Fireside Chats

ファイアーサイド・チャット=焚き火を囲んだとりとめない会話のかたちで、広報やPRの問題を考えて見たいと思います。

スーパーのおやじが国会議員に

2005年09月13日 09時12分27秒 | ニュースコメント
びっくりした。
安井潤一郎さんが国会議員に当選しちゃった。
東京ブロックの比例代表に名前を貸したら、思わぬ大勝で議席が転がりこんできたもの。
安井さんの本業は、早稲田のスーパー稲毛屋の社長。
親から受け継いだ肉屋を拡大したものだ。

安井さんは、早稲田商店会の会長に押し立てられ、商店街の活性化に取り組むこととなった。
学生の街早稲田は、夏休みに入ると学生が去り、閑古鳥が鳴くようになる。
そこに人を集めようと知恵を絞っていたところ、大学の先生に勧められ、1996年8月に早稲田大学の構内を借りて「エコサマーフェスティバル」という環境イベントを開催する。
このフェスティバルは回を追うごとに内容も充実し、人も集まり、評価も高まっていく。
それと歩調を合わせるように、会長を先頭とした商店街の面々は、環境問題の重要性に目覚めるとともに、コミュニティの大切さに気がつき、楽しくて儲かるまちづくりを目指し始める。

やがて、商店会会長の活動は早稲田の街にとどまらない広がりを持ちはじめる。
昨年の中越地震。商店会会長はさっそく救援活動を始めた。
その発想がユニークだ。例えば床屋ボランティアが被災地に入って散髪サービスをしたら地元の床屋はどうすりゃいいんだ。
大事なことは被災者の自立を助けることだと考えた社長は、自ら被災地の肉屋に自分の店の仕入れの発注を出す。
そしてこの活動への賛同を呼びかけ、大きな輪に育て上げていくのだ。

そんな安井さんの講演を聞いたことがあるが、抜群に面白い。
飾らない下町のおやじそのものの人柄で、その語り口は、噺家そのもの。
腹を抱えて笑ってしまった。
話しの内容は真っ当な江戸っ子の気概に満ちており、沢村貞子や海老名香葉子などの発言に見られる、「おかげさまの精神」「お互いさまの精神」が横溢しており、聞いていて清々しい。

安井さんが代議士として何ができるかはわからない。
仮に無力であろうと、悪いことは金輪際しないこのような市井の親父さんが議席を占めることは、それだけで心楽しいことだ。
もしできるなら、本当の庶民感覚を失わず、肩に力をいれず、早稲田の横丁そのままの気持ちで、街づくりやNPOの風を国会に送り込んで欲しい。


早稲田商店会
早稲田商店会会長 安井潤一郎のブログサイト