衆院選の与党惨敗後の株価の反応にはかなり違和感がある。市場では織り込み済みと言われているが、ここまでの惨敗は予想されておらず、今後の政局も混乱不可避だ。織り込み済の解釈はいつもの都合の良い後講釈で買い戻しが一巡すれば売り直されるだろう。株価の大幅上昇は為替が円安に振れてることからも整合性がない。この円安を止めないと、物価高を通じた消費低迷による景気悪化は不可避だ。金利は実質金利で見れば十分緩和的だから、金利を上げて円防衛策をとるのが妥当と思われる。日銀は物価の番人であって株価の番人ではない。
今年も残すところ2月となった。2023年初から2年近く続いている株価上昇だが、現在は最後のあがきで、来年にかけて、金利、為替、業績にさらなる伸びしろは乏しいように思える。日経の株高は7月42426円でいったん終わり年末から来年にかけて調整となりそうだ。市場関係者中心に40000円を超えて年末年始にも新値更新へ向かうとの見方も多いが、期待頼みの根拠に乏しいポジショントークと思われ株高の論理的妥当性は見い出せない。米株高が継続し円安が進行すれば、日経の高値への戻りも期待できないこともないが、本格調整に入れば20-30%は下げる。理屈云々でなく大相場のあとは大きく調整するのが株式相場だ。米株はいまだに上昇傾向にあるが、終わりのない株高はなくその終焉はいずれ来るだろう。従ってここからの株高に賭けるのはリスキーで、現状のような中途半端な水準での買入は見送るのが妥当と思われる。
石破総理をはじめとする政治家は経済音痴で金融について殆ど見識がないように見える。実質金利はマイナスで十分緩和的だから利上げしても引き締めではなく、そういった発言は名目金利しか見ていない素人の発想だろう。貿易構造からみて、円安を放置すれば物価は上がり国民生活はますます厳しくなる。過去の歴史を見れば明らかだが、通貨安で栄えた国などない。金利を上げれば株式相場にとってはウエルカムではないが、日銀は物価の番人であっても株価の番人ではない。政治の圧力で行き過ぎた低金利を続ければ、過度の円安進行で物価高が進み消費低迷による景気失速は避け難いだろう。円安で潤うのは輸出型大企業と株式保有者だけで経済格差拡大が進むだけだ。弱い円の弊害で日本企業や不動産は買い叩かれている。為替は長期で見ればファダメンタルズに収斂するが、短期的には投機筋の動きで決まる。投機筋のターゲットになるような株価番人的な金融政策には疑問だらけだ。
市場関係者や経済評論家の一部で言われている円安容認論はおかしな見方だ。なぜなら円安で輸出企業は潤うが、それは会計上のことであって、大企業は子会社を現地法人化しているから利益は海外に滞留し本邦に還元されない。我が国は原材料、食料、エネルギーを輸入に頼っている経済構造につき、過度の円安は国民生活の視点からは明らかに悪影響のほうが大きい。今年の賃上げは高水準と言っても物価上昇を下回り実質所得は低下が続いている。また低所得者層や賃金収入の無い年金生活者にとっては生活関連費の大幅な上昇が暮らしを直撃している。賃金上昇との対比は可処分所得でみるべきで、物価上昇を上回る可処分所得の伸びがないと消費は停滞し経済は収縮する。為替も相場だから購買力平価110-120円からみて10%程度のブレはあってもおかしくないが、現状のような20-30%も円安の状態が続けば我が国だけの問題にとどまらず、最悪の場合アジア通貨危機再来につながる懸念に注意しておくべきだろう。
石破総理歓迎相場は空振りに終わったようだ。ただこれは「高市トレード」の反動で、石破だからこの先も下げるということにもならないだろう。為替も円高に進んでおり、企業の想定レート145円を下回れば業績の下方修正は必至だろう。景気は弱含みの中でCPIこそ落ち着いてきたが、実感としての生活関連物価は突出して上げており、日銀が「株価の番人」を優先し毅然とした金融政策を取らないことは本来の使命役割から逸脱している。解散総選挙では与党は面目こそ保ちそうたが勝ちと言えるところまではどうか?米株は相変わらず強気一色だがバリュエーションを過去と比較するとかなり割高なのでいつまで続くか疑問だ。また地政学リスクは無視されているが、ここにきて一触即発の危機的レベルに上がっており波乱要因だ。どこから見ても年末にかけての株価は現状維持ならベストシナリオだろう。総合的に見れば株価は良いとこ取りの都合の良い理屈であまりにも上げ過ぎた。当面、株高材料には乏しく調整推移と見るのがごく自然な解釈のように思われる。
相場見通しとか予想は当たることもあるし外れることもあるという程度のものだ。為替を見れば明らかなように、市場関係者の見通しなど数ヶ月で激変する。NISAをやりたいならいつも先高のセルサイドの見通しなどは無視し、底値圏で入ることが勝つための前提条件だ。手元資金があるから何かやらないと乗り遅れそう・・・という発想が一番まずい。相場は往来循環するから仮に底値圏のチャンスがこなければやらなければ良いだけのことだ。日経なら30000円前後が底値のメド、今後多少景気が良くなろうとそれを織り込んで上げてきたから現水準には割安感はない。よく言われるような長期投資なら成功するという実証結果はどこにもない。もちろん結果的にうまくいくこともあるが、長期投資なら必ずうまくいくというのはセルサイドの買わせるための常套句だ。バブル期に買った投資家は30年以上も待たされた。長期投資推奨論は多いが、株でうまくやるには保有期間の問題ではなく、いかに安い時に仕込むかにかかっているというのは過去の株価の経緯を見れば明らかだ。
株価見通しはほぼポジショントークでいつも先高だ。市場関係者はまず結論ありきで説明に都合の良い前提をもってくる。前堤は曖昧ながらも株価見通しはいつも何故か明快な結論になっている。株価を決める前提要因の企業業績、為替、金利、米株とも全て先は不透明で読めないが、それらを踏まえたうえでの株価見通しは何故かいつも先高だ。不謹慎だが株価予想は競馬の予想とたいして変わらず、まことしやかな理屈をつけてもマネーゲームに過ぎないと言えるだろう。円安という厚化粧で上げてきた相場だ。今期業績の想定為替レートは145円、楽観的で都合の良い前提見通しが狂えば、可能性は小さいとは思うが、中長期的には株価上昇スタート時の2年前のドル円120円、日経26000円への里帰りもありえないとも言えないだろう。
為替も相場につき弾みがつけば、想定外の円安になったように想定外の円高へ行くこともありうるだろう。昨年誰が160円を予想しただろうか? 為替は最も投機的でトレンドフォローだから理屈は通用しない。日米の金融政策が逆になったから140円割れれば、勢いでは投機に弾みがつき130円も120円もないとも言えないだろう。日本の株価は経済や企業の変革進展を材料に上げたと言われておりまだ楽観見通しが大勢だが、実態は円安という厚化粧で上げた部分が相当大きく、円高進行ともなれば株価の先行きは楽観できないように思われる。
これだけの乱高下を見せつけられればニーサブームにも陰りが出るのは必至だ。為替も円高方向にあり140円割れともなれば、株高の最大の前提条件は消失する。ニーサ積極派は既に出動しており、これから慎重派が出てくるにしてもその影響力は小さい。ニーサでビギナーズラックを得た初心者も安い時に買わなければ長期投資の妙味はないことに気づき始めたようだ。市場筋に主流の高値奪回見通しは、結論ありきで都合の良いシナリオを集めたポジショントーク臭く、株価上昇要因はすでに賞味期限切れしている。個人的には安値圏を30000円前後とみており、30000円台後半に割安感はなく中途半端だ。短期は投機筋の動きできまるが、長期的には為替も円高方向にあり、株式は調整方向で当面は慎重な対応がのぞまれる。人工的に株高、円安にもっていったアベクロミクスの後遺症は大きいが、いつまで日銀は株価の番人を続けられるだろうか? 要は株価、為替とも実体から乖離し過ぎており、大局観からは日本株の上昇は終焉したように思える。年末に向けて、株価、為替ともポラタイルな動きが続かざるをえないだろう。
ここにきて米国の利下げばかりに目が行くが、これは量的引締めとセットであり単純な金融緩和でもない。日米の金利の方向は逆だが、どちらもバラマキは止め方向性としては量的引き締めに向かうという点には注意を要するだろう。わが国の企業業績は円安の厚化粧の賜物で、収益構造の変革は市場で言われているほど進展していない。取引所が進める資本効率化も株価が上昇し、自社株買い等で指標が改善しただけで中身の改善は恐ろしく緩慢だ。企業は横並びで世の中のムードでそれらしきポーズを取っているが、本格的に取り組んでいる企業は一握りに過ぎない。株高はAIブームを背景に円安とキャリートレードによるもので内容には乏しく、日本経済と企業の革新変革を理由にしてはしゃいでいるのは、市場関係者、取引所、政府及び短期投機投資家ぐらいだろう。要は円安という厚化粧での見せかけの好循環だから円高になれば全てが終わる。日銀が株価の番人であるうちは下値も維持されそうだが、日経30000台なら混乱とも言えず問題はないだろう。円安が終わり円高推移となれば最大の株高要因はなくなるから、30000円台後半では割安感はなくとても強気にはなれない。
米株は金融緩和待ちで高値圏でもっていた相場だ。経験則からは日米とも過剰流動性の供給は終わっており、株価上昇はいつまでも続かないと見るのが妥当だろう。ここまで懸念材料は殆ど無視し、好材料だけを推進力にしてきており相場的にはほぽ織り込んでおり株価は行き過ぎている。ここから年後半は日米とも調整推移となる可能性が大きいだろう。8月初の市場の大混乱は高値株価にあるものの市場構造の脆弱さを表している。株価は高値圏にあるから何かをきっかけに、今後も同じような混乱が何度かあっても不思議ではないだろう。とりわけ日本株は為替がポイントだ。企業の収益予想前提の145円より円高になれば予想は下方修正せざるを得ず、米株高と円安で上げてきた日本株の更なる上昇には疑問符がつく。再度新値更新に向かうことも全くないとも言えないが、総合的に判断すれば寧ろ調整に向かう可能性のほうが大きく、為替次第では年末に向けて30000台前半も見ておく必要があるだろう。
岸田総理が総裁選出馬を断念したが、彼の株式市場への貢献は大だった。外交、内政等のその他の分野でも総合的に見ればそれなりの成果は出した。岸田総理は市場への思い入れが強く株価も賃金も上げたが、裏金問題により国民の評価にはつながらなかった。新総裁は誰になっても今の自民の体質では大きな変化は期待できない。新総裁候補はほぼ全員財政均衡派で株価も落ち着いたから、ここまで戻せぱもう混乱とは言えず年内利上げも再浮上しそうだ。投資家は米国の利下げにも前のめりだが、景気の底堅さからはすんなり利下げがあるとも思えないし、仮に利下げがあればそれは景気後退が近いことを意味する。概ね強気な見方が再浮上しているが、この相場の本質はAIブームとキャリートレードによるマネーゲームだ。戻りが早く嵐は過ぎ去ったように見えるが、まだまだ混乱から抜け出したとは言い難いだろう。
本日、日経は大きく戻しているが、株式市場の大混乱はまだ序章にすぎないように思える。円安が新たな円キャリー取引を呼び、円キャリー取引がさらに円安を加速させる円キャリーバブルの崩壊は株式市場に影を落としている。しかし短期筋中心に実体経済を無視して円キャリーで勝手に円安及び株高に仕向けておいて、株が崩れると日銀が慌てて金融政策の見直しに言及するのは不思議でしかない。そもそも日経40000円台自体バブリーだろう。日経が30000円台なら日本経済に対する適正評価範囲内だ。金融政策の正常化を目指すなか、内田副総裁の発言は政治迎合の不適切で姑息なものだ。物価の番人たるべき日銀はもっと毅然とした態度であるべきだ。日銀はいったい株価と国民生活のどちらを守りたいのだろうか?
いま市場で起こっていることを一言で言えば、コロナ禍以降ばらまかれた過剰流動性の清算だろう。とりわけ我が国は異常な金融政策をあまりにも長く続け、世界の投機マネーの供給源となってきた。もちろんデフレ脱却という目的はあったのだかあまりにも金融政策の一本足打法に長期にわたり依存しすぎた。市場関係者の間ではいまだに年末年始には最高値更新との見通しが大勢だが、 いつも見通しはポジショントーク、株高で潤う彼らが悲観的な見通しを言うはずがない。何に注目するかで予想は正反対になるが、ネツトに溢れている情報の殆どは上げ賛成の市場関係者やトレーディング好きの個人投資家だから上昇見通しの理屈を並べるが、一方で逆の投資家はあまりネツト等に発信しないし、専門家は慎重に論じても基本悲観的なことは言わない。短期間での大暴落は市場が実体と乖離したマネーゲームで、短期投機家が支配しているという需給構造の証左だろう。先行きどうなるかは所詮マネーゲームだから理屈を並べても当てはまらない。円が160円でも120円でも、日経が28000円でも42000円でも、どちらでも理屈はそれなりにつけられるしついてくる。バブリーなマネーゲーム相場を支えてきた過剰流動性の清算に直面する中、為替も株価も短期投機筋がどう動くかで決まる。
日本株はこの1年半でおよそ17000円上げたが、この急落で11000円下げ今年の上げは帳消しとなった。明らかに実体を無視した期待先行の株高だったから、この大幅調整に違和感はない。一時40000円を超えたのは円キャリートレードの海外投資家に主導された根拠なき株買いに短期筋が乗った結果だろう。AIブームの半導体関連、円安で潤う輸出関連及び指数絡みのSB等の値嵩株、それに加えて金融株で大きく上げたが、その一方で日本経済は悪化の方向に進み国民生活は円安による物価高と税や社会保険料の負担増で青息吐息だ。日本経済が好循環に入ったというのは円安と株高が言わせたみせかけに過ぎす、経済も企業も構造問題の変革には言われているほどの進展はないようだ。市場関係者の間では日経は年末に向けて40000円を超えて来るとの見方が多いようだが、日本株の上げトレンドは終焉しており、今後も米株と為替を睨みながら30000円台での往来となるだろう。この水準から上は戻り売りが控えており積極的な買い主体はない。海外投資家が再度買い転換しない限り、高水準の信用残や持ち合い解消等で上値は重い。