私の父も外科医でした。肺結核の外科治療に情熱を燃やした根っからの臨床外科医でした。あまり怒られたことはないのですが、唯一強烈に怒られたことがあります。私がまだ30歳前のペーペーだったころ、祖父の三回忌が本家のある福井県で行われ父と参加しました。法要などの後宴会があり、その席で親戚に、もう2-3日のんびりしていけばよいのにと言われ、私は「いえ、患者さんが待っていますから…。」と答えました。宴会の後、父にものすごく怒られました。「キザなこと言うな!お前みたい医者など誰も待っていない!うぬぼれるのもいい加減にしろ!」 すごい剣幕でした。自分なりに多少自信があったので、当時はなぜ怒られるのかよくわかりませんでしたが、その後次第にわかるようになりました。「自分がいないと皆困る→誰も困らない」「自分は手術がうまい→幻想」「自分はなんでもできる→やりたいのとできるのは違う」「自分はよい医者である→思い込み」などなど、勘違いしている医者が実に多い。
私はあまり医療ドラマは見ないのですが、依然、たまたま草さんが主人公役の、かなり年をとってから医者になるドラマを見たところ、ある場面で彼が、「患者さんが待っていますから…」とセリフを言っていました。思わず、お前みたいな研修医を待っている患者など誰もいないと突っ込んでしまいました。
日々誠実に、一つずつ確実に自分の知識と経験を積み重ねることのみを考えるのが、臨床医としては唯一大事なことと思います。
私はあまり医療ドラマは見ないのですが、依然、たまたま草さんが主人公役の、かなり年をとってから医者になるドラマを見たところ、ある場面で彼が、「患者さんが待っていますから…」とセリフを言っていました。思わず、お前みたいな研修医を待っている患者など誰もいないと突っ込んでしまいました。
日々誠実に、一つずつ確実に自分の知識と経験を積み重ねることのみを考えるのが、臨床医としては唯一大事なことと思います。