遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

池大雅が1000円で来ました

2019年03月23日 | 文人書画
久しぶりのネットオークション

毎日、パソコンの前に陣取って、バシバシ落札していた頃が懐かしい。

今や、気力、体力、財力 ・・・・・・ ネットオークションの3スピリッツ、いずれも衰退。
どうやら、この3つはシンクロしていますね(苦笑)。

勘を失なわないよう、久しぶりにクリック。
ほとんど競争相手がいない安全運転で落札。

ピンポーン。
宅配業者かどうか、もう雰囲気で分かるようになってます。何事も場数です。

玄関まで運んでもらいます。

お、お、重~~い!



何と、12kg以上あります。

気がつけば、そこには、つれ合いの姿が。

そして、例の決まり文句。

「また買ったの!いくら?」

いつもなら、ここで一呼吸あるのですが、
この日は、間髪をいれずに・・・・・・・

「千円でございます」

「ウソでしょ!本当はいくらなの?」

バッと落札画面を見せて、どうだと言わんばかりに一件落着。


池大雅『東山清音帖』

池大雅の『東山清音帖』です。
瀟湘八景の扇面図と書が一体となった、池大雅晩年の傑作です。

もちろん、復刻。新たに発見された江戸時代の古版木を使って丁寧に刷り直した品です。
毎日新聞社、昭和58年、限定300部。定価37万円。

この品、ネトオクには、いくつか出品されていますが、なかなか入札者がいません。
その一つを、開始価格¥1000で、ゲットしたわけです。

大きな段ボール箱の中には、さらに帙が2つ。


青い帙箱には、専用の額が入っていました。




もう一つの帙が本体です。


これを開けると



中味は、瀟湘八景の8図とそれぞれ対応した書8枚です。






































人物の飄々とした描写。文人の理想を、ここまで描ける様になるには、天才大雅をもってしても、晩年を待たねばならなかったのでしょうか。







木版刷りにも見るべきものがあります。
同梱の解説書によれば、この古版木は上方版木とのこと。この版木を使って、伝統を引き継ぐ現代の上方刷師が制作したのがこの復刻版です。
シャープさを特徴とする江戸刷りに対して、上方の刷りは、やわらかな曲線を得意とするそうです。文人の書画のほのぼのとした感じは、上方刷りに向いているのです。



刷られた書をよく見ると、墨がきれて薄くなっていく部分が、実にうまく表現されています。

池大雅の肉筆「東山清音帖」と比較すると、この部分も含め、かなり忠実に刷られていることがわかります。





せっかく購入した品です。
額をつるすために、吊り金具を買いました。
2個で、¥2592。
池大雅の倍以上。




        なかなかきまっています。

これで、文人の雰囲気にひたれます。

つれ合いの表情も、今回はこころなしかおだやか。













コメント (8)
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