遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

古瀬戸四耳壷のゴジラ

2019年10月15日 | 古陶磁ー全般

 

古瀬戸の四耳壷です。

時代は、鎌倉時代後期(14世紀)頃です。


                       高 30.2㎝


発掘品です。

昭和30年代、瀬戸、美濃は、空前の発掘ブームにわき、多数の古陶磁が土中から掘り出されました。

この壷も、その時に日の目をみた品の一つでしょう。

この手の品には、ほとんどの場合、割れた部分を別の陶片で補う呼び継ぎがなされているのですが、この壷は珍しく大きな割れはなく、オリジナルボディです。

 

 

口に欠け。

 

高台にも欠け。

大きな疵は、この二つです。

4つの耳も、完璧に残っています。

堀り師がよほど上手かったか、運がよかった(^|^;)

 

胴の真ん中に、発掘の際、堀具がカツンと当った跡まで残っています。

堀師の息詰まるような緊張感が伝わってきます。

 

 

釉は、土中でだいぶ風化、剥奪していますが、割合残っています。

 

焼成中の灰垂れもかすかに見られます。

 


古瀬戸の壷や瓶子は人気があり、骨董市にもいっぱい偽物が並んでいます。

たいていは、笑えるような物ですが、中には『お主できるな』と言いたくなる品もあります。

真贋見極めの一つは、首の内部。接合時、土をギュッと押さえた陶工の力強い指跡が、首周りにグルッとついています。

 


その他に、陶工が残したものが何かないだろうか?


ん?!口の内側に何かが・・・

 

 

もう少し近寄ってみると、確かに何かが描かれています。

 

さらにズーム・・・

 

こっ、これはっ! 

・・・・ゴジラ


鎌倉時代に、すでにゴジラがいたのです。

ゴジラの記憶は、土中に、700年間、封印されていたのですが、それが今よみがえったのです。

次は、ゴジラの骨か化石を探しましょう。

発見できれば、ノーベル賞まちがいなし(むしろ、イグノーベル賞(^.^;)


おッと忘れてました。

今は、発掘禁止(^|^;)

 

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亀山焼染付山水紋深皿

2019年10月13日 | 古陶磁ー全般

 

亀山焼の深皿です。

亀山焼は、江戸後期、長崎において、50数年間焼かれた、精細な磁器です。

          径21.9㎝、 高4.3㎝

細かな胎土、純白の素地に、鮮やかな呉須で、洗練された山水図が描かれています。

亀山焼は、木下逸雲、祖門鉄翁、三浦吾門、田能村竹田などの絵師が下絵を描いたといわれています。

この品の山水紋は、亀山焼の中でもよく見られる代表的なパターンです。

 

かなり細やかな筆使いです。

上部の山々は輪郭をとらずに描かれています。日本画でいえば没骨法。滲みもなくシャープなのは、墨はじき技法が使われているのでしょうか。

 

裏側も、瀟洒な梅花紋。

高台の畳付は、幅広く、真っ平です。

高台外脇に3本、外縁に2本、内側に1本、計6本の圏線があります。

 

このように、絵付けには大変見るべきところがある亀山焼です。が、「幻の亀山焼」と呼ばれるほど、希少な物とは思えません。その気になれば、見つけることができます。短い期間ではありましたが、かなり大量に焼かれたのでしょう。

この品も、素焼きの段階で、高台内に大きな傷があるにもかかわらず、かまわず釉薬をかけて焼いています。また、その外側には、大きなくっつきもあります。

素地は純白ですが、器体の作りは、伊万里焼よりも分厚く頑丈です。まして、平戸焼のように薄手、精細ではありません。一部の上手品を除いては、日用品をめざしていたのではないでしょうか。

文化4年(1807)開窯、慶応元年(1865)閉窯。

その後数年間、坂本龍馬がこの場所に亀山社中を設立し、武器の斡旋や海運業などを行ったことはよく知られています。龍馬も、亀山焼の盃を愛用していたといわれています。洒落た絵付けながら丈夫な亀山焼は、庶民派の龍馬のお気に入りだったのでしょうか。

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ものぐさ有機農業。モロヘイヤは王女マルガリータ。

2019年10月11日 | ものぐさ有機農業

10月に入っても、異常な暑さです。

そのためか、今年は、オクラがまだ成長中、2.5mにもなってしまいました。

 

おまけに、オクラではご法度のひこばえまで茂っています。

このひこばえにまで、花と実が。

 

 

こりゃあ、盛期の8月よりも多い。

やっぱり熱帯原産は、暑さが好きなんですね。

 

 

 

もう一つの熱帯産。モロヘイヤです。

この間、丸刈りにしたのに、もうこんなに伸びています。

 

鋸鎌で、ザッザッと刈ります。

 

3分もすれば、これこの通り。

 

もう一方も。

両方スッキリ、王女マルガリータです(笑)


実はこの方法、実戦であみ出した、数少ない有効技です(^^;)

ものの本には、モロヘイヤの若芽を摘みましょう、と書いてあります。

でも、真夏の炎天下に、何百枚もの若葉を摘んでいたら倒れてしまいます。

そこで、鎌で丸刈りにしてしまうのです。数分で終わります。


この方法の利点は3つ。

①短時間で畑仕事を終われる

②すぐに、柔らかい葉が芽吹いてくる

特に、②がすぐれています。新しく出てくる葉や茎は、本当に柔らかい。また、これまでのように、柔らかな葉を選んで摘めば、ひねた葉は残ります。花も咲く、実もなる。これはまずいのです、実には毒があります。花や実をつけるのは子孫を残すため。本体は老化します。ですから、全体を思い切って刈ってしまえば、次に出てくるのは若葉ばかり、しかもそのスピードははやいのです。

 やはり、王女マルガリータは若く、美しい少女なのですね(^.^;)


スイートバジルも同じ要領で丸刈りにすると、老けずにいつも若々しい状態に保てます。

 

刈り取った葉は、柔らかいものをしわけして取り出します、撮りためた骨董番組でも見ながら(^^;)

 

葉はゆでてから、袋に入れて冷凍します。

こうしておけば、解凍してダシ醤油をかければ、一品の出来上がり。


ちなみに、ここまで、すべて、男の作業でありました(*.*;)

 

 

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ものぐさ有機農業。八朔倒れりゃ、虫が喜ぶ。

2019年10月10日 | ものぐさ有機農業

 

暑いけれどもう十分秋、秋風野菜に移らねばなりません。この場所は、昨年11月にマルチを全面被覆し、玉ねぎ、大葉、ウリ・メロンと作付けしてきた所です。一番の眼目は、いかに長くマルチを使うかです。マルチを張る手間を考えたら、最低、1年間は使用しないと、わりがあいません。

ということで、少しずつ畝の準備をしています。

まず、畝の中央でマルチを縦にずーっと切り、その部分を養生します。牡蠣殻、鶏糞、牛糞を施して、手で耕します(右2列)。

左側3列は、白菜、大根、白菜・ブロッコリーです。これで、マルチは、1年半ほど使いまわすことになります(^^;)


もう一つ、秋冬野菜で非常に重要なのは植え付け時期です。

早すぎると、虫の猛攻撃を受け、一晩で網状に。遅すぎると、生育が遅れます。

で、毎年、気温と虫の活動度をみながら、じっと我慢をして、ぎりぎりまで待ちます。

今年は、9月28日に、白菜を植えました。周りの農家より、2週間ほど遅い。温暖化で、年々、植え付け時期が遅くなります。秋植え野菜は、1週間の植え付け時期のずれが、生育に1か月の差を生じることもあるので、非常に気をつかいます。

苗を植えたら、防虫ネットで覆うのですが、これが完ぺきではないのです。どこからか、幼虫はやってくる。そこで、例年、虫の忌避剤を併用してきました。

これまでいろいろなタイプのものを作りました。

その中で、一番けっさくだったのは鉄〇ダッシュという番組で紹介されていた虫よけ。早速作ってみました。

材料がすごい。

とうがらし、ニンニク、ニラ、コーヒー殻、茶殻、よもぎ、しょうが、焼酎、酢、牛乳を大鍋でグツグツ煮るのです。目はチカチカ、喉はゴホゴホ。あまりの刺激臭に、途中でたまらなくなり、屋外へ移動、加熱を続けました。もうやけくそで、番組にはなかったカレー粉、ワサビ、からしもほうり込んでやりました(*|*)

こりゃあもう、激辛ラーメンの汁ですね(笑)

蒸気の刺激だけでもすごい。人間には絶大な威力でした。が、肝心の虫の方はそれほどでも(^^;)


いろいろ試した末、自力でたどり着いたのが柑橘類の皮です。ところが、この時期、柑橘類にはまだ早い。そこで、どっさりとある柑橘類を加工して使うことにしました。

それが、八朔の皮入りEMボカシです。EMでなくて、他の有用菌類でも同じように作れます。が、EM菌は嫌気性菌なので、切り返しの必要がありません。、2-3か月ほおっておけばいい。ものぐさ有機農業にはぴったりです。

八朔の皮がEM発酵し、なんとも言えない臭いのボカシになります。

虫さんは、柑橘類の臭いが苦手なのです。

これをびっしり撒いておいて、その上に防虫ネットを張るのです。この忌避剤の効果は絶大です。畑中に臭いがひろがります。中山道歩きの人たちも、怪訝な顔をして通り過ぎます。

 

ところが、ある朝、驚愕の風景が・・・・ 

 

 上の写真の奥、畑の端がこんもりしています。

 

近づいてみると・・・・

 昨日までそこにあった八朔の木が・・・

 

 

 風もないのに、倒れているではありませんか

大人3人がかりで力を合わせて起こそうとしましたが、ビクともしません。それほど大きくないこの木から、毎年、数百個の八朔がとれました。今年も、びっしりと実がなっていますが、なんとも空しい。

もう、八朔の皮を使った忌避剤はつくれません。

 

忌避剤に使うは、まず、八朔の皮を小さくする必要があります。

八朔を食べた後、皮を小さく切り、フードプロセッサーで細かくします。

 

 

 こんな感じです。これを毎日積み重ね、最終的には、3kgほどになります。

これを入れて、EMボカシを作るのです。

しかし、今年3月、八朔の皮の粉砕物を冷蔵庫入れておいたのですが、これを6月につかおうと取り出したら、悪くなっていて使い物になりませんでした。

ですから、今年用の忌避剤は作れませんでした。

来年用の八朔を・・・と思っていた矢先、追い打ちをかけるように、八朔の木が倒れてしまったのです。

 

「風が吹けば、桶屋が儲かる」にならえば、「八朔倒れりゃ、虫が喜ぶ」 

今年は、早めに、手で虫退治をせねばなりません(^.^;)

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朝顔・酔芙蓉で理科遊び(2)花の一日

2019年10月07日 | ものぐさ有機農業

 

引き続き、朝顔、酔芙蓉の花色の変化です。

先回、朝顔も酔芙蓉も、時間がたつにつれて花色が変化するのは、花色の成分、アントシアニンの変化によるものだということを、簡単な理科実験で確かめてみました。

でも、どうしてそんな変化が起こるんでしょうか。

根から栄養分が吸収され、蔓や幹から葉、花へといろいろな成分が送られて、アントシアニンが作られるはずです。

朝顔では、蕾の段階でアントシアニンが作られ、花が開くと、液胞内のpHが酸性からアルカリ性に変わり、色も青から赤紫へと変化します。

酔芙蓉の場合、花が開くとアントシアニンが作られ始め、花色は白からピンクへと変わります。

両方とも、色の変化は、一日(実際は、半日)かかって進みます。

 

ここで、2つの疑問が。

①色の変化は、根から栄養分が補給されて起こるのだろうか?

②色の変化には、日光が関係しているのだろうか?

 

そこで、早朝、花を摘み、真暗な箱の中に入れて、時間変化を見てみました(写真をとる時だけ、やむを得ず外へ)。

 左が酔芙蓉、右が朝顔(いずれも、水に浸けてある)

            午前7時

 

           午後1時

 

         午後4時

 

          午後6時

 

        午後9時

 

           翌朝7時

 

おー、御見事。

茎と繋がっていなくても、光がなくても、色が変わりました。

しかも、両方とも、午前中はそれほどでもないのですが、午後になると、急速に色が変わりました。

このような時間経過は、朝顔や酔芙蓉の花で、実際に見られる変化と同じです。

まるで、時刻に合わせて変化しているみたいです。

 

これは、体内時計と呼ばれているものです。 

動物、植物、そして、人間も、リズムをもっています。一番はっきりとしたものは、一日のリズムです。外の時間の流れとは別個に、自分の中に時間調節の仕組みをもっていて、体が一日を刻んでいるのです。海外旅行などで、時差が大きいと、体がもっている時計とのズレを調整するのに長くかかるわけです。

体内時計の仕組みは、少しずつ、科学的に明らかにされつつあります。体内時計の基になっているのは、時計遺伝子群とよばれる遺伝子とそれによって作られる時計タンパク質です。時計遺伝子が作用して時計たんぱく質が作られ、それがある量に達すると、スイッチがオフになります。時間がたち、時計たんぱく質が少なくなると、再び、スイッチが入って、時計たんぱく質が作られます。結果として、時計遺伝子と時計タンパク質が時間を作り出しているのです(2017年、ノーベル医学生理学賞受賞研究)。

植物の時計遺伝子は、日長や温度の影響を受けるので、植物は季節に敏感なんですね。

人間の場合、体内時計は脳にあります。それに対して、植物には、脳はもちろん、中枢神経もありません。司令塔のようなものがないので、体内時計があっちこっちにあっても不思議ではありません。

朝顔と酔芙蓉の花。花が開いた段階で、花の中に、体内時計がセットされた状態になるのですね。だから、蔓や枝から外れても、きちんと時間通りに変化をすると考えられます。

 

おー、それなら、ちょっとアートしてみましょう!

題して、『時間の花』


ということで、白磁の大水盤を引っ張り出してきました。

朝顔と酔芙蓉の花を摘んできて、水に浮かべました。

 

         『時間の花』        

 

          午後11時

 

 

             午後2時

 

             午後5時

 

              午後8時

 

 

床の間にそれらしい書軸を掛け、アートは完成です。


加藤旭嶺『逍遥任自然』

加藤旭嶺:書家、山形出身、1870~1960年、名、登太郎、号、旭嶺、坦齋。

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