話題のchtGPT、Gemini等のAIアプリ無料版をダウンロードして使ってみた。検索には便利だが、世の中で騒がれているほど凄いものではないという印象だ。今後開発が進めば、トレンド分析、パターン認識等でこれまでの作業が省力化、効率化されるだろう。一部でAIは人間より賢く最適解を導くとは言うが、その表現は必ずしも的確ではない。あくまでも集積されたデータのなかから導き出した解のなかでのAIが導き出した解の一つという程度のもので創造性や革新性はない。データ分析は相当効率化されるが最終解をどう読むかは、最後は使う人の知識技能の熟練度にかかる。AIを過小評価してはいけないが、現状もその将来性についても相当過大評価されていると言えるだろう。個人的には、AIに創造性や革新性はなく作業を代替する技術に過ぎず、人の叡智を超える最最適解を導くツールとは思えない。AIは人間より賢く何でもできるような幻想が拡がっているのは極めて危険だ。AIはデータ分析には極めて便利で効率的だが、人が入力した集積データから解を導くから人間超えはない。順調に開発が進めば、5-10年後くらいに自動運転や新薬開発等々産業分野で有効な活用が期待されるということだろう。
トランプは日本には脅威を感じておらずあまり関心もないため、強いことは要求してこないと思われる。日本対しては、関税ではなく円安是正、シェールオイル、LNG購入及び防衛費増額を迫る可能性が高い。米経済にとって日本との貿易は相互依存のため縮小不可でさほど問題も抱えていないことから、関税の引き上げではなく為替水準の是正が選択肢とみられる。年内のどこかでドル円20%高、120円台を要求してくる可能性があるだろう。為替を動かすのは実需ではなく仮需つまり投機筋だから、市場の関心は金利差からトランプの対円ドル安政策にどこかで劇的に変わっても不思議ではないだろう。日米とも指標からみて割高な株高は転換期を迎えており、両市場とも調整あるいは長期循環に入る懸念もありそうだ。後で振り返ればコロナ以降の株高は過剰流動性によるAIバブルだったとして位置づけられることになるかもしれない。
中国発AIモデルであるディープシークは低コストでかなりのことができるとの評価のようだ。エヌビディアの優位性が崩れるかもしれず、関連半導体株もその評価が問い直されている。エヌビディアに代表されるAI関連はその高い将来性がはやされ高株価をつけたが、今後の動向次第では高バリュエーションを正当化できないかもしれない。資金を集めている人気ファンドでのAI関連株の組入は著しく高い。昨年のS&P500トータルリターン(25%)の半分以上は、エヌビディアなど「マグニフィセント・セブン」によるものだった。マグニフィセント・セブンは現在、S&P500のウエートの3分の1、ナスダック100指数のウエートの約45%を占める。エヌビディア主導のAIの将来性が市場を支えたきた事実が変われば、株価形成の構図も変わらざるを得なくAIバブル崩壊の懸念すら生じているといえそうだ。
生活体感の物価上昇は凄まじく円安による物価高で国民生活は厳しさをますばかりだ。統計上のCPIは3%程度で高止まり横ばいだが、この生鮮食品及びエネルギーを除くCPI指数は実体を表さず、むしろこれらを除かない指標こそ実体で体感的には5-10%にもなるだろう。今後も大幅な賃上げが見込まれる中、企業は値上げに向かうと見られ、円安が止まらない限り物価高対策はない。政府はすぐにでも物価高対策として、期間限定で食料品だけでも消費税を数年間ゼロあるいは引き下げを検討すべきだろう。円安を背景に大幅に上がった日銀保有ETFを一部売却して財源に充てればその減収分は十分補填できる。またそれ以外にも物価高で法人税も消費税も大幅増収だ。食料品に関する消費税が減収となっても、これら法人税、消費税の増収とETF売却益で財源的には殆ど負担も問題もないだろう。実施に障害となるのは財務省と税調になるだろうが、ここは政治の本来の出番役割だ。日銀保有のETFの含み益概算35兆円は日銀のものでも政府の物でもなく国民の資産だ。金融政策による円安推移で潤った分を、円安による物価高で苦しむ国民に還元するのは理に適った政策だろう。
統計によれば、自社株買いは2024年は約17兆円と前年比7割増え、3年連続で過去最高になった。資本効率改善の要請に応えた形だが、企業は本来余裕があれば、設備投資、増配、賃上げ等を優先すべきであるが、手っ取り早い見栄え良い手法を取ったということだろう。株価上昇の原動力は日本株を再評価してきた海外投資家の買いと言われていたが、統計を見る限りではそんな裏付けはなく、上昇を主導したのは事業法人による自社株買いだったようだ。一方、海外投資家は年前半で売りに転じ、短期での投機的動きの主役ではあったが年間ではわずかな買い越しにとどまりその影響力は小さかった。需給から見れば、今年も自社株買いが続くか、海外投資家が買いに転じるかで、株価動向は大きく影響を受けそうだ。自社株買いは高水準に達し今後さらに増やす余力は縮小していると見られる。一方、海外投資家は日本株にニュートラルで、証券会社が言うほど評価していないし買ってもいないようだ。日本株は2年にわたる上昇期間、上昇幅、水準のどれを見ても、歴史的に高い投資尺度ばかりで買われ過ぎと言っても過言でもないようだ。その観点からは、2025年の日本株の上値余地は限られ、むしろ下値不安の方が大きいと見ている。
報道によれば、新NISA11.8兆円のうち人気上位は米株中心の海外株投信5銘柄で4兆円33%を占めるとのことだ。投信数銘柄でここまで異常な集中度になっているということは、米株の魅力はともかく大いに考えさせられる。経験的に言えることはこの数値は危険極まりなく、自己崩壊の道を辿るのもそう遠くもないかもしれないという懸念を持たせるものだ。このような現象はいつか見た景色を思い出させ、これをバブルと見てもそう頓珍漢な見解でもないだろう。米株が下がらない背景として新NISA資金が支えてきた面があるとも言えそうだが、もし米株下がり、その時円高を伴えば、新NISA投資家は壊滅的打撃を受けるだろう。米株は投資尺度からみて歴史的な高水準で、大幅調整の懸念と抱合せだからこれ以上はとても勧められない。ここまで米株への資金規模が大きくなれば、資金流入が続きみんなで買い続けなければ価格維持は難しいだろう。今もなお投資推奨している販売機関や運用機関の姿勢も問われることになろう。
2025年の株式相場を予想するにあたり、発射台を年末の40000円処に置き、10%強上昇で高値45000円とする市場コンセンサスは疑問である。わが国の株高は円安という厚化粧とAIバブルによる米株高で作られたといっても過言ではない。通貨安は日本売りで輸出企業の円安バブル好業績と物価高しかもたらさなかった。株高の背景として企業のガバナンス進展も言われているが、自社株買いでPBRを上げている見せかけの面が強く、経営構造の変革が進んでいるとは言い難いようだ。年末からの市場動向をみてみると、バブル崩壊がいつ現実化しても何ら不思議ではないようだ。日本株は上げ過ぎて割安感もないだけに、頼みの米株が崩れれば円安はフォロー要因とはならず株安、債券安、円安のトリプル安懸念が顕在化することもありうるだろう。
日銀保有ETFは時価75兆円程度で含み益35-40兆円と言われている。このETFは日銀や政府の隠れ資産ではなく国民の資産だ。損益分岐点は21000円と低いが、いつまでも含み益があるとは限らないから株価が高値圏のうちに活用策を考えるべきだろう。 市況が好調のうちに物価高対策給付金、災害復興費や個人投資家向けファンドとして小口で売却等するなど少しずつ整理を図るべきではないだろうか?日銀はこの含みを国債減価の穴埋めのためバッファーとして抱えたままでいたいようだが、この株式含み益は円安、物価高という国民の犠牲の下でもたらされたものにつき、役割が終われば副産物は国民に還元するのがスジだろう。証券界は売却による市場への悪影響を心配しているようだが、株価は大幅に上昇しており高値圏で分割して売れば影響はそう大きくはないだろう。アベノミクスはデフレ脱却のためにやむを得ない政策だったとしても、日銀がリスク資産を買い入れに踏み切ったこと、かついまだに保有していることは、緊急時の施策から大きく逸脱し歴史的にも世界的にも極めて異常になった。異次元緩和から既に14年以上経過し異次元を飛び越え異常緩和になった。日銀は「物価の番人、通貨の番人」であって「株価の番人」ではない。そろそろ金利面だけでなく金融政策全体の正常化の道を歩まなければならない時期にきていると言えるだろう。
市場関係者の株価見通しは常にベストシナリオ前提で、来年の高値は45000~48000円と楽観的な見方がコンセンサスのようだ。しかし年末の水準には既に割安感はなく、日米株とも長期にわたる大幅な上昇相場の反動で調整となる懸念の方が強いだろう。株価はここ2年ベストシナリオを織り込んで上昇したもので更に一段高となる要因には乏しい。 金利、業績、景気、為替等どれを見ても、市場にとってポジティブな要因は織り込み済で、一段高を支えるような新規要因は殆ど見当たらない。株価は期待で形成された虚像で必ずしも実像を表すものではない。この2年でおよそ60%も上げた相場だから、高値から30%下げて30000円割れても何ら不思議ではなく普通の調整の範囲内と言えるだろう。新春には4万円を超え高値挑戦の動きもあるかもしれないが、4万円台定着はハードルが高いだろう。個人的には来年の株価は30000円台での調整含みの揉み合いを想定している。
日銀の利上げ見送りで株価は底堅いが、総裁の姿勢は明らかに変節しこの決定はミスジャッジとしか思えず手放しで喜んでいられない。現水準の株価を過去の投資尺度から見ると、我が国株価の上昇継続を示唆するものは殆どない。株価は良くて現水準を維持し、環境次第では最高値を狙う動きもあるかもしれないという程度だろう。PER、PBRや時価総額GDP比等の伝統的な指投資尺度からは、株価はほぼ高値圏にあると見ている。将来にわたり経済や企業業績が大きく伸びない限り、過去と比べれば投資尺度は歴史的な割高水準にある。こういった指標は株価上昇下では無視され、株価が調整して初めて意識されるものだ。日本経済や企業業績は今年度で一旦ピークを打ちそうだ。現時点ではファンダメンタルズが更に好転するような楽観的な見通しはなかなか難しい。長年、運用機関で株式運用に携わってきたものとしては、市場筋の強気な見方に見られるような、日本経済の将来は明るく株価は一段の上昇が見込まれことから、もたついている今こそが買い時だと言う見方にはかなり無理があると思われる。個人的にはここから株式のウエイトを高めることは推奨できないと考えている。
国民一人当たりのGDPはかつて世界3位だったが、最新では世界39位へ落ち込んでおり驚きだ。アジアでみても、シンガ、香港、台湾、韓国に抜かれ5位に凋落している。経済成長の異常な長期低迷が背景にあることに加えて過度の円安の結果でもある。我が国は異常な金融緩和を長期間にわたり偏重し続けた結果、異常な円安を招いてしまった。円安と株高で輸出企業と投資家は潤ったが、負の遺産は国民生活に回った。この間日本経済は見かけこそ好転したが、一方で格差拡大が目を覆う程に進み、構造問題を先送りしたままで成長軌道への転換は起こっていない。アベノミクスは時間稼ぎをしている間に、経済の好循環を狙ったものともいえるが、意図に反し無駄に時間を浪費しただけに終わったようだ。一人当たりのGDPについては為替換算の問題があるにしろ、国民生活の豊かさを示す指標の一つであるのは変わらない。歴史を見れば通貨安で栄えた国はない。実質金利はマイナスが続いており利上げしても引締転換とは言えない。日銀は金利を上げ為替レートの適正化を推進すべきだろう。日銀の本来の目的である「通貨の番人」 「物価の番人」の役割を果たすべき時期にきていると言えるだろう。
来年の見通しも概ね株高予想が支配的のようだ。7月42426円を付けた頃、日経は年末には45000円、年明け後にも50000円はかなりの確率で実現すると言われていたが、その後の動きはもたつき気味だ。今の投資家のムードはバブル崩壊前の高値38915円をつけた頃に似ている。当時も日本経済は中長期的に明るい見通しが大勢で日経は50000-70000円説が優勢だった。世の中は好景気に沸き先行きの見通しも明るかったが、後で振り返るとそこがバブルの絶頂期だった。上がり過ぎたものは想定外の何かをきっかけに下がる。現在も市場関係者は概ね楽観的だが、株価は右肩上がりの景気見通しを織り込んで2年間にわたり60%も上げており、何かのきっかけで今回もそうなる可能性はけっして小さくない。見通しとか予想は全てタラレバにつき株価は虚像だ。長期間の上昇でここまでの高値をつければ、先行きの見通しは全く当てにならないものと考えて臨むべきだろう。
今年も残りひと月となった。来年の株価見通しは45000-50000円がメインシナリオのようだが、日経は7月42426円でここ数年の高値をつけたのかもしれない?長期投資なら儲かるという金融筋の勧めでNISAを始めるひともいるようだが、長期投資の成果は期間の取り方でどうにでも説明できるからミスリードが多い。長期投資でも高値圏で入ればうまくいかないものだ。市場筋は説明に都合の良い銘柄と投資期間を取って長期投資の有効性を言うが、その有効性が示された実証的なデータはどこにもない。ただでさえ証券投資は極めてリスクが高い。我が国は経済成熟国につき長期的にも高成長は望み難いから、長期投資でさえ底値圏で仕込んだ場合しかその有効性は発揮されないだろう。証券、金融等セルサイドの推奨コメントや見通しはほぼポジショントーク、勝ち馬予想レベルであてにならないものと思っていた方が良いように思われる。
トランプ勝利で大きく円安に進み日経は暴騰しているが、トランプ政権ならこれまでの常識が通用せず、関税問題などで世界経済の先行きは不透明度が増す。またトランプはもともとドル安支持だから、そのうち円安是正を強要してくる可能性が高い。株式市場はトランプの返り咲きを一旦歓迎しているが、手放しで喜んでいるといずれしっぺ返しにあいそうだ。日米企業とも主要企業の決算を見ると収益にはピーク感があり、バリュエーション的には歴史的にみてかなり高水準に達している。日経でみればこの先も円安が進まない限り株高は維持できないだろうと思われ、株価急騰は一時の熱狂で終わる懸念すら感じている。市場はあまりにもはしゃぎすぎだ。慎重すぎるかもしれないが、ここからの一段の株高に賭けるのは極めてリスキーと考えている。
日米株価とも期間、値幅とも上げ過ぎており、バリュエーション的には割安感はなくなり買われ過ぎの水準になった。上昇が続くためには業績が伸び続けるしかないが、主要企業の中間決算をみると概ね伸び悩んでいる。見方によっては、ドットコムバブルが弾けた時の状況に少し似てきていると思えないこともない。当時は長期的な夢を買い、ITで将来世の中は変わると言われ理想買いで天井をつけた。株式市場で言う明るい未来と現実はあまりにもかけ離れているものだ。いつ本格調整に入るかこればかりは分からないが、数年前から続くAI株高は後で振り返るとバブルだったということになる懸念もあるだろう。資金があるから、みんなやってるから、長期投資だからという曖昧、漠然とした自分に都合の良い理屈をつけて株式は買ってはいけない。株式投資では、高値では縁がなかったと割り切り次のチャンスを待つことも必要だ。