女性の意見に耳を傾けよう！

　大人のための心理童話（早川書房）を読みました。古来からの人間の知恵が何らかの形で集約されている伝承や物語を心理学の立場からわかりやすく解説している本です。

　全ての内容が私に当てはまるようで、先人の戒めを無視してここまで来たのかと我ながら呆れてしまうほどです。ステレオタイプな考え方ですが、成熟していない男性は戦闘的、好戦的です。私もそうです。それに引き換え、女性は調整型というか、力に頼らない解決方法を先天的に知っているのでしょうか？

　もちろん、年を重ね、修練を積みある域に達した人間にとっては、男性、女性という区別は意味のないものになっていきます。特に医療とも関係のある「癒し」については両性的なものを持ち合わせることが重要なようです。

　ある方から（当院にとっては、非科学的なそして非論理的な）メールがあり、私はこの本を読んだのにもかかわらず、反論の返事を書くところでした。医学文献や法令を引用し極めて冷静なつもりでしたが、私の女性部下は２人とも声を揃えて「止めなさい」というではないですか！

　女性はある意味、男性よりも現実的な解決策を提示するのが得意なようです。そのことは、前記した本の「鳥に洗礼してしまった話」にもありました。「男たちで話し合っても喧々諤々で一向にまとまらないものでも、実際的な知恵を持つ女性が解決できるようです。だからこそ、女性のマネージャーが最近増えているのかもしれません。もちろん、私は女性達に従ったのは言うまでもありません。
　

薬を出さないのが名医か？

　たくさん薬を出すのはやぶ医者で、必要がなければ処方しないのが名医と言われています。それは真理と思いますが、なかなかそういかないこともあります。渋谷にある当院に来る患者さんは、必ずしも渋谷近辺に住んでいるわけではありません。よって悪化した時のことを考慮しつつ処方しなければなりません。
　先日、時間外に（私から言わせてもらえば大変失礼な）患者さんが強引に受診されました。早く帰りたがっていた従業員をなだめつつ、患者さんの話を聞くと、「今日、ダニに刺されて他院を受診して『ダニに効く薬はないのでこの薬で様子をみるように』と言われたが、効きそうにもないので、ダニに効く薬をだしてくれ。」と言う。同業者を庇うわけではないが、処方内容をみても間違いはなく、また１日やそこらで100％完治するわけではない。そういうことをきちんと説明したが、その患者さんは明らかにご不満なようでした。酷いことも言われました。（夜間、診療時間外に突然来て、一体何なのかと思いました。）
　その後日談については想像できると思いますので、ここではオミット致します。あの時、効かない薬でも処方してやれば、その患者さんは納得されたのかもしれません。（医学用語でプラセボ効果と言います）でも、それは意味のあることなのでしょうか？それにしても、医者はあくまでも患者さんの自助能力を手助けする立場にしか過ぎないのですが、渋谷には驚く人が多く、刺激的な毎日です。

HIVだけでOK？

　性病の危険性を訴えて数年経ちました。最近では他院からも紹介を受けるようになってきました。今の日本人で性病と言えばHIVなのかもしれません。HIV検査を受けられる人に、どれだけ他の性病の感染率や危険性を説明しても、大半の方は「HIVが問題なければ、後はいいです」という反応です。
　HIV患者が当院で数人見つかったことは以前お話いたしました。クラミジアや淋病は日常茶飯事、それ以外の性病（たとえば梅毒）もポツリポツリと出ています。ほとんどの場合、早期に治療を受ければよかったのですが、検査を受けること自体恥ずかしいのでしょうか？「何でこんなに放っておいたの？」というケースも見受けられます。
　本当に好きな人がいるならば、私は一切性病の心配は要りません、という証明書を渡すと、相手もその誠意にぐらっとくるのではないでしょうか？
　当院は渋谷、若者の街、風俗街なので、他の地域よりはいろいろ問題がある地域かもしれません。ご心配な方は、自覚症状がなくても受診してください。