹介されている詩は自分の子どもたちにもそれを伝えようとしていることを示していますね。素晴らしい詩の紹介に感謝します。

ピースキー
(1)生命の尊重  (3)助け合い  (4)傾聴 


父と一緒に

2007-07-24 02:33:20 | その他
タイトル 
レポーター あこ丸

 私の父はヘビースモーカーです。そのために、昔から大好きだったサイクリングや、スキーなどの趣味を楽しめなくなってしまうほど体の調子は悪くなってしまっています。「あんなにアクティブで元気だったお父さんなのに…」と、娘としてとても心配です。それでも、今まで「健康のために!」と禁煙を宣言したことは何度もありました。が、それも3日と続きませんでした。
 今、私自身が目標をもって頑張っていることがひとつあります。父は、私があまり無理をしないようにと心配していますが、応援してくれています。どうしてもくじけそうになってしまったときに、「一緒にがんばろう!!」と言ってくれたのは父でした。自分も禁煙を頑張るから、一緒に頑張ろうということでした。
 それからというもの、「禁煙○日目。記録更新中!あこ丸はどお?」などといったメールが毎日送られてきます。「すごいすごい!」「私も頑張ってるよ!」などと、お互いに励まし合いながら頑張っています。父には負けたくないですね。
20歳になる今、父と“2人で一緒に頑張る”ことがあるなんて思っていませんでした。なんだかちょっと嬉しいです。

モデレーターのコメント
 父親とのコミュニケーションの大切さを表現したもので、とても素敵な話ですね。20歳といえば一人前の大人ですから、父親や母親との距離も大人の関係になりますが、親子としての関係も大切にしたいものですね。

ピースキー
(3)助け合い  (4)傾聴 

べいびー

2007-07-24 02:31:45 | その他
レポーター こりん

今年の3月におばちゃんになりました。甥っ子が生まれたのです。両親の反対を押し切って結婚した兄はもともと父と仲が悪かったため、たまに帰ってきても表面的な会話しかしていませんでした。甥っ子が生まれてからというもの我が家の会話はそればかり。
『○○が一番可愛い!将来絶対イケメンになる!』と親ばか、いやジジばかぶりを発揮しています。また兄が甥っ子をつれて家に来ると、父の目じりは下がりっぱなしで普段の父からは想像できない口調で甥っ子に話し掛けます。父と兄との会話は急激に増え、最近では携帯電話でメールをするようにまでなりました。日本は少子化問題が深刻化していますが、私はこの事をきっかけに改めて、子は鎹、子は宝だと感じました。子どもが多いのはそれはきっと楽しいだろうし、将来のためにも必要ですが、子どもが少ないからこそ大切に思えるという見方もあるのではないかなと思います。

モデレーターのコメント
 小さい子どもの存在というのは人間関係を豊かにしていく宝ですね。子どもを通して会話がすすみ、知らず知らずにコミュニケーションができていきます。年をとると人は自分の生きてきた人生を振り返り、それを誰かに知って欲しいと思います。子どもを通してそれを伝えることができるという点でとてもよい話でした。

ピースキー
(1)生命の尊重  (4)傾聴 

『Shuffle』(歌・奥井雅美)―特別な曲と今の私―

2007-07-24 02:28:31 | 歌・詩
レポーター 紅紫の空

 私は音楽をよく聞く。どのグループの曲と言うわけではなく、曲自体を聞いて好きになることが多い。そんな私好みの曲から一曲お勧めの曲を紹介したいと思う。
 奥井さんはアニメ主題歌などを何曲か手がけているので、知っている人も少なくないだろう。実際、この『Shuffle』自体も某アニメの主題歌であり、私もこのアニメを見ていたことでこの曲を知ったのである。
私がこの曲をお勧めとした理由はこの曲の歌詞である。「見えない明日の道 選ぶことはできないかもしれない」「平気な顔して裏切る人があまりにも多い今 自分に襲い掛かるどんなことも逃げないで背負えてる」「見えない明日だからこそわくわくするんだと気づいた」。この歌詞に当時中学生だった私は精神的に救われたのだ。
 中学に入りたてのころ、なかなか新しい友達ができずに私は小学校からの友人としか遊んでいなかった。そのうちその友人にも新しい友達ができてしばしば孤独感と疎外感、置いていかれたような焦りを感じていた時期があった。そんな時に聞いたのがこの『Shuffle』。
 見えない明日を嫌うようになっていた私にとって、「見えないからこそ」という歌詞は衝撃的だった。弱気になる必要は無いのだと、嫌だと思う明日にも良いことがたくさんあるのだと背中を押された気がした。その日は何度も曲を繰り返し聞いた記憶がある。
 今でも気分が落ち込む日はこの曲を聞く。沢山の曲の中で一番励まされる歌は今も変わらない、この曲。これから先何年、何十年経っても変わらないだろうと私は思う。自分にとって「特別」に思える曲に出会えたからこそ今の私がいるのだ。

モデレーターのコメント
 みんな自分にとって「特別」な曲や特別な「本」があります。レポーターは自分にとって特別な「本」を見つけたのですね。「嫌だと思う明日にも良いことがたくさんある」というメッセージは、誰にでも受け止められるものです。是非広がって欲しいですね。

ピースキー
(3)助け合い  (4)傾聴 

「だからあなたも生き抜いて」  

2007-07-24 02:27:02 | 
レポーター ごま団子

中学生の時のいじめによる自殺未遂、非行、16歳の時に極道の妻、そして立ち直り、大学(通信教育)を出て、29歳で司法試験一発合格。などいままでの自分の実体験を、書いた本です。私はちょうどこの本を読んだのは高校生の時だったのですが、中学生でこのような他人を騙す卑劣ないじめがあったことに驚きました。誰か助けてあげられる人はいなかったのかな?と疑問に思いますが、私もこの著者のいた学校にいたら、きっと見て見ぬ振りをするでしょう。著者はいじめた子に復讐するために、自分で割腹自殺をするのですが、未遂で終わり、その後にまた学校に行くときの著者の気持ちを考えたら、読んでいて手足が震えて来ました。
一度、大平光代さんの講演会に行ったことがあるのですが、自分の過去のお話、また過去のことを踏まえて弁護士となったからには、非行を起こしている少年、少女に自分は何をしなければならないのかということをとてもハキハキと答えていて、すごく立派でした。
この本は自分自身に書いたというよりも、多くの若い子に読んで欲しいという願いか、難しい言葉にはふりがななどがついていて読みやすく、受験を控えている子どもや、将来の夢に向かって頑張っている方など、多くの人にお勧めしたい本です。

モデレーターのコメント
 いじめられたところなんかはとても平和の文化などと言えるものではないですが、大平さんがその苦しみを越えて前向きに生きて行こうと決意したこと、決意させた人がいたことなのでしょうね。

ピースキー
(1)生命の尊重  (2)非暴力   (4)傾聴 


中越地震の体験から

2007-07-24 02:25:34 | ニュース
レポーター りんごのおはなし

 私が実際に体験して感じた、人と人とのつながりや温かさをお話してみたいと思います。 
 私がまだ高校生だった頃、それは楽しい思いでを作った修学旅行から帰ってきて間もない時でした。あたりも薄暗くなってきていた時間帯、2004年10月23日(土)午後5時56分に中越地震は起こりました。いきなりの大きな揺れと、地響きのような地中から聞こえる変な音と、電気が消えた暗闇と…あたりは一瞬で何が起こっているのかわからない状況でした。
 実際に震災が起きると、私たちが生活するのに必要としているものはすべて絶たれてしまいます。電気や水はもちろん、場合によっては交通面も、それに携帯電話だって回線が殺到してしまうため使用できなくなってしまうのです。そしてそれ以上に恐ろしいのは、すぐに「何が起きているんだ」という正確な情報が入ってこないということです。自分たちはどうしたらいいのかも、助かるのかも、
すべてが不安な暗闇の中に消えてしまいます。
 私の暮らしていた地域はとても地方の方で高齢者が多く、また、今もですがその多くの方が一人暮らしをされています。一人じゃなくてもこんなに恐いのに、たった一人で真っ暗闇に立たされているなんてもっと恐い思いをしているのではないか…と、避難所まで車で高齢者を送り迎えする大人にくっついて、一緒にたくさんの家をまわったことを覚えています。しかし、思っていたよりも、避難所
で声をかけ励ましあう高齢者の姿には、強さを感じました。修学旅行のお土産にと買ってきたお菓子たちは、避難所で分ける食糧の一部に変わりました。
 その後も揺れている日々が続き、揺れていることにも慣れてしまうほどでした。そんなある日に、妹が学校の給食で出たんだと持って帰ってきたリンゴが一個。そして、手書きの手紙。見せてもらうと、それは秋田の農家の方からでした。その方とはもちろん、一度もお会いしたことはありません。テレビで地震のニュースを見て何かできることはないかと思い、自分たちで育てているリンゴでも役
に立てれば…と送ってくださったのだそうです。
 「この十郎リンゴは、祖父が何もなくなってしまった荒地を開拓して、一生懸命育てたリンゴたちです。私たちは実際に地震を体感していませんが、皆さんにとっての災害は私たちにとっての災害でもあります。どうか一緒に頑張って生きましょう。」
 すごくすごく離れているし、今までかかわりがあったわけでもないのに、手を差し伸べてくれる人がいること。すごくありがたかった感謝の気持ちと、人間の心の温かさを感じました。私もこういった体験を心にとめて、頑張って生きていきたいと思います。

モデレーターのコメント
 人間って本当に素晴らしいですね。こんな体験をできるのは私たちだけです。もちろん戦争や無差別殺人なども人間しかできませんが、人間の素晴らしい面が広がっていけばそれこそ平和の文化が実現することになりますね。 

ピースキー
(1)生命の尊重  (3)助け合い  (6)寛容と連帯 

「サクラ咲ケ」

2007-07-24 02:22:47 | 歌・詩
レポーター la tormenta

 私は保育を勉強する大学2年生で、将来は保育所などで働きたいと思って今の大学に入りました。しかし1年生のときの幼稚園実習をしてから、「自分はこの道で合っているのか」「他にもっと合う仕事があるんじゃないか」などとずっと悩みながら過ごしていました。
 そんなある日、高校時代のノートをあさっていると、高校3年の頃に使っていたノートが出てきました。懐かしくなりパラパラめくっていると最後のページに、自分の字でこう書いてあったのです。
『後ろには 明日はないから 前を向け』
これはかの有名なスーパーアイドルグループ嵐の「サクラ咲ケ」という曲の詩の一部です。
私は受験期に大きな壁にぶち当たり相当へこんでいた頃に、毎日この曲を聞きつづけ、励まされ、勇気をもらいました。そして、ある日の授業中、「この大事な時期になに落ち込んでんだ!そんな後ろばかり向いている時間はないぞ!今からだって間に合うよ!自分のやりたいことがはっきり見えているんだから、あとは前に進むだけじゃないか!!」と自分に言い聞かせながら、ノートの最後のページにこの詩を書いたことを思い出しました。高校時代あんなに頑張って保育系の大学に入り、やっと将来の夢に近づいたのに、今の自分は「これでいいのかなぁ・・・」と悩んでいたのです。
 「保育の仕事が自分に合っているかなんて、将来現場に出てみないとわからないよ。こんなことでくよくよして、高校時代何のために頑張ったの?もう一回まっすぐ前を向いてみよう!!今自分に出来ることをやるしかないんだよ!!」と、思いました。これから、試験・保育所実習・施設実習と難関が待ち受けています。でも、「今の自分はこれをひとつずつ越えていけばいいんだ」と思えるようになりました。これから『サクラ咲ケ』を聞きながら、試験勉強を頑張ろうと思っています。

モデレーターのコメント
 受験生の時代はそれぞれ悩みを抱えながら、それでも前に進まなければなりません。そんなときに出会った曲や本は本当に貴重なものとなります。「サクラ咲ケ」に出会ったことは生きていく上での励みとなって行きますね。

ピースキー
(3)助け合い   (4)傾聴 

「ロックンロールミシン」

2007-07-24 01:44:24 | 
レポーター 666

最近、無性に本を読みたくなり、滅多に行くことのない学校の図書館へ行った。分厚くて細かい文字だと読む気がなくなってしまうので、なるべく薄くて文字が大きいのを探した。本棚を見始めてすぐ、ある本に目が止まった。「ロックンロールミシン」タイトルを見た瞬間にこれだ!!と思った。本の薄さ、文字の大きさ共に言うことがないくらいにピッタリだった。
20代初めのコンピューター会社に勤める賢司は、ある日突然会社を辞めた。高校の同級生の凌一は洋服のオリジナルインディーズブランドを立ち上げ、椿とカツオと共に「世界征服」を目指している。賢司は夢みたいなことを言っている3人を馬鹿にしていたが、徐々にそんな3人に巻き込まれていく。洋服展示会の為に、50着の服を作ることになった。しかし、時間がない為に凌一たちは自分の作りたい洋服ではなく人の作ったものをアレンジして、完成の速さを重視した。そんな中で凌一は自分の作りたいものが作れていないと言い、洋服作りを途中で止めてしまう・・・。
最終的に、賢司はコンピューター関係だが、前とは違う会社に就職し、この事で仲間割れをしてしまった3人のうち椿は抜け、凌一とカツオの2人でまた「世界征服」を目指し始めた。
この本を読んで、色んなことに挑戦してみること、冒険してみること、人生に成功も失敗もないことを感じた。賢司は会社に勤め安定した生活を送っていたが、何か物足りなそうだった。逆に凌一は自分のやりたいと思うことに向かって真っ直ぐに進んでいた。社会の眼から見たら、凌一は非難されるだろう。しかし私は凌一の生き方に惹かれた。何か新しいことを始めるとき、失敗を恐れ縮こまってしまう。そんなことを全く考えず自分の思うままに突き進む凌一に感動した。結果的には挫折してしまったけれど、それも人生だと思えるくらいにのめり込んで後悔ではなく、達成感があればいいと思った。
私も自分の意見をしっかりと持ち、上手くいってもいかなくても、後悔のないよう思いっきり生きたい。

モデレーターのコメント
 人生は一度しかありません。後悔しないためには自分のやりたいことに挑戦していくことではないでしょうか。この作品が生き方を教えてくれたとすれば、レポーターにとってはかけがえのない作品ですね。

ピースキー
(2)非暴力    (6)寛容と連帯 

私の特効薬

2007-07-24 01:34:32 | ニュース
レポーター 夏

私は、何か蟠りや辛いこと、苦しいことがあるとお風呂につかりひたすら泣いていることがある。
何がそんなに不安なのかも、辛いのかも分からない。けど、なんだか心が安らがず、ひたすら胸がざわつき無性に泣きたくなるのだ。悩んでいても始まらない、考えても人の心がはっきりと分かる事なんてないと思い、泣いたって何かが変わる訳じゃないと考えて泣くのをやめる。だけど、やっぱり心の不安や蟠りは消えることなく再び泣き出してしまう。
「人間に感情がなければこんな思いしなくて済むのに」と暗く深い闇の中にどんどんはまっていってしまう。こんな、自分が嫌になり再び泣く。いつまでも、いつまでも終わらない深い闇のどん底に迷い込んでしまう事もある。
 そんな時に、大好きな友人達から他愛もないメールが来ると思わず、今まで悩んでいたことを忘れて友人達とのメールを楽しむ自分が居る事に気づき「現金な奴だ」と思ってしまうこともある。しかし、こうゆう時、人の存在というのがどんなに大きいのか思い知る。人は、人無くして生きていけなくて、お互いが依存して生きている。誰かの助けが欲しい時、惜しげもなく手をさし伸ばしてくれ
る人がいるだけで、それだけで人は生きていけるのではないかと思う。メールを送った本人やただ単に言葉を掛けただけの人からしてみれば、他愛のない言葉やいつものような態度であっても送られた人からしてみると、それは、大きな励ましの言葉や今までの悩みを吹き飛ばすぐらいの特効薬であることもある。
 友人達のメールや言葉によって私は、いつも助けられている。そんな、友人達に感謝したいと思う。
私が助けられたように、私も誰かの助けになるように生きていきたいと思う。

モデレーターのコメント
 日常の生活で悲しいことや辛いことは必ず出てきます。そうしたときに人はどのように解決するのか、と問われるとなかなかむずかしいものです。この記事では友達の存在がどんなに大切なのかを表現していて、心が豊かになります。

ピースキー
(3)助け合い  (4)傾聴 


『アーモンド入りチョコレートのワルツ』

2007-07-24 00:51:08 | 
レポーター とも 
  
 私の好きな本の1つに 『アーモンド入りチョコレートのワルツ』という小説があります。この本は3作の短編が書かれているもので、その全てがどこか懐かしく、読んでいると昔に戻ったようにその情景がありありと浮かびます。
 なかでも3作目の作品が1番お気に入りなのですが、その話は虚言症の女の子と不眠症の男の子が旧校舎の音楽室で出会うところから始まります。お互い不眠症で悩んでいることを知り、それを分かち合う中で惹かれていく2人。しかしある日、主人公の男の子は彼女が虚言症であることを友人から聞き、今まで共通の悩みとして話してきた不眠症の話が全て嘘であることを知り、ショックを受けま
す。しかし男の子は、彼女の嘘は人を騙し傷つけそれを嘲笑うような嘘ではなく、人を楽しませるため、人を励ますために嘘の話ばかりをしてしまっていたということに気づき、彼女の虚言症を受け入れようと音楽室に会いに行く・・・という話です。
 旧校舎の音楽室という不思議な静けさと隠れ基地のような特別感、ドラマチックではないけれど2人の素朴な恋模様に胸がキュンとなり、本当の意味で理解し合うことの大切さ・素晴らしさに胸が熱くなりました。周りの噂に流されず、多方面から相手を見つめ理解する。私たちの日常でもこのことはなかなか難しく、しかし人との関係を築くうえで最も大切なことであると思います。
 他の2作品もとても暖かく、読みやすい話です。よかったら読んでみてください。

モデレーターのコメント
 現代の人間関係の問題点をストーリーという形で表現したもので、「嘘」について新たな視点を与えてくれますね。相手を傷つけまいとして嘘をつく場面というのは、人間の生活において必ず出てきますが、それを美しいものとして描くことも大切だと示唆しています。

ピースキー
(2)非暴力    (4)傾聴 

「チキンリトル」

2007-07-24 00:48:40 | 映画・ビデオ
レポーター マキロン

先日ずっと観たいと思っていたチキンリトルのDVDを借りてきて観ました。子供向けの映画だと思っていたので、内容はただ面白いだけのものであるのかと思いきやそうではなかったのです。ちっさなチキンリトルの一生懸命な姿が描かれていて、かつ面白い場面もあり、笑って泣ける内容でした。
 この映画の中で注目したい点は、チキンリトルとお父さんの関係です。最初チキンリトルは自分のお父さんにも自分の言っていることを信じてもらえない微妙な関係で、その関係を一生懸命頑張り、色々と活躍する中で信じてもらえるようになるというものですが、もう感動で感動で、すごーい観てよかったなって思えるような内容の映画でした。皆さんも観たことがない人は是非1度観てみてください。すごい感動しますよ。

モデレーターのコメント
 家族でも人間関係をつくっていくのは大変な時代になってきましたが、映画を通じてそうした家族を通じての人間関係をつくっていくものは貴重ですね。一生懸命生きることの大切さを紹介する記事でした。

ピースキー
(3)助け合い  (4)傾聴 

東山紘久著 2000「プロカウンセラーの聞く技術」創元社

2007-07-11 14:20:17 | 
ペンネーム A

私は人の話を聞くということに興味があり、゛聞く゛という言葉をキーワードに本を探しているときにこの本を見つけました。本の内容としては、そもそもの聞き手の立場から、話を゛ただ゛聞くためのコツなどがいくつか載っています。目次を紹介すると、

聞き上手は話さない
真剣に聞けるのは、一時間以内
相づちを打つ
相づちの種類は豊かに
相づちはタイミング
避雷針になる
昔の主婦は聞き上手
自分のことは話さない
他人のことはできない
聞かれたことしか話さない

などなど、合づちの打ち方やどこまで相手の話を聞くのが対人関係の面で良い距離なのか…など、普段の生活で今からでもすぐに実践できるものでした。

感想:人の話に耳を傾ける゛傾聴゛について知りたいと思い手に取った本でしたが、本の題にもあるように、人の話を聞くのは本当に一種の技術なんだと思いました。話を゛ただ゛聞くといっても人はもともと話すことのほうが好きで、聞き役のはずがいつのまにか話し手に替わってしまっている、ということが多々あるのです。文中に多用された言葉に“訓練が必要”というのがありますが、本当に人の話を聞けている人は極わずかなんだろうと思います。カウンセラーの方が書いた本なので、聞き手に徹する方法がメインに書かれていますが、カウンセラーを目指している人だけでなく、普段の生活で身の回りの人間関係を考えたい人も興味の持てる内容です。本を読んだだけでなく、面白そうだから自分でもやってみる、ということができるオススメの一冊です。

●モデレータからのコメント
 お互いを尊重しあう人間関係とは、お互いに相手の言うことをよく聞くことから始まります。上手に誠実に聞く技術は、平和を築く基礎として大切ですね。

●ピースキー: (4)傾聴 (3)助け合い

内田雅敏1994『「戦後補償」を考える』講談社現代新書

2007-07-10 18:05:11 | 
ペンネーム:デコ

なぜ選んだか?:
私はゼミで「イラク戦争・湾岸戦争におけるアメリカ政府の行動」というテーマを中心に活動しますが、アメリカを考える前にまず日本についての知識が必要であると考えました。ただ単に「日本は戦争に負けた」「原爆を落とされた」などではなく、逆に戦時中や戦後、日本が他国に対して表面では決して語られる事のないひどい行為についてもっとよく知っておかなければならないと感じ、そしてその事実を踏まえた上でアメリカや諸外国と比較してみたいなと思いました。それと、ゼミの仲間がこの「戦後補償を考える」の本を推薦してくれたのでよし読もうと思い、大学の図書館で借りてきました。

本の内容:4つの題から構成されています。
①十五年戦争(アジア・太平洋戦争)の経過。この章では戦争経緯を簡単に紹介している。
②戦時下の日本がやったこと。住民虐殺・強制連行・強制労働・軍票問題の真実。
③戦後処理と賠償・補償問題。日本の賠償と諸外国の賠償の違い。
④戦後補償の核心と歴史認識。反省なき行動と発言、本当に求められているのは何か。

感想・意見:
自分の知識がなかったこともありますが、恐らく公にはさして語られることのない事実が記載されていて衝撃を受けました。読んで考えさせられたのは日本は広島・長崎に原爆を落とされた「被害国」ではあるが、同時にアジアの国々を侵略し朝鮮人・中国人を強制連行・強制労働させ、従軍慰安婦問題、南京大虐殺などを実行した「加害国」であることを忘れてはならないということです。アメリカとの戦争と考えがちですがアジアの国々に対して酷い事を行っていたのです。しかし日本は前者のことだけに焦点を当て、後者のことは忘れてしまっているのではないか。いや「忘れさせる」ようにしているのではないかと。

この本が発行された頃、一部の人物が「南京大虐殺やアジア侵略は無かった」と発言していた始末です。結局日本の戦争責任は曖昧にされたままになっているのではないでしょうか?都合の悪い事実は消したいものですが、しかし過ちは歴史として永久に残るものだと思います。ユダヤ人を大量虐殺したヒトラー政権下のドイツとは戦後補償の対応に差が出ています。なかった事にするのではなく、こういうことがあったのだと後世に語り継ぎ、今後二度と起こらないようにしなければならないのです。

この問題は決して謝って済むような事ではありませんが、「加害者」としてアジア諸国への表面的な謝罪ではなく、被害を受けた全ての人へ心から謝罪しなければならないでしょう。

●メディエータのコメント
戦後処理は、お金の賠償だけでなく、加害者と被害者の和解が成立してはじめて確固としたものになります。真実和解を求めてのとりくみが、今でも必要なのです。

●ピースキー:(1)生命の尊重 (6)寛容と連帯

ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』( みすず書房)

2007-07-10 17:57:01 | 
ペンネーム:in

私がこの本を選んだのは、差別に関する内容である事と、受験の時に読み、強く心に残った本だったからである。

内容: この本の著者であり、ユダヤ人であるヴィクトール・E・フランクルが大戦中、強制収容所内に収容され、収容所での体験が書かれている。しかし、ただの体験記でなく、一人の心理学者としての視点から見た収容所内での体験記である。

感想: 本の背表紙に「言語を絶する感動」と書かれているが、この本を読んでいる時も、読み終わった後も、私には感動というものは産まれなかった気がする。
それはこの本を読むのが大学受験のためだったからかもしれない。
勉強をするために読むのであって、時期的にも感動とかそういうものが必要なかったからかもしれない。
別に選択して捨てたわけではない。
だが、それだけではこの事を説明しきる事は出来ない様にも感じる。

私に産まれたのはinterestingという感情。
人間学…人間というものを学んでいたような気がする。
著者も言うように、我々が知らなかった人間がここにはいる。
目の前にある死を選ばずに、不確かな希望を信じて生きる、強い人間。
神を信じ、境遇を受け入れる、崇高な人間。
私は、この本にいる、まだ私の知らない人間が知りたくて夢中で読んだ。
そうでなければ私がこの本を2日で読むという事は出来なかっただろう。
(一冊本を読み終えるのに、一週間はかかる。)
いや、生々しさを考えれば読むことすらできなかったかもしれぬ。

私が抱いた感情もふまえ、やはりこの本には感動という言葉は相応しくない。
この本を表す言葉として、より近く、確かな表現は「感銘」という言葉ではなかろうか。
感動という言葉はそこで、その場所で途切れてしまいそうな、「一時」を表すように聞こえる。
だが、感銘という言葉は、感動より深く、いや私から発せられる感情が置き去りにされ、私自体がそれに震わせられ、私が変わらずにはいられないような感覚…このような意味で感銘というものを述べるのなら、私も間違いなくこの本に感銘を受けた一人と言えよう。

これまで多くの人が「感銘」を受けたからこそ、この本は読まれ続けている、と私は思う。

●モデレーターのコメント
私も学生時代に読んで感動した本です。
人間の心理の暗部と希望について考えさせられました。

●ピースキー: (1)生命尊重 (6)寛容と連帯

王敏(ワンミン)2005『中国人の愛国心』PHP新書

2007-07-10 17:50:43 | 
ペンネーム kan

教育基本法改正で「愛国心」が問題になっているとき大学生協でこの本を見つけ、面白そうだと思ったので紹介します。

中国において、「愛国心」は大人になるための条件であるとともに、人間にとってきわめて価値の高いものであると考えられている。

本書では、日本人とは違う精神構造を持つ中国人の心を読み解く5つのキーワード(「愛国」「歴史」「徳」「中華」「受容と抵抗」)で中国人の愛国心を7つの章に分けて分析している。

5つのキーワードの1つである「歴史」について、中国人はなぜあれほどまで 「靖国問題」などの歴史的問題をしつこく持ち出すかというと、日本人とは「歴史」に対する認識の違いがあるからである。日本人にとって「歴史」はあくまでも教養としての位置づけあるのに対し、中国人には生きるためのマニュアルのように捉えられている。中国人にとって「歴史」とは過去の出来事ではなく、現在と密接な関わりを持つものとして受け止められているのだ。

又、最近の中国の変化なども書かれている。近年の日中間では、文化交流が盛んであり、日本の音楽やファッションに憧れを抱く若者が増え、日本のテレビ番組やアニメに日々接っすることで、日本に対する違和感が減ってきている。

著者は最後に、「今後の日中関係の鍵を握るのは民間交流ではないかと思う。 民間が交流していけば、政府間がどれだけギクシャクしていようと問題は解決できるはずだ。」「文化交流を通じて、両国国民の心の交流がさらに進むことを願ってやまない。」としている。

この本を読み、色々な交流を通じてお互いに理解し合うことで、日中間の問題だけではなく様々な問題が解決できるのではないかなと思った。

●モデレーターのコメント
中国の人々の声を集めた本として、姜 著 佐治俊彦監訳 周 訳 2007『南京市民はいま、日本をどうみているか』(草の根出版会)が最近発行されました。あわせて読んでみてはどうでしょう

●ピースキー:
  (4)傾聴、(6)寛容と連帯