日々是サンゴ礁

普段の生活の中でサンゴ礁保全ができるような話題を綴ってみたいと思います

[SBI1] (5/1) 会議準備・自然観察

2016-05-01 23:01:01 | 生物多様性
一般社団法人CEPAジャパン(CEPA-J)の立場で生物多様性条約(CBD)の条約実施補助機関(SBI: Subsidiary Body on Implementation)の第1回会合(2016年5月2日~6日)に参加するため、昨日からモントリオール(カナダ)に来ています。

 SBIは2014年に韓国ピョンチャンで開催されたCBD第12回締約国会議(COP12)の決議に基づき、CBDの構造とプロセスを効率化するため、その実施評価において締約国を支援することを目的として設立されました。CBDだけでなくカルタヘナ議定書・名古屋議定書も含め、その実施状況について科学技術的『以外』の観点からCOP及び補助機関に対して助言します。
#ちなみに科学技術的な助言は科学技術助言補助機関(SBSTTA: Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice)が担っています。先週4月25日~29日には、同じくモントリオールで第20回会合(SBSTTA20)が開催されました。

 SBSTTAの際は会期前日に国際的なNGOの緩やかな連携組織CBDアライアンス(CBD Alliance)主催のNGO戦略会議があり、SBIでも開催されるだろうと思っていました。ところが、SBSTTA20から継続して参加している人が多いせいか、NGO戦略会議は開催されないということが今日になって分かりました・・・。

 丸一日空いたので、SBI文書について推奨決議文案を中心に確認しました。会議で主に議論される公式文書が34件、その参考となる情報文書が54件出ています。全部を読むのはとても無理なので、興味がある議題に関連する文書を中心に読み込みました。以下の点に関する議論に注目したいと思います。

UNEP/CBD/SBI/1/2
"PROGRESS IN THE IMPLEMENTATION OF THE CONVENTION AND THE STRATEGIC PLAN FOR BIODIVERSITY 2011-2020 AND TOWARDS THE ACHIEVEMENT OF THE AICHI BIODIVERSITY TARGETS"
・2015年が達成目標年だった愛知ターゲット10について、本文に記述があるが推奨決議文案には無い。

UNEP/CBD/SBI/1/5
"STRATEGIC ACTIONS TO ENHANCE IMPLEMENTATION OF THE CONVENTION AND THE STRATEGIC PLAN FOR BIODIVERSITY 2011-2020"
・P14のパラ10-14にビジネス関連の記述があり、自然資本会計、価値算定を意思決定に盛り込むことを呼びかけている。また、価値づけなどの支援を政府・事務局長に求めている。

UNEP/CBD/SBI/1/5/Add.2
"STRATEGIC ACTIONS TO ENHANCE MAINSTREAMING OF BIODIVERSITY: CROSS-CUTTING ISSUES"
・P4-5 para17に法的枠組み、para18-19に生態系価値評価に自然資本プロトコルなどビジネス関連、para20に持続可能な消費と生産、の記述がある。
・P6に持続可能な利用、para24にCEPA、para25にツール活用不足、の記述がある。
・P8にビジネスセクターの役割について記述がある。
・P11 para50に都市の生物多様性の重要性について記述がある。
・P12 para58に主流化におけるビジネスの貢献について記述がある。
・市民セクターやNGOとの協業について記述が無い。

UNEP/CBD/SBI/1/6
"Capacity-building, technical and scientific cooperation, technology transfer and the clearing-house mechanism"
・P17 para3(a)~生物多様性教育について記述がある。

UNEP/CBD/SBI/1/9/Add.1
"Options to enhance synergies among the biodiversity-related conventions"
・P10 para33~コミュニケーションと啓発について記述がある。


それから、これまで行ったことが無かった近くの林に自然観察に行ってみました。林の入口には生物多様性保全に関する看板があり、残された自然を大切にしようという意識が感じられます。わずかですが雪が残っているところがあり、木の芽はまだ固く、全体的には早春という感じです。道路に近いところにはSiberian Squill(Scilla siberica)という小さくて青い花(一部には白い花)の群落がありました。林の中にはカタクリのような葉とつぼみの群落が沢山見られました。Trout Lily(Erythronium americanum)という名前で、黄色い花を咲かせるそうです。これから少し暖かくなるようなので、一週間の滞在の間に咲いてくれることを期待したいと思います。