中国古染付の小皿です。
「南京 皿 拾枚」と書かれた古い木箱に入っています。
今では、なかなか見かけない十枚組。
一枚(中央列右端)に古いニュウがあります。他は、窯疵と虫喰い以外、ほぼ完器です。使用痕は全くありません。大切に保管されてきたのですね。
径 13.5㎝、底径 8.0㎝、高 2.9㎝。中国明末ー清初。
全面に太古石と草花、そしてポツンと太陽が描かれています。
写真では、少し黒ずんだ青色に見えますが、染付の色は、実際は、下の写真のように少し紫がかった明るいブルーです。
薄造りで、爪で弾くと、キンキンと中国陶磁器特有の金属音がします。
不明の裏模様。
高台には砂が付着。
高台内は放射状に削られています。
同じデザインの皿、10枚ですが、よく観察すると、細部は皆、異なっていて、同じ皿は2枚とありません。写真の右上の皿には、2匹の虫が描かれています(10枚の内1枚だけ)。
裏模様も、異なっています。
また、10枚の皿の中には、中央に銘のある物があります。
伊万里でもよく見られる角福。
かと思えば、
角福崩し?
かと思えば、
もう完全に幾何学デザイン(^.^)
このように、10枚の中の3枚に銘があるのですが、それらはバラバラ。銘の入れ方は自由気ままなのですね。
また、すでに見たように、太古石草花紋も細部は10枚それぞれ異なっています。陶工は、その時その時の気分で筆を走らせていたかのようです。いい加減と言えばいい加減、良く言えば自由(^^; このような奔放さが、明末期に作られた中国陶磁器の魅力を作りだしているのでしょう。
皿の周縁は10枚ともザラついています。上釉に微小な剝れがびっしりとあるからです。
この時期の中国陶磁器にしばしばみられる虫喰いです。
これまで、いくつかの中国陶磁器を紹介してきました。虫喰いに焦点をあててみると、どうやら虫喰いには、大きく2種類あるように思えるのです。それを手掛かりにして、虫喰いといわれる疵がどのようにして生じたのか、考えていきたいと思っています。