気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

この梅生ずべし

2015-08-23 11:30:35 | 安立スハル
常臥しのわれの周囲の掃かるると風呂敷を顔に被せられたり 

いまわれの臥せる位置にて五年前父が逝きしとふと思ひたり 

吾は小さき人となりつつ枕べの盆栽の木立の傍(わき)をさまよふ 

病みしよりはくこともなきわが靴ををりをり母が手入れする見つ 

(安立スハル この梅生ずべし)

***********************************

安立(あんりゅう)スハルは、大正12年、京都生まれ。
思うところあって、ここ数か月、安立スハルの歌を読み、すっかり嵌まっている。手に入りにくい全歌集も、買ってしまった。ぼちぼちと彼女の歌を紹介していきたい。

掲出歌は、ただ一冊の歌集『この梅生ずべし』(昭和39年)に収録された病床の歌。十代で肺結核を患い、療養しながら、生きながらえ、41歳で歌集出版。平成18年に83歳で病没。

最新の画像もっと見る