Fireside Chats

ファイアーサイド・チャット=焚き火を囲んだとりとめない会話のかたちで、広報やPRの問題を考えて見たいと思います。

情報聖戦

2004年09月12日 10時39分08秒 | プロパガンダ
9月11日。NHK特集で「情報聖戦」が放送された。
アルカイダのメディア部門アッサハブに注目し、その内幕に迫ろうとするもので、アメリカの不毛なメディア戦略との対比でその効果を描き出している。

アッサハブがはじめた、アルカイダのプロパガンダ映像制作の手法が、パソコンの発達により、いまや一般の若者でも容易に手がけられるようになり、アッサハブは自らの制作にとどまらず、複製から流通まで含めたトータルプロデュースに領域を広げていることを予測させること。アルジャジーラを含めたメディアへの有効なアプローチを通じ、イスラムの人々、なかんずく若者の心を捉え始めていること。インターネットのサイトを通じ、動画アーカイブを容易にダウンロードできる環境が整い始めていることがよく理解できる。

制作の中心は「戦争広告代理店」でボスニア=ヘルツェゴビナのPR戦略と、それをコンサルティングしたPRエージェンシーであるルーダー・フィン社のジム・ハーフの活躍を描き出した高木徹氏である。

アメリカのメディア戦略については、シャーロット・ビアーズの失敗についても、アル・フッラのいかがわしさについても、かつてこのブログで取り上げた。
しかし、アルカイダをはじめとするイスラムサイドの動きについては、アルジャジーラこそ注目していたものの、全く情報が得られていなかった。

アルフッラの洗練された映像を、アルカイダの作る荒削りな映像と比較して眺めると、粗雑である分アルカイーダのそれは、圧倒的なリアリティを持っている。
アメリカは情報戦争で負けている。
情報戦争での敗北はダイレクトに現実の戦争での敗北につながることが、現代の面白さだ。
アメリカがこの戦争で勝利を収めることはないだろう。


1 コメント

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Unknown (スノー)
2004-09-13 12:06:59
巨大メディアにたった一台のパソコンで対決できるのですからインターネットの力を感じます。

パソコンを本当の意味での道具として使いこなしてるのは皮肉な事にアルカイダたちなのかもしれません。

この戦いを終わらせるのはベトナム戦争と同じように本当の戦場の姿をアメリカ国民に見せる事だと思うのですがどうでしょうか?

死体の写らないニュース映像はある意味、不気味です。
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