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2022-07-08 | 時代小説(お江戸物語)

 

藤沢周平
『橋ものがたり』★★★★

 

普段お江戸物語を読んでいないお友達から借りた本
よいチョイスだと思う。

私はドラマを既に観ていたので話的には知っているんだけど、
小説の世界はまた違った味わいがある。

 

この作品は昭和55年4月実業之日本社より刊行された。

 

--------(抜粋)

 

橋の上で人びとは出会い、そうして「物語」が始まる――。
橋にまつわる10の短篇


幼な馴染のお蝶が、仕事場に幸助を訪ねてきた。奉公に出るからもう会えないと、別れを告げるために。「五年経ったら、二人でまた会おう」年季の明けた今、幸助は萬年橋の袂でお蝶を待つが……。(「約束」)
様々な人間が日毎行き交う江戸の橋を舞台に演じられる、出会いと別れ。市井の男女の喜怒哀楽の表情を瑞々しい筆致に描いて、絶賛を浴びた傑作時代小説

目次

約束
小ぬか雨
思い違い
赤い夕日
小さな橋で
氷雨降る
殺すな
まぼろしの橋
吹く風は秋
川霧

解説 井上ひさし

 

--------

 

・約束★★★★★ 

 ベタだけどうるっとくる。
 5年と言う月日を約束が生きる糧を与えてくれた。
 距離感について考えらせられる。

 

・小ぬか雨

 「そんなこと言わないで逃げて。あたしも一緒に行く」
 そう言いたくもなる。うん。

 

・思い違い

 女の微笑み

 

・赤い夕日

 渡るのを禁じられた橋

---

 

過去のことは、橋のこちら側に置いて行け、

 

---

 

・小さな橋で

 行々子(よしきりと読) そういう鳥がいるそう。

 http://www.wbsj-saitama.org/yacho/koe/08.html

 

 

・氷雨降る

 何不自由ない隠居生活
 そんな恵まれた環境でも心の置き所がない。
 いつの間にか気づいたら家族間で大きな隔たりが出来てしまっていた。

 人はどう寄り添って生きてゆくのか。

 いつの時代も難しい。

---

 

――橋だな。
橋を渡れば家か、と思うと一瞬酒がさめるような気がした。

 

--- 

 

 橋の上に佇む女に声をかけたことから始まった。
 ある意味ピュアな老人の想い(今で言えばまだまだ現役ですが)

 

・殺すな

 駆け落ち後の行く末は・・
 男と女そりゃ色々ありますが、情熱はいつの日か冷めてしまう。
(この問題は肌身に感じて、心に染みた) 

 逃げるのは簡単

 不安な気持ちを抱えて過ごす日々

---

 

「川向うになんぞ、行っちゃいけねえ」

 

「あたしを縛っておこうったって、そうはいかないよ」

 

---

 別れてやり直すか そう何度も自問する。

 

・まぼろしの橋

 世間知らずのお嬢さま
 記憶の中のおとっつあんを探して。

---

 

「変な男にだまされたりしちゃいけないよ」
おこうの眼の奥に、まぼろしのように橋が浮かんでいた。だがそこを渡って行く男の背は見えなかった。橋だけだった。おこうの胸を寂寥の想いが通りすぎた。
「もう子供じゃないんだから、おとっつあんはいらないのよね」
おこうは信次郎の手を強く握りしめて言った。
「あたしは、あなたがいればいいんだわ」

 

---

 

・吹く風は秋

 

---

 

江戸の町の上にひろがっている夕焼けは、弥平が五本松にかかることには、いよいよ色あざやかになった。
南から北にかけて、高い空一面にうろこ雲が埋め、雲は赤々と焼けている。そして西空の、そこに日が沈んだあたりは、ほとんど金色にかがやいていた。その夕焼けを背に、凹凸を刻む町の屋根が、黒く浮かび上がっている。あちこちの窓から灯影が洩れているが、壮大な夕焼けの光の下では貧しげな色に見えた。小名木川の水が、空の光を映し、その川筋の方がはるかに明るく見える。

 

---

こういう描写がよき。
特に小名木川の近くに住んでいたこともあり、現在の風景から一気にお江戸の世界に想像が膨らむ。

 

器用貧乏と言うのか、情にほだされやすい江戸っ子「達者でな」

 

・川霧★★★★

 ラストと合って感無量 こちらも心に染みる物語

 

 

読ませました藤沢周平 男子目線もあるからか、ピュアな心(死語?)を持つのは男性ですな。
女性は計算高いところがある!?現実目線

 

この本を貸してくれた人はどんな思いで読んだのかしら。

 

真夜中の読書タイムでした。 


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