ちーむ☆ものくろ

黒色ダップー犬と飼い主の日々のつぶやき。
ときどき白黒ネコと茶色の犬の話も、ね。

私と 働く犬たちとの 縁

2013-12-09 | 犬・猫と暮らして思うこと

盲導犬、介助犬、聴導犬、麻薬探知犬、セラピー犬。
人の体のガン、てんかんなどの発作を察知する犬。
牧場で手際よく羊や牛を集めて柵に追い込む犬など。
働く犬たちはたくさんいます。
そのなかで、見たことはなくても誰もが知っている、働く犬の代表は
盲導犬、介助犬、聴導犬。「身体障害者補助犬」と呼ばれる犬たちです。
盲導犬は視覚障害者の目の代わりとなって、道行く時など段差や障害物をよけて
安全にユーザーさんを誘導して歩きます。
介助犬は身体障害者の手や足となって、電気のスイッチを押したり、落としたものを拾って渡したり。
必要なものを取ってきたり。坂道では車いすを引っ張って昇ったりします。
聴導犬は聴覚障害者の耳の代わりとなって、目覚ましが鳴ったり、となりの部屋で赤ちゃんが泣いていたり、
ヤカンが沸騰したとき、玄関のチャイムが鳴ったときなど、体にタッチして教え、音源の場所まで案内します。
道路を歩いているとき、後ろから自動車や自転車などが近づいて来たら、やはりタッチして教え、
道路の端に避けるように促したりします。
どんな刺激がある場所でも誘惑に負けず、きちんと役目を果たす立派な犬たち。

私は以前、ある聴導犬育成団体で手話通訳のお手伝いをしていました。
聴導犬普及のために色々な場所にデモンストレーションに行きました。
そのデモの一部始終を手話で通訳するお手伝いです。
聴覚障害者の方がその場にいなくても、耳の不自由な方の言語である手話のことも聴導犬とともに知ってほしいので、
手話通訳もかかさず、セットで同行して行きました。
小、中学校の授業として行ったこともありますし、高校や大学の文化祭に招かれたりもありました。
デパートの広場で買い物のお客様に見てもらったり。ホテル社員の研修でデモしたこともありました。
イアン・ダンパー先生が、日本で初めてK9のイベントを行ったときにも行きましたが。
各地で行われる福祉関係のイベントが、いちばん多かったですね。
盲導犬協会さんや、介助犬協会さんとブースを並べることも多く。
広く浅くでしたけど、盲導犬や介助犬のことも知ることができました。
この補助犬たちの活躍を真近で見て、犬の素晴らしさを更に知りました。
デモに係わっているトレーナーさんやスタッフさん、すべての人が犬に対して威圧的なことはひとつもなく。
参加しているユーザーさんとそのパートナーたちも常に笑顔で楽しそうで。
何度もそういう光景を見るうちに、私も愛犬とたのしく、何かできることはないだろうかと思いました。
そして、始めたのがCAPPです。
補助犬あっての、私のCAPP活動なわけなのです。

私と補助犬には「縁」があるようです。
聴導犬のお手伝いはだいぶ前に終わっていましたが。
今度は盲導犬関係のお手伝いを依頼されたのです。
小学校などの授業や福祉のイベントに参加して、盲導犬の普及活動をします。
盲導犬の一生や現状をお話したり、ユーザーさんに日々の話をしていただいたり。
アイマスクをつけて、盲導犬体験をしてもらう。
そういったことをします。

が、私はさっきも言ったように盲導犬のことは広く浅くしか知りません。
これではデモする側にいるのはちょっと頼りない。
たまたま昨日これから一緒に活動するリーダーさんの講演があるというので、出席させてもらいました。





まずは講演を1時間ほど、じっくりときいて。
そのあとは近くの公園で盲導犬と歩く体験をしました。

ユーザーさんが歩いて見せてくれました。


このご夫婦はお二人とも視覚障害者です。
ご主人が盲導犬のハーネスを持って犬とともに歩き、のご主人の腕を頼りに奥様が歩きます。
ふたりで一頭。「タンデム」というそうです。日本でタンデムで歩く方は数えるほどだそう。
珍しい光景のようです。
そのあとは健常者の私たちの体験です。もちろん私も体験。
体験しないと人に説明できませんからね。
まず、白杖を持ってさぐりながら進みます。

これは怖いですよ。なにか前にあるんじゃないかとか、段差があるんじゃないかとか。
常に杖の先に気持ちが集中してしまうので、周りの音や気配に対して注意がおろそかになってしまいました。
まっすぐにも歩けてなかったようです。

次に犬のハーネスを持って歩きます。歩きだすコマンドは「ゴー」
ポールに沿って歩いて行くと、障害物のバイロンがあります。
犬は察知して右に避けます。

障害物をクリアしたら、もとのポールのラインに戻って歩きます。

白杖を持って歩いているときとは全く違います。
「大丈夫だよ、まっすぐね~」「障害物があるから右に行くよ」「オッケー、もとに戻るよ~」
犬がそういっているように感じました。安心してついて来てねって聞こえてくるようでした。本当に。
犬の自信が伝わってくるようでした。
思ったより歩くのが早かった。
白杖から犬に変えたユーザーさんが「犬と一緒に歩くようになって、頬に風を感じて歩けるようになった」と話していたそうです。
体験したら、その言葉がすごくわかった気がします。

これは電車などの、空いている席を探すデモ。
「チェアー」とコマンドを出すと犬が席に近づきます。

空いている場所を見つけるとそこに顔を入れます。

ユーザーさんが手で触って空席を確かめたら「グッド」と褒めて座ります。

そして犬はユーザーさんの足元で静かにダウンします。

このほかに盲導犬のお出かけ先での排泄のデモ。
お出かけ先での水分補給の管理の話なども聞きました。
犬もすごいけど、周りのひとに迷惑をかけてはいけないと、ユーザさんの犬への管理や気配りにも頭が下がりました。

最後はユーザーさんを囲んでディスカッション。
「知人に盲人と言われるのが大嫌いなひとがいる」と言った男性にユーザーさんのおひとりは。
「きっとその方は自分の障害を受け止めきれないでいるのでしょう。
昔はね、「めくら」っていわれてね。冷たくされたり、いろいろ言われたり、そりゃ辛かったのよ。
めくらが盲人て言われるようになって、あら、ずいぶん進歩したわって思うわよ(笑)
どうしたって障害はかわらないのだから、何事も明るく考えていきていかなきゃ損よね。
だから私は毎日笑って生きることにしてるの。
犬が来てからますますそうできるようになったわ。つきあいもあまりしてくれなかった近所のひとも犬が来てから声かけてくれるようになった。なにかの時には助けてくれるようになったの。犬はいろんなことの潤滑油だね。このこがいてくれて、ほんとによかった」

もうひとりのユーザーさんには犬を迎えたきっかけと、生活がどのように変わったか質問。
「私はずっとひきこもりみたいな生活をしてたの。外に出るのも、人としゃべるのも嫌いだったの。
でもこのままではいけないと思って。
ほんとは犬も大嫌いで、触るなんてとんでもなかったのよ(笑)けど、犬が一緒だったら行けるのかな。
なーんて思って。
そうしたら行けたのよ~。ひとりじゃないって思ったらね。
犬を間にして、人ともしゃべれるようになったの。
今ははじけすぎちゃって、ほとんど家にいないよ~(笑)
この子のおかげよねぇ」

ユーザーさんの笑顔は明るく輝いてました。
つらい経験を乗り越えたひとは強いですね。

そして、犬の存在も力強くて、すばらしい。
犬は良きパートナーですね。

街で補助犬のユーザーさんが、何か困っていそうだったら、ぜひ勇気を出して声をかけてください。
聴覚障害の方には、手話でなくても、筆談で大丈夫です。
ゆっくりしゃべれば唇の動きを読んで、通じることもあります。

そして。
ハーネスやケープを着けているとき、犬たちは仕事中。声かけ、触ることは禁止です。
心の中で「頑張って」とエールを送ってあげてください。

私も頑張る犬たちのために。
少しでも力になれるように。
頑張って活動していきたいと思います。