来年の見通しも概ね株高予想が支配的のようだ。7月42426円を付けた頃、日経は年末には45000円、年明け後にも50000円はかなりの確率で実現すると言われていたが、その後の動きはもたつき気味だ。今の投資家のムードはバブル崩壊前の高値38915円をつけた頃に似ている。当時も日本経済は中長期的に明るい見通しが大勢で日経は50000-70000円説が優勢だった。世の中は好景気に沸き先行きの見通しも明るかったが、後で振り返るとそこがバブルの絶頂期だった。上がり過ぎたものは想定外の何かをきっかけに下がる。現在も市場関係者は概ね楽観的だが、株価は右肩上がりの景気見通しを織り込んで2年間にわたり60%も上げており、何かのきっかけで今回もそうなる可能性はけっして小さくない。見通しとか予想は全てタラレバにつき株価は虚像だ。長期間の上昇でここまでの高値をつければ、先行きの見通しは全く当てにならないものと考えて臨むべきだろう。
今年も残りひと月となった。来年の株価見通しは45000-50000円がメインシナリオのようだが、日経は7月42426円でここ数年の高値をつけたのかもしれない?長期投資なら儲かるという金融筋の勧めでNISAを始めるひともいるようだが、長期投資の成果は期間の取り方でどうにでも説明できるからミスリードが多い。長期投資でも高値圏で入ればうまくいかないものだ。市場筋は説明に都合の良い銘柄と投資期間を取って長期投資の有効性を言うが、その有効性が示された実証的なデータはどこにもない。ただでさえ証券投資は極めてリスクが高い。我が国は経済成熟国につき長期的にも高成長は望み難いから、長期投資でさえ底値圏で仕込んだ場合しかその有効性は発揮されないだろう。証券、金融等セルサイドの推奨コメントや見通しはほぼポジショントーク、勝ち馬予想レベルであてにならないものと思っていた方が良いように思われる。
トランプ勝利で大きく円安に進み日経は暴騰しているが、トランプ政権ならこれまでの常識が通用せず、関税問題などで世界経済の先行きは不透明度が増す。またトランプはもともとドル安支持だから、そのうち円安是正を強要してくる可能性が高い。株式市場はトランプの返り咲きを一旦歓迎しているが、手放しで喜んでいるといずれしっぺ返しにあいそうだ。日米企業とも主要企業の決算を見ると収益にはピーク感があり、バリュエーション的には歴史的にみてかなり高水準に達している。日経でみればこの先も円安が進まない限り株高は維持できないだろうと思われ、株価急騰は一時の熱狂で終わる懸念すら感じている。市場はあまりにもはしゃぎすぎだ。慎重すぎるかもしれないが、ここからの一段の株高に賭けるのは極めてリスキーと考えている。
日米株価とも期間、値幅とも上げ過ぎており、バリュエーション的には割安感はなくなり買われ過ぎの水準になった。上昇が続くためには業績が伸び続けるしかないが、主要企業の中間決算をみると概ね伸び悩んでいる。見方によっては、ドットコムバブルが弾けた時の状況に少し似てきていると思えないこともない。当時は長期的な夢を買い、ITで将来世の中は変わると言われ理想買いで天井をつけた。株式市場で言う明るい未来と現実はあまりにもかけ離れているものだ。いつ本格調整に入るかこればかりは分からないが、数年前から続くAI株高は後で振り返るとバブルだったということになる懸念もあるだろう。資金があるから、みんなやってるから、長期投資だからという曖昧、漠然とした自分に都合の良い理屈をつけて株式は買ってはいけない。株式投資では、高値では縁がなかったと割り切り次のチャンスを待つことも必要だ。
衆院選の与党惨敗後の株価の反応にはかなり違和感がある。市場では織り込み済みと言われているが、ここまでの惨敗は予想されておらず、今後の政局も混乱不可避だ。織り込み済の解釈はいつもの都合の良い後講釈で買い戻しが一巡すれば売り直されるだろう。株価の大幅上昇は為替が円安に振れてることからも整合性がない。この円安を止めないと、物価高を通じた消費低迷による景気悪化は不可避だ。金利は実質金利で見れば十分緩和的だから、金利を上げて円防衛策をとるのが妥当と思われる。日銀は物価の番人であって株価の番人ではない。