弱い文明

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『在日音楽の100年』刊行記念合評会&盧佳世ミニ・コンサート

2009年06月10日 | 書籍
 自分も行きたい企画だったのに行けなくなりそうなので、せめてここで紹介させてもらおうと思う。今年はじめに刊行された『在日音楽の100年』という本の合評会と、そこで論じられている歌手の一人、盧佳世さんのミニ・コンサートという企画。今週の土曜日。

 ここでの「在日音楽」というのは、ジャズだとかロックだとか演歌だとかいうような意味でのカテゴリーではない。僕が読んだ限りの理解では、朝鮮半島出身者、あるいはその子孫であるところのいわゆる「在日」の人たちが、日本または日本の影響下にある社会の中で音楽活動に身を投じる中で培った、ある共通性について与えた名称、と考えればいいと思う。出自を意識しつつ独自性を磨き、橋渡しにもなり、それでも決して薄らぐことのない、狭間に生きることの価値そのもの、というべきか。
 難しい本ながら、ありがちな言葉で言えば目からウロコ、だけど、僕自身の「純粋な文化」というものを根本的に疑っている立場からは、我が意を得たりと思うところの多い本でもあった。
 より詳しい書籍についての解説は早尾貴紀さんのブログの記事を参照してもらいたい。以下にイベントの概要を転載する。
宋安鍾『在日音楽の100年』(青土社)刊行記念合評会
               &盧佳世ミニ・コンサート


 宋安鍾氏の『在日音楽の100年』(青土社、2009年)が刊行されました。これは、日本と朝鮮半島とのあいだの一世紀にわたる歴史を、人物史と芸能史そして背景となる政治史を織り交ぜながら、丁寧に掘り下げていった力業であり、カルチュラル・スタディーズ/ポストコロニアル・スタディーズにおける一画期をなす作品です。これを期に、著者の宋安鍾さんを金沢からお呼びしての合評会シンポジウム、および宋さんが同書で取り上げた盧佳世さんのミニ・コンサートを、あわせて開催します。

 第一部では、『在日音楽の100年』をめぐって討論をします。討議者は、「在日」に関して政治・思想・文化の観点から研究をされている洪貴義さん、琉球弧を中心とした移住者の芸能史を研究されている本山謙二さん、『おんなうた』や『全-世界音楽論』などの著書のある音楽評論家の東琢磨さん、そして『千のムジカ』を昨年刊行された音楽評論家の平井玄さんの4人です。

 第二部では、宋さんの同書第5章で論じられている歌手・盧佳世さんと、彼女の音楽に深く共鳴しいっしょに音楽活動をされている矢野敏広さんを招き、同書の刊行を記念して、ミニ・コンサート&トークをします。お楽しみに!

 日時:2009年6月13日(土)13:30-18:30
 会場:東京麻布台セミナーハウス2階大会議室
(港区麻布台1-11-5/日比谷線神谷町駅から東京タワーへ徒歩3分)地図

【プログラム】
 第一部 宋安鍾『在日音楽の100年』を読む(13:30-16:30)
  書評コメント:東琢磨、平井玄、洪貴義、本山謙二
  著者リプライ:宋安鍾
  総合討議:5人全員

 第二部 盧佳世ミニ・コンサート(17:00-18:30)
  出演:盧佳世(ヴォーカル)
     矢野敏広(ギター)  

 司会・コーディネート:早尾貴紀、浜邦彦

主催:CAPP基盤研究「市民社会による移住者コミュニティ受容の日韓比較」
後援:DeMusik Inter. / CAPPディアスポラ研究会

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