日本株は割安という見方は多いが、指標面から見て割高とも言えないものの、需給構造から見れば日本株は基本は長期往来相場が継続するとみられ、大きな水準訂正は今後も考え難い。過去を振り返ると大きく水準訂正がされた局面では必ず積極的な買い主体が存在した。現状ではGPIFや日銀が下値を支えるものの、自己資本規制が緩和されない限り銀行や生保が株式構成比を高めることはあり得ず、積極的な現物株の買い主体は不在だし今後も出てくる金融環境にはない。成熟経済下の市場では長期投資していれば株価が上がるわけでもない。長期往来相場を想定するなら短期売買が難しい普通の投資家は暴落時に底値圏で仕込むことぐらいしか報われる手法はない。
この急落で株価は3000円下落し昨年10月水準まで売られた。反動で少し戻しているが市場には円高という新たな難題が台頭してきており戻りに力はない。NYが落ち着いていればある水準までは戻すだろうが、円高が続くことになればいずれ軟調な展開が避けられそうにもない。日本株は市場筋が言うような好環境ではない。長期的に見て上がる要素は少ないし、短中期的にもまだ底を打ったようにも見えない。個々の考え方によるが、当面は静観するか、敢えてリスクを取って超短期で指数ETFで鞘取りするか、上がれば儲けもの位の感覚でJT、ドコモ、メガバンク等の安定高配当銘柄を仕込むパターンしかなさそうだ。
株価は急落したもののファンダメンタルズから評価すれば現状はほぼ妥当な水準と見られ、目先一段安しNYが落ち着けば月内にも底入れするだろう。東京はローカルな投機市場で主体性はなく今後の動きもあくまでNY次第だ。株価はいったん崩れれば業績好調でも需給悪がネックとなり戻りには相当な期間を要する。混乱が落ち着き好材料を評価する流れになれば年後半に高値更新がないとも言えないが,昨年の上昇幅を考慮すれば想定を上回る環境好転がない限り戻っても更なる上昇は難しいと見るのが妥当だろう。継続的に現物を積み増している投資家は見当たらずオフバランスによるゾーン内での投機がメインだから、往来相場から抜け出し上昇転換となる可能性は殆どなさそうだ。
ここ数日の株価急落は東京市場の投機性を考えれば特に驚くことでもない。株価は実体を表すものではなく影だから19000~25000円の範囲なら何とでも理屈がつけられる。東京市場は相場に張り付くことができかつ短期取引が得意な投機家以外は儲けるのは難しい投機市場になり下がっている。世界的な過剰流動性に陰りが台頭している間は、戻しても売られるの繰り返しで上値の重い展開は避けられないだろう。バラ色のベストシナリオは早くも崩れた。下手すると年初が高値だった可能性すらある。それでも株式を運用対象と考えている普通の投資家は、上がれば儲けものぐらいの感じで高配当利回り銘柄を仕込むか、さらに一段下がったところを値上がり狙いで買うかどちらかの選択肢しかないだろう。