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雛の捕獲について思う事

2015-05-27 05:46:40 | 繁殖

札幌でもボソの雛の巣立ちが始まった。
来週からは早期営巣チームのブトの雛の巣立ちが始まりいよいよ本格的な巣立ちシーズンを迎える。

巣立ちを心待ちにして見守っている人も多いと思う。
嫌がり淘汰しようとする人もいると思う。
どちらが正しいかを問うつもりもないが法に触れる行いは止めて欲しいと思う。

 

毎年自分の意志とは反する決断をしなければいけない事が起こる。
それは「巣立ちに失敗した雛の捕獲」である。

全ての雛が捕獲という訳ではないがカラスの雛の場合ほとんど飛び上がる力がない状態で巣立ってしまう。
そのため一旦地面に下りてしまうと樹上などへ飛び上がる事が出来ないのである。
本来なら自然な事なのでそのままにしておくのがベストだが都会だとそれは不可能に近い。

雛に指を掴ませて力強く握ってくれるようなら樹上へ戻すと大丈夫な場合が多い。
しかしこれも公園や樹木が多い場所だと可能だが下枝がほとんどない街路樹だと不可能である。



地面にいる雛がボソの場合だと親の威嚇行動もほとんど見られないので静観という方法も可能である。
しかしこれがブトだと親が地面にいる雛を命がけで守ろうとして動くもの全てを 排除しようと攻撃に出てしまうのである。
この行動を見て「カラスが狂暴になった」という人も少なくない。
しかしこの行動は狂暴ではなく「雛を守りたい」という防衛本能であり高度な脳を持つ動物ほど顕著に表れるようなきがする。

更に最悪なのは雛の脚が生まれつきクル病などで曲がっていて歩けななかったり翼が変形していて飛べなかったりした場合である。
脚が曲がって歩けないので樹上へ戻しても掴む事が出来なくてまた落ちてしまう。
カラスは弱っている雛に付きっきりになってしまい攻撃も激しくなってしまう。
私が自分の意志と反する決断をするのはこのような場合である。 



雛に兄弟がいる場合はかわいそうだけど成長見込みのない雛を親から離す事により親は一瞬怒るがすぐに残りの兄弟の育雛に没頭できる。
なんでそんなかわいそうな事をする?と問われそうだが仮に放っておいて親が攻撃しまくった場合は周辺の人が「このカラスは狂暴で危険だ」と刷り込みしてしまう。
そうなると翌年以降このカラスの巣が取られて繁殖自体できなくなる可能性が高くなる。
私はその方がずっとかわいそうだと思うので見込みのない雛にはかわいそうだけど犠牲?になってみらい翌年以降も親が繁殖できる環境と整えたいと思う訳である。

出来る事ならそんな悲しくてかわいそうな決断をしたくない。
都会という環境で暮らすと言うことはメリットもあるがデメリットもあり「デメリット=死への階段」という表現が妥当かもしれない。
私自身が決断をして雛を捕まえて(捕獲許可証保持)業者さんへ引き渡すのだがその時の雛の濁りのない透き通ったブルーに瞳が焼き付いて離れない。


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