来年は難しい相場になりそうだ。3年かけて2.5倍にもなった上昇相場は6月で終わり調整局面に入っている。市場関係者の来年の見通しは22000~23000円予想が多いが、ベストシナリオ前提の根拠のない占いみたいなものだ。日本経済も企業業績も踊り場だ。これらに新たな展望が開けない限り上昇転換とはならず17000~21000円ゾーンでの往来相場が長期化するのは不可避だろう。それでも年間で数千円の幅はあるから収益機会がないわけではないが、中途半端な水準で仕込んでも儲けられるほど上値があるとは思えない。株式投資は歴史的な安値圏で仕込んでこそうまくいくが、大きな水準訂正はすでに終わっている。現状では再上昇に転じ大きく上がることは当面期待出来ないが、金融緩和が継続される間は一時的に突っ込んでもある程度の水準は維持されそうだ。景気も業績も相場も踊り場、向こう半年程度、下手をすると1年程度は往来相場に終始しそうだから、数ヵ月サイクルの波動を捉えて短期売買に徹するしかなさそうだ。日本経済の現状及び見通しを踏まえれば、20000円前後は安心して買える水準とも言えずいつ波乱があってもおかしくない。景気、業績が踊り場なら株価も踊り場となるのは必然だろう。
年末年始になると長期投資の勧めなるものが散見される。来年は過去3年に比べれば上値がありそうもないから、長期投資のつもりでも中途半端な水準で買ってはいけないだろう。ボタンを掛け違えるとその後の投資行動を縛るから安易な仕込みは命取りになる。長期投資という何の根拠もない心地よい言葉に煽られて動いてもうまくいくわけがない。長期投資で有効性が発揮できるのは安値圏投資のケースだけだ。低成長経済下の株式市場では安値圏投資でしか運用収益は得られない。初心者への勧めに見られる応援したい会社に投資するなどという発想は競馬の発想と同じで、非科学的なギャンブルに過ぎない。長期金利と短期金利の関係を見れば明らかなように、長期投資は長期間にわたり不確実性というリスクに晒される。
市況見通しをみているとポジショントークばかりだ。そういう自分自身も多分同じだからあまり偉そうなことも言えない。夏で相場は終わったとみており、当面高値奪回は期待していないが、金融緩和継続を背景に下値も限定的で、基本的には往来相場の長期化を想定している。自分は安いときに高配当銘柄を仕込み利確はせずホールドしているから投資資金に対する利回りは約4%だ。今年も何回か急落したが保有銘柄は一度も買値を下回ったことはない。機動的に利確するという考え方もあるが、何度も売買を繰り返すと儲かる気はするが、いつもうまくいくとは限らないし、買い戻すと取得コストが上がり株価下落に対し抵抗力のないポートフォリオになる。金融緩和策の長期化を予想するなら、年に1~2回ある急落時の安値圏で高配当銘柄を仕込みホールドするのが合理的である。来年はキャピタルゲインが狙える相場でもなさそうだから、そのうち上がればもうけものぐらいの感覚でやったほうがよさそうだ。普通の個人投資家が売買で儲けられる相場は基本的に終わった。
今年も残り少なくなった。あちこちで来年の有望株があげられているが、個別銘柄投資はあまり精度の高くない予想にベットしたギャンブルだから個人的にはやらない。運用機関で長いことアナリストやファンドマネージャーを経験したが、先行きは全て不確実でわからないというのが本音だ。新春の日経アンケートでは来年もまたトヨタが一番人気だろう。この種の有望銘柄は占いみたいなものでほとんど意味がない。ここ数年で試行錯誤した結果では、一獲千金を狙うのでなければ個別銘柄投資などやる必要は全くない。個別の業績予想の確度は低いし、株価への織り込み度合いの判断が極めて難しい。市場全体の予想も易しくはないが、前提条件という予想をした上でさらに業績予想をしなければならない個別銘柄に比べればまだ読み易い。経験的には、レバレッジETFあるいは市場全体とほぼ同じ動きをするメガバンクを年2、3回ある急落時に仕込めばほぼうまくいく。短期投資家の投げで急落したときに目をつむって仕込む勇気が必要だ。個人的には今年売買したのは日経レバETF(1570)と三井住友FG中心に数銘柄だけだったが十分な成果が得られた。
高齢化の進展は株式市場にもある種の変化をもたらしているようだ。わが国には1700兆円ともいわれる個人金融資産があり、株式への潜在需要は大きいとの見方がある。しかしその大部分は高齢者層に偏在しており、その資金性格を考えればリスク資産に向かうのは限定的だろう。 かつてバブルに踊った世代も概ね60、70代になりあまりリスクはとれなくなった。歴史的な安値圏からの株価の水準訂正はすでに終わっており、ここから値上がり益を享受するのは簡単ではなさそうだ。高齢者層の運用スタンスは金融資産が多いほどリスク選考の必要性は小さく保守的だ。1700兆円の大半は老後資金だからリスクをとるにしても、安定的な優良銘柄を選考する傾向が強くなる。このような投資家にとっては、株価は上がらなくても下がらなければ問題ないから、業績、財務の安定的および収益水準が高い企業でかつ配当利回りが高い企業が選考されやすくなる。金融緩和策の長期化を前提にするなら、配当利回りが株価の下値サポート要因として機能するから、超大型高配当利回りのメガバンク、通信、医薬品、食品あたりのホールドは合理的な選択肢だ。高利回りに放置されているということは成長性にはあまり期待できないことの裏返しでもあり面白味はないのも事実だが、三菱UFJ、三井住友、みずほ、ドコモ、NTT、武田、JT、キヤノン、トヨタ…あたりが対象となるだろう。総合商社も軒並み高利回りだが資源価格変動に伴う業績のぶれが大きく減配リスクが懸念されるため対象外と考えている。自分のやり方は、超大型優良株で配当を享受しながら、短期で日経レバETFを手掛けており、キャピタルゲイン狙いでの個別銘柄運用は業績予想に信頼がおけないので殆どやらない。既に上昇相場は終わり、普通の個人投資家が簡単に儲けられる水準ではなくなった。
米国は言われていた通り利上げに踏み切った。イエレン議長のコメントも想定通りであり、株価のリバウンドも想定通りの動きだ。大きく下げていたこともあり戻しているが、サプライズでもない限り年内はこんなものだろう。東京市場は来期の業績見通しがもう少し好転しないと上値は限られる。現時点での業績予想では20000円定着は極めて難しい。原油価格次第では再度19000円台割れもないとも言えないが、基本は19000円台中心に年末年始に向かいそうだ。
また世界同時株安の様相だ。もともと日本株は割高感が否めなかったが一気にそれが修正されようとしている。18000円台ならリーズナブルな水準だが、先行き不透明感が強いから割高に買われることはあまり期待できない。これで年末年始相場はなくなったようだし、当面は厳しい状況が続きそうだ。普通の個人投資家がキャピタルゲインで儲けられる局面は既に終わっているから戻り以上のことは考えにくい。当面は景気、企業業績の停滞が予想され、為替及び原油価格ともに不透明が強く、相場は不安定な動きが避けられないだろう。ここからは短期のリバウンドを狙いでレバレッジETFで行くか、数か月先をにらんで相場下落に対し下方硬直性がある低PER、低PBR、高配当利回り銘柄に投資するかのどちらかだろう。配当利回り3%程度以上の中から、株主還元策に積極的なドコモ、高配当の医薬品、売られすぎたメガバンクあたりが突っ込めば少し仕込んでみたい。
FOMCを通過するまでは不透明感が強くこんな動きが続くのだろう。イエレン議長はハト派だから利上げに踏み切ってもその後の利上げについては穏健なコメントをするとみられる。これを受けて相場は持ち直し年末に向けて戻す展開を予想している。ただ戻す材料になっても、買い進む材料は乏しいからうまくいっても20000円前後までの動きで終わりそうだ。すぐにはないだろうが、逆オイルショックの国際金融面での悪影響が顕在化すれば、大幅安もないとも言えない情勢にもなってきた。相場がどう動くか読めるはずもないが、向こう数か月は上がるポテンシャルより下がるリスクの方が勝っているように感じる。黒田さんのクリスマスプレゼントかお年玉でもない限り、20000円台が定着することは当面ないだろう。
週末に株価は大きく下がったが、来週は少し戻しそうだ。一時20000円を回復したが特に何かあって戻したのでもなく、この程度の上げ下げは循環の範囲内の動きだろう。ここにきて懸念されるのは株価が戻る過程で、需給が悪化しつつあることだ。裁定買い残、信用買い残とも高水準になった。夏からここまでの株価の動きは、ファンダメンタルズが好転して実需で上げたのではなく、仮需で下げて仮需で戻しているだけのようだ。相場がもたついている要因は、8月高値の時期に比べて業績見通しがやや悪化している影響だろう。需給面でも相変わらず短期資金が主役で、新たな資金が流入してきたわけでもなく、既存の資金が値動きを追いかけてぐるぐる回っているにすぎないようだ。これを好循環という向きもあるが、こういう相場は言われているほど強くもなさそうだ。現状、マインドは悪くないからさらに買い進まれて年末年始を迎えれば、年明け後1、2月あたりでの波乱が懸念される。先高見通しが多いが割高に買われるまでの環境好転はまだ見えない。個人的にはリーズナブルゾーンはせいぜい19000円台とみているから高値圏維持なら御の字だ。そんな見方だから短期リバウンド狙いはやっても、急落がない限り動くつもりはない。可能性はほとんどないと思うが、株価が大きく上がるとすれば、黒田さんからのクリスマスプレゼントかお年玉ぐらいだろう。
早いものでもう師走相場入りだ。最近の市場を見ていると、東証1部では個別銘柄投資は必要なくなってきたように感じている。個別銘柄投資は業績予想および織り込み度合いの判断が鍵を握るが、この銘柄選別が極めて難しく労力のわりに報われない。同じマネーゲームならまだ全体相場の動きの方が予想しやすいしわかりやすい。ここ1年ほどいろいろ試行錯誤してみたが、結論的には個別銘柄投資の必要性はなく、運用対象は日経レバレッジETFで十分だ。株価は歴史的な安値圏からの水準訂正を終えており、さらなる高成長とそれに伴う株価の大幅上昇は望みづらくなってきている。市場の投資資金は回っているだけで、ニューマネーは限られているから個別銘柄投資で収益を確保するのは至難の業だ。個人的には個別銘柄投資は、業績安定銘柄を配当狙いで保有する、あるいは、短期でテクニカルリウンドを狙うときぐらいに限定している。