安倍プーチン首脳会談 北方領土に最終決断した安倍総理?!
今回の北方領土交渉の意味 鈴木宗男
https://youtu.be/ujIAbqXhn98
今回の2島返還+αが導かれる迄の日ソ・日露間の交渉を振り返ります。
北方領土問題が発生してから2016年4月迄の日ソ間/日露間交渉の概要及び、日露首脳会談(平成30年11月14日)の骨子を外務省の北方領土関連サイトより拾い出してみました。
~ソ連時代~
日ソ共同宣言(1956年)
歯舞群島及び色丹島を除いては、領土問題につき日ソ間で意見が一致する見通しが立たず。そこで、平和条約に代えて、戦争状態の終了、外交関係の回復等を定めた日ソ共同宣言に署名。
→平和条約締結交渉の継続に同意。
→歯舞群島及び色丹島については、平和条約の締結後、日本に引き渡すことにつき同意。
日ソ共同宣言後の日ソ交渉
(1)ソ連は、1960年、対日覚書を発出し、日ソ共同宣言で合意された歯舞群島及び色丹島の引渡しについて、日本領土からの全外国軍隊の撤退という全く新たな条件を課すことを一方的に声明。これに対し、我が国は、対ソ覚書により、国際約束である日ソ共同宣言の内容を一方的に変更することはできない旨反論。
(2)田中総理訪ソ(1973年)
日ソ共同声明において、「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結することが、両国間の真の善隣友好関係の確立に寄与することを認識し、平和条約の内容に関する諸問題について交渉した。」と明記。
→ブレジネフ書記長は、北方四島の問題が戦後未解決の諸問題の中に含まれることを口頭で確認。
(3)それにもかかわらず、その後ソ連は長い間「領土問題は存在しない」との態度。
ゴルバチョフ大統領の訪日(1991年4月)
日ソ共同声明において、ソ連側は、四島の名前を具体的に書き、領土画定の問題の存在を初めて文書で認めた。
~エリツィン大統領時代~
1991年8月、保守派によるクーデタ未遂事件が発生。12月ソ連邦は崩壊。
エリツィン大統領の訪日(1993年10月)
(1)東京宣言(第2項)において、
(イ)領土問題を、北方四島の帰属に関する問題であると位置付け、
(ロ)四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化するとの手順を明確化し、
(ハ)領土問題を、
1)歴史的・法的事実に立脚し、
2)両国の間で合意の上作成された諸文書、及び、
3)法と正義の原則を基礎として解決する、との明確な交渉指針を示した。
(2)また、東京宣言は、日ソ間の全ての条約その他の国際約束がロシアとの間で引き続き適用されることを確認。
(エリツィン大統領は記者会見で、日露間で有効な国際約束に1956年の日ソ共同宣言も含まれると発言。)
クラスノヤルスク首脳会談(1997年11月)
「東京宣言に基づき、2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くす。」
川奈首脳会談(1998年4月)
川奈合意
「平和条約が、東京宣言第2項に基づき四島の帰属の問題を解決することを内容とし、21世紀に向けての日露の友好協力に関する原則等を盛り込むものとなるべきこと。」
小渕総理の訪露(1998年11月)
モスクワ宣言において、
-東京宣言、クラスノヤルスク合意及び川奈合意を再確認。
-国境画定委員会及び共同経済活動委員会の設置を指示。
~プーチン大統領時代~
プーチン大統領の訪日(2000年9月)
(1)「平和条約問題に関する日本国総理大臣及びロシア連邦大統領の声明」に於いて、
-クラスノヤルスク合意の実現の為の努力を継続することを確認。
-これ迄の全ての諸合意に立脚して、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を策定する為交渉を継続することを確認。
(2)プーチン大統領が「56年宣言は有効であると考える」と発言。
(3)プーチン大統領は、川奈提案は、日本側の「勇気と熟慮の成果」であったとしながらも、「妥協についての我々の考え方と完全には一致していない」として拒否。
イルクーツク首脳会談(2001年3月)
イルクーツク声明において、
(1)56年日ソ共同宣言を交渉プロセスの出発点と位置づけ、その法的有効性を文書で確認。
(2)その上で、東京宣言に基づいて四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの日露共通の認識を再確認。
小泉総理の訪露(2003年1月)
(1)共同声明において、両首脳の間で、四島の帰属の問題を解決し、平和条約を可能な限り早期に締結し、もって両国関係を完全に正常化すべきとの「決意」を確認。
(2)「日露行動計画」において、56年日ソ共同宣言、93年東京宣言、2001年イルクーツク声明の3文書が具体的に列挙され、その他の諸合意と併せ、今後の平和条約交渉の基礎とされた。
安倍総理の訪露(2013年4月)
(1)戦後67年を経て日露間で平和条約が存在しないことは異常であるとの認識を共有し,双方の立場の隔たりを克服して,2003年の共同声明及び行動計画において解決すべきことが確認されたその問題(四島の帰属の問題)を最終的に解決することにより平和条約を締結するとの決意を表明。
(2)平和条約問題の双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるとの指示を両国外務省に与えることで一致。
岸田外務大臣の訪露(2015年9月)
北方領土問題について外相間で突っ込んだ議論を行い,事実上一時中断していた平和条約締結交渉を再開すると共に,2013年4月に両国首脳間で合意した通り,双方で受入れ可能な解決策を作成する作業を再確認。
ラヴロフ露外相の訪日(2016年4月)
日露双方の歴史的な解釈や法的な立場に違いはあるも,その上に立って,双方に受入れ可能な解決策を作成していくことを確認し,今後の交渉に弾みを与えるような前向きな議論を行った。
安倍総理のソチ非公式訪問(2016年5月)
これまでの交渉の停滞を打破し,突破口を開くため,双方に受入れ可能な解決策の作成に向け,今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で,交渉を精力的に進めていくとの認識を共有した。
日露首脳会談(平成30年11月14日)
1 政治日程
両首脳は,ブエノスアイレスG20の際に首脳会談を実施し,また年明けに安倍総理が訪露することで一致。
2 平和条約締結問題
北方四島における共同経済活動について,10月初めに「ビジネス・ミッション」が実施されたことを歓迎し,首脳間で作業の進捗を確認した上で,双方の法的立場を害さない形でプロジェクトを早期に実施するべく,更に作業を進めることで一致。
元島民の方々の為の人道的措置について,安倍総理が,より一層の信頼醸成に向けて,協力を更に進展させる働きかけを継続。
テタテ会談の結果として,「1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる。そのことをプーチン大統領と合意した。」と発表。
3 日露経済
両首脳は,8項目の「協力プラン」が具体化している事を歓迎。
貿易経済日露政府間委員会を12月18日に東京で開催する事を確認。
4 安全保障分野での協力
10月初めの河野統合幕僚長の訪露,11月10日に行われたアデン湾におけるロシア海軍艦艇との海賊対処訓練が取り上げられ,両首脳は防衛当局間の信頼醸成を進める事で一致。
安倍総理が麻薬対策に関する「ドモジェドヴォ・プロジェクト」に言及しつつ,こうした非伝統的脅威への対応における協力も更に進め,日露間の協力分野を広げていきたい旨述べ,プーチン大統領もこれに同意。
5 国際情勢
北朝鮮情勢について,率直に議論。両首脳は,北朝鮮の非核化の実現に向け,今後も緊密に連携していく事を確認。
今回の北方領土交渉の意味 鈴木宗男
https://youtu.be/ujIAbqXhn98
今回の2島返還+αが導かれる迄の日ソ・日露間の交渉を振り返ります。
北方領土問題が発生してから2016年4月迄の日ソ間/日露間交渉の概要及び、日露首脳会談(平成30年11月14日)の骨子を外務省の北方領土関連サイトより拾い出してみました。
~ソ連時代~
日ソ共同宣言(1956年)
歯舞群島及び色丹島を除いては、領土問題につき日ソ間で意見が一致する見通しが立たず。そこで、平和条約に代えて、戦争状態の終了、外交関係の回復等を定めた日ソ共同宣言に署名。
→平和条約締結交渉の継続に同意。
→歯舞群島及び色丹島については、平和条約の締結後、日本に引き渡すことにつき同意。
日ソ共同宣言後の日ソ交渉
(1)ソ連は、1960年、対日覚書を発出し、日ソ共同宣言で合意された歯舞群島及び色丹島の引渡しについて、日本領土からの全外国軍隊の撤退という全く新たな条件を課すことを一方的に声明。これに対し、我が国は、対ソ覚書により、国際約束である日ソ共同宣言の内容を一方的に変更することはできない旨反論。
(2)田中総理訪ソ(1973年)
日ソ共同声明において、「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結することが、両国間の真の善隣友好関係の確立に寄与することを認識し、平和条約の内容に関する諸問題について交渉した。」と明記。
→ブレジネフ書記長は、北方四島の問題が戦後未解決の諸問題の中に含まれることを口頭で確認。
(3)それにもかかわらず、その後ソ連は長い間「領土問題は存在しない」との態度。
ゴルバチョフ大統領の訪日(1991年4月)
日ソ共同声明において、ソ連側は、四島の名前を具体的に書き、領土画定の問題の存在を初めて文書で認めた。
~エリツィン大統領時代~
1991年8月、保守派によるクーデタ未遂事件が発生。12月ソ連邦は崩壊。
エリツィン大統領の訪日(1993年10月)
(1)東京宣言(第2項)において、
(イ)領土問題を、北方四島の帰属に関する問題であると位置付け、
(ロ)四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化するとの手順を明確化し、
(ハ)領土問題を、
1)歴史的・法的事実に立脚し、
2)両国の間で合意の上作成された諸文書、及び、
3)法と正義の原則を基礎として解決する、との明確な交渉指針を示した。
(2)また、東京宣言は、日ソ間の全ての条約その他の国際約束がロシアとの間で引き続き適用されることを確認。
(エリツィン大統領は記者会見で、日露間で有効な国際約束に1956年の日ソ共同宣言も含まれると発言。)
クラスノヤルスク首脳会談(1997年11月)
「東京宣言に基づき、2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くす。」
川奈首脳会談(1998年4月)
川奈合意
「平和条約が、東京宣言第2項に基づき四島の帰属の問題を解決することを内容とし、21世紀に向けての日露の友好協力に関する原則等を盛り込むものとなるべきこと。」
小渕総理の訪露(1998年11月)
モスクワ宣言において、
-東京宣言、クラスノヤルスク合意及び川奈合意を再確認。
-国境画定委員会及び共同経済活動委員会の設置を指示。
~プーチン大統領時代~
プーチン大統領の訪日(2000年9月)
(1)「平和条約問題に関する日本国総理大臣及びロシア連邦大統領の声明」に於いて、
-クラスノヤルスク合意の実現の為の努力を継続することを確認。
-これ迄の全ての諸合意に立脚して、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を策定する為交渉を継続することを確認。
(2)プーチン大統領が「56年宣言は有効であると考える」と発言。
(3)プーチン大統領は、川奈提案は、日本側の「勇気と熟慮の成果」であったとしながらも、「妥協についての我々の考え方と完全には一致していない」として拒否。
イルクーツク首脳会談(2001年3月)
イルクーツク声明において、
(1)56年日ソ共同宣言を交渉プロセスの出発点と位置づけ、その法的有効性を文書で確認。
(2)その上で、東京宣言に基づいて四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの日露共通の認識を再確認。
小泉総理の訪露(2003年1月)
(1)共同声明において、両首脳の間で、四島の帰属の問題を解決し、平和条約を可能な限り早期に締結し、もって両国関係を完全に正常化すべきとの「決意」を確認。
(2)「日露行動計画」において、56年日ソ共同宣言、93年東京宣言、2001年イルクーツク声明の3文書が具体的に列挙され、その他の諸合意と併せ、今後の平和条約交渉の基礎とされた。
安倍総理の訪露(2013年4月)
(1)戦後67年を経て日露間で平和条約が存在しないことは異常であるとの認識を共有し,双方の立場の隔たりを克服して,2003年の共同声明及び行動計画において解決すべきことが確認されたその問題(四島の帰属の問題)を最終的に解決することにより平和条約を締結するとの決意を表明。
(2)平和条約問題の双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるとの指示を両国外務省に与えることで一致。
岸田外務大臣の訪露(2015年9月)
北方領土問題について外相間で突っ込んだ議論を行い,事実上一時中断していた平和条約締結交渉を再開すると共に,2013年4月に両国首脳間で合意した通り,双方で受入れ可能な解決策を作成する作業を再確認。
ラヴロフ露外相の訪日(2016年4月)
日露双方の歴史的な解釈や法的な立場に違いはあるも,その上に立って,双方に受入れ可能な解決策を作成していくことを確認し,今後の交渉に弾みを与えるような前向きな議論を行った。
安倍総理のソチ非公式訪問(2016年5月)
これまでの交渉の停滞を打破し,突破口を開くため,双方に受入れ可能な解決策の作成に向け,今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で,交渉を精力的に進めていくとの認識を共有した。
日露首脳会談(平成30年11月14日)
1 政治日程
両首脳は,ブエノスアイレスG20の際に首脳会談を実施し,また年明けに安倍総理が訪露することで一致。
2 平和条約締結問題
北方四島における共同経済活動について,10月初めに「ビジネス・ミッション」が実施されたことを歓迎し,首脳間で作業の進捗を確認した上で,双方の法的立場を害さない形でプロジェクトを早期に実施するべく,更に作業を進めることで一致。
元島民の方々の為の人道的措置について,安倍総理が,より一層の信頼醸成に向けて,協力を更に進展させる働きかけを継続。
テタテ会談の結果として,「1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる。そのことをプーチン大統領と合意した。」と発表。
3 日露経済
両首脳は,8項目の「協力プラン」が具体化している事を歓迎。
貿易経済日露政府間委員会を12月18日に東京で開催する事を確認。
4 安全保障分野での協力
10月初めの河野統合幕僚長の訪露,11月10日に行われたアデン湾におけるロシア海軍艦艇との海賊対処訓練が取り上げられ,両首脳は防衛当局間の信頼醸成を進める事で一致。
安倍総理が麻薬対策に関する「ドモジェドヴォ・プロジェクト」に言及しつつ,こうした非伝統的脅威への対応における協力も更に進め,日露間の協力分野を広げていきたい旨述べ,プーチン大統領もこれに同意。
5 国際情勢
北朝鮮情勢について,率直に議論。両首脳は,北朝鮮の非核化の実現に向け,今後も緊密に連携していく事を確認。