気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

1466日目 東日本大震災から四年を詠む 塔短歌会・東北

2015-07-23 10:26:30 | 歌集
通るたび遊びてをりし子どもらに近ごろ会はず仮設住宅(かせつ)の路地に
(相澤豊子)

海岸を打ちつけしのち引く光 ここからここまで連れていかれて
(浅野大輝)

ガスがまた停まる日は来る(いつ来るか?)電気ケトルを捨てると決めた
(井上雅史)

ティッシュには「東日本大震災チャリティ絆東北」とあり
(及川綾子)

この線は常世の国へ繋がりぬ目を閉ぢ語らむ「風の電話」に
(大沼智惠子)

売れぬかもしれぬ米だと言ひながらそれでも籾は湯にふやけゐる
(梶原さい子)

地震ののちしづかな時が流れゐき きつと死ぬ時はああいふ感じ
(小林真代)

床の上に置けばボールの転(まろ)びゆく地震(なゐ)にたへきし古き家はも
(斎藤雅也)

四年経て家が建ちても人知れぬ胸の綻び見ゆることあり
(鈴木修治)

ひと住めぬ戻らざる町 晒さるる土台は尖りを失ひはじむ
(武山千鶴)

防護服身にまといたるひとびとのすべての額に触れたかりしが
(田中濯)

一人なり。テレビの中の被災者はみんな誰かと支え合ってて
(田宮智美)

いまだつづくさまざまな揺れうけいれて雛(ひひな)かざりぬきさらぎ半ば
(千葉なおみ)

東日本大震災起こりしときのざわめきは全て生者のざわめきだった
(花山周子)

電力は足りてゐるぞと歌ふがにがなる女と、鐘と、太鼓と
(松木乃り)

庭にある四角い異物の中の土 重い元素を含みて重し
(三浦こうこ)

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『1466日目 東日本大震災から四年を詠む 塔短歌会・東北』より。

参加されている16名(各10首)の作品から、こころに残った歌を一首ずつ紹介させていただく。

もう四年。まだ四年。
あのとき、スポーツクラブのテレビで地震のことを知った。テレビの画面には、街にどんどん黒い水が入り、乗用車が呑み込まれる様子が映されていた。私はわけがわからないまま、次のクラスが始まるので、それに参加してしまった。なんと自分勝手な人間だろうと、恥ずかしく申し訳なく、いまでもいたたまれない気持ちになる。あの映像は死ぬまで忘れられないだろう。

http://d.hatena.ne.jp/artery+366/

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