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2018-09-15 | 作家別諸々(さ行)




住野よる
『君の膵臓を食べたい』★★★+


話題のベストセラー
一気に読んでしまえたのは、ケータイ小説だったから。
涙涙の分が今回も+
本当は★4つかなと思ったんだけど、
次に読んだ『マチネの終わりに』の文体があまりにも素敵でそのギャップに★3つ↓
小説家 プロとはこういう文章で物語を著せるという目からウロコの美しさ。
マチネは大人な恋愛物
文章の一つ一つ言葉の選び方全てが洗練されていて・・それは後日・・

さて膵臓
こういう病気物はどうしても涙なしでは終わらない。
辛辣な感想のコもいるけど、それはそれぞれ。
宮崎駿の『風立ちぬ』と同じ。
映画化もされているから、そっちの話題の方が大きい。
「小説興味ない?」「映画みちゃったんですよ~」な反応
でも膵臓は題名からして気になっていたから、読んでスッキリ!
話題物も水物として読むのはありあり。



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「うふっ、私達周りからはカップルに見えるかな?」
「見えたとしても、本当のこととは違うんだから関係ないよ」
「うわぁ、ドライだねぇ」
「見ようと思えば性別の違う二人組は全部カップルに見えるし、外見だけなら君もとても、もうすぐ死ぬようには見えない。大切なのは、人からの評価じゃなくて中身。君も言ってたろ」
「【秘密を知ってるクラスメート】くんらしいね」



「どこ行くの?」
僕が訊くと、目を細めて空を仰いでいた彼女は踊るように言った。
「パラダイスだよ」
楽園、そんな場所が高校生の女の子から命を奪うこんな世界にあるのだろうかと、僕は不思議に思った。



「死に直面してよかったことといえば、それだね。毎日、生きてるって思って生きるようになった」
「どんな偉い人の言葉よりも心に響く」
「でしょ?あーあ、皆ももうすぐ死ねばいいのに」
舌を出す彼女、冗談めかしに言ったつもりなんだろうけど、僕は本気なんだろうなと受け止めた。



ハート型のお皿に控え目に盛ったトマトパスタを食べる。少し固まっているけどなかなかいける。思えば、食事も、帰り道と同じだ。僕の一口と彼女の一口は、本人の感じている価値が全く違うかもしれない。もちろん、本来ならば違ってはいけないのだけれど。犯罪者の気まぐれや何かで明日死んでしまうかもしれない僕と、もうすぐ膵臓をやられて死んでしまう彼女の食事に価値の差なんてあってはならないのだけれと、それをきちんと理解できるのは、きっと死んだ後だ。



「もしかしてミッフィーちゃんのバッテンが口だと思ってる人?あれは真ん中で上と下に分かれるんだよ、上が鼻で下が口なんだ」



「違うよ。偶然なんかじゃない。私達は、皆、自分で選んでここに来たの。君と私がクラスが一緒にだったのも、あの日病院にいたのも、偶然じゃない。運命なんかでもない。君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、私達を会わせたの。私達は、自分の意思で出会ったんだよ」



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随分ここ最近柔軟になったなぁと思う。
性格は「頑固」と言われるけど、見せる顔によってちがいます。
この膵臓も自分を変えてくれた!そんな人に出逢ったお話
一つの出逢いが思いがけない方向へ。
影響を与えてくれる人との出逢い。




http://www.futabasha.co.jp/introduction/2015/kimisui/


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