日々是サンゴ礁

普段の生活の中でサンゴ礁保全ができるような話題を綴ってみたいと思います

#093:サンゴ礁の権利 2

2008-03-31 03:31:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 「サンゴ礁の権利」の2項目です。

・海洋汚染

 “水に流す”という言葉があります。昔から海に流してしまえば、自然が解決してくれる、という考えがありました。人が少なく、流すものも自然物に近いものであった時は、確かにそうだったでしょう。ところが、人が増え、自然に分解されない物が増えた結果、海は浄化できなくなってしまいました。

 流した時の悪影響は、少しずつ分かってきています。前に書いたように、日焼け止めに含まれる物質がサンゴを白化させます。富栄養化で、海藻が増えてサンゴが減ったり、病気が増えているという報告もあります。タンカーの座礁による重油流出も、広範囲に急激に被害を与える海洋汚染です。

 私たちが綺麗な空気、綺麗な水を求めるように、サンゴ礁もまた、綺麗な環境を求めているのです。

#092:サンゴ礁の権利 1

2008-03-30 03:30:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 「サンゴ礁の権利」をご存知ですか?人間に「人権」があるのと同じく、自然にも権利があるという考え方があります。この「サンゴ礁の権利」も、同様の考えです。「全てのサンゴ礁は、以下のものによる被害を受けない権利を有します」として、6項目設定されています。1項目ずつ、解説を交えて紹介します。

・過剰漁獲及び破壊的な漁業

 過剰漁獲というのは、要するに“獲り過ぎ”です。親から生まれた子どもは、大人になるまでに他の生物に食べられます。生態系がバランス良く維持されている時は、簡単に言うと1組の親から生まれた子どもの内、2匹のみ大人になります。獲り過ぎというのは、2匹が大人になれないか、大人が減ってしまうかのどちらかです。例えば前者はシラス、後者はマグロやニシンなどが挙げられます。

 破壊的な漁業は、例えばダイナマイト漁など、生きる場所を破壊するものです。 生きていく場所が無ければ、当然生物はいなくなってしまいます。

#091:サンゴ礁の健康診断 7

2008-03-29 03:29:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 サンゴ礁の健康診断であるリーフチェックにおいて、一番大事なのは何だと思いますか?私は「継続すること」だと思っています。

 健康診断は、長年やることで体の変化が分かります。リーフチェックも同じで、10年、20年と継続することで、いろいろ見えてくると思います。

 昨年、データや各チームの状況をまとめて、「リーフチェック活動10周年報告書」を作成しました。日本のサンゴ礁の健康状態の変化を一覧して見ることができます。

 これからも調査を続け、サンゴ礁を見続けていきたいと思います。

#090:サンゴ礁の健康診断 6

2008-03-28 03:28:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 リーフチェックでは、ボランティアダイバーは主に魚類調査、無脊椎動物調査、底質調査、被害調査を担当します。

 魚類と無脊椎動物は、限定された種類だけをおおまかな分類で数えていきます。 例えば、ブダイの仲間が対象になっているのですが、どんなブダイでもまとめて数えます。

 底質は、10種類に区分して、そのどこかに当てはめます。例えば、造礁サンゴならHC(Hard Coralの略です)というように。

 被害については、アンカー被害とか、ゴミの量を調べます。サンゴの病気なども調査するのですが、これは素人には無理なので、科学者が担当します。

#089:サンゴ礁の健康診断 5

2008-03-27 03:27:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 リーフチェックのもう一つの特長は、素人が調査に参加できることです。

 サンゴ礁の専門家の数は限られていますから、調査できる範囲は限られています。また、通常は詳しい調査を行うので、時間もかかります。

 しかし、今やサンゴ礁に迫る危機はどんどん増えていますから、できるだけ多くの地点を調査する必要があります。

 そこで、リーフチェックでは、ボランティアダイバーのチームを作り、専門家と一緒に調査を行うようにしました。そのため、調査方法は「高校生でも理解できる」レベルに設定されいます。

#087:サンゴ礁の健康診断 4

2008-03-26 03:26:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 リーフチェックの特長の一つに、「世界中で同じ調査方法を用いている」ということがあげられます。

 通常、調査方法は目的に応じて変わります。専門家が行うものなら、なおさらです。1990年代半ばにサンゴ礁の研究者が集まり、サンゴ礁の保全について議論がされました。その際に、「別々の調査方法では比較ができない」という問題が浮かび上がりました。これでは、どこが良くて、どこが悪いという議論ができず、保全の方針が立ちません。

 そこで、世界共通の調査方法を作る、ということが決まり、リーフチェックが生まれました。

#087:サンゴ礁の健康診断 3

2008-03-25 03:25:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 リーフチェックは、サンゴ礁を持続的に利用することを前提にしています。

 人間は元々はサンゴ礁生態系の一員ではありませんが、昔からその恵みを得てきています。私もダイビングをする中で、サンゴ礁の恩恵を享受しています。これからも、ずっとそうであって欲しいと思います。

 そのために、リーフチェックでは人間がサンゴ礁にどのように影響を与えているか調べます。過剰な漁業の影響、アクアリスト向け採集の影響、サンゴ食生物の影響、水質汚染の影響、などです。

 これらを素人にも調査できるようにしたことが、リーフチェックの特長の一つです。

#086:サンゴ礁の健康診断 2

2008-03-24 03:24:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 リーフチェックで調査の対象とする地点は、その地域で最も健康状態が良いサンゴ礁です。そこを長い期間調査し、変化を見ることで、傾向として良くなっているのか、悪くなっているのかを見ます。

 最も良い場所を見ますから、ここが悪くなるようだと、他はもっと悪くなっている、と推測できます。良い状態が維持されているならば、その理由を考えて、他地域の保全に役立てます。悪くなっているなら、その原因を追求するための詳しい調査の必要性を説きます。

 サンゴ礁の健康状態は、かなり変動しますので、複数の地点でリーフチェックをすることも奨励されています。

#085:サンゴ礁の健康診断 1

2008-03-23 03:23:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 私がサンゴ礁保全活動として取り組んでいる中で、最も力を入れているのがサンゴ礁の健康診断「リーフチェック」です。

 昨日までご紹介した植え付けは、いわば治療です。悪くなったサンゴ礁を元気にしよう、という試みです。これに対して、リーフチェックは「サンゴ礁が健全かどうか確認する」という活動です。

 人間の健康診断と同じで、健全である時には注目が集まりにくい、ということは否めません。

 企業に勤めていれば法律で、毎年健康診断を受ける必要があります。人間がそうなのですから、サンゴ礁も同じく健康診断が必要だと思います。

#084:サンゴの植え付け 7

2008-03-22 03:22:00 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
 植え付けたサンゴがうまく育ってくれるために、一番大事なのは何でしょうか? それは「海の環境」だと私は思います。

 サンゴは透明度が高く栄養が少ない海が好きです。濁って富栄養化した海では、サンゴは生きていけません。植え付けたサンゴだけでなく、自然に生きているサンゴも、同じです。

 私たちは、今、その場所にいるサンゴたちが生きていける海の環境に戻す努力が必要です。海が汚れないような努力は、誰にでもできることですから、何ができるかを考えて、やっていきましょう。