音楽とオーディオの備忘録

購入したレコード類やオーディオ機器の購入、調整&メンテナンスなどなど

お買い物日記(SME 3009S3)

2017-02-05 19:30:06 | オーディオ

3009S3用キャリングアームCA1の端子が不調で、ケーブル交換を含めてメンテナンスを依頼しようかと思い、ネットを検索したところ非常に手ごろな金額で状態の良い中古の3009S3本体が見つかった。

フルイドダンパーまわりのパーツはやはり一部欠品(完全に揃っている中古を見たことが無い)だが、オイルに浸すパーツは2個ほど残っていたので、適合するネジだけ買えばオイルダンプの効果を試せそう。

また、現在使用中の3009S3はV15VxMRつきで本体のみ購入したもので、フルイドダンパー周りのパーツはすべて欠品、3009S3Sの箱に入れてもらって持ち帰ってきたこともあり、純正箱とCA1&FD200を買うつもりで購入を決めた。

届いた箱を見ると、おお、かっこいいな(笑)。見慣れない治具はラテラルバランスセッティング用か。ウェイトは完品で、カートリッジとシェルの間につけるダンプ剤も使用した形跡は無い。

ただ、フルイドダンパーは使用していたようで、オイル溜めには使用の形跡があり、オイルに浸すパーツ1つと、そのパーツを止める純正の立派なネジが無い。ネジ(M2)は代用で何とかできるのだがそんな大事なものをどうして無くしたりするんだろう。(ここの純正ネジはそう簡単に手に入らないのですよ。M3なら代用化粧ネジがあるのだがM2はそうそう見つからない)

気を取り直して、まずはと、エアダスターと軽く水を含ませたメラミンスポンジ(激おち君)を使って本体を丁寧に慎重に清掃し(前のオーナーが喫煙しながら音楽を楽しんでいた事が良くわかる)、オイル溜めは濃いめの洗剤と綿棒で洗浄し、ぴかぴかの出来立て状態に戻った。

これまで使っていた3009S3と総取替し(もちろんグロメットは新品に交換)、まずはオイルを入れないで音を確認する。

フォノイコライザーはQUAD44で、カートリッジは今回初めて組み合わせる2mBLUE。音の立ち方、S/N感が素晴らしい。彫りの深さと切れの良さ、響きの美しさはアームとの相性も良いのだろう。カーゾンのピアノが美しい。家族も「きれいな音だね」。

ここでダンピングオイルを注入。純正品があんまりなので、AZ(エーゼット)の粘度100,000cStのシリコンオイルを使用した。このAZの商品は狭いところに注入しやすいようなパッケージなので実に使いやすい。FD200のマニュアルによると純正ダンピングオイルの粘度は200,000cStとのこと。今売られているFD2013も同じなのかな。

ちなみに純正リフターオイル(3423)の粘度はどの位なんだろうと調べてみたがわからなかった。値段があまりに違うので中身が同じものとは思えないが....

注入後しばらく放置しておいてオイルが馴染んだのち、リフターを上げ水平方向(レコードの内周方向)に手で動かしてみる。
急に動かすと制動がかかり、ゆっくり動かすと制動がかからない。程よくダンピングが効いているようだ。
オーディオクラフトのワンポイントアームやパイオニアのPL-70Lのアームをいじった時の独特の感触を思い出した。

さらにカートリッジを常用のV15type5に戻し音を聴いてみると....



おおお、そうか、3009S3はフルイドダンパーを使ってこその高性能機だったのか。音ひとつひとつが美しく磨かれ、一聴するとおとなしくなったような感じがするが、今まで元気の良さや音の隈取として聴こえていたのが、実は音の際(きわ)の「余計な毛羽立ちによる刺激感」だったという事にすぐに気づく。
 
これを「音が死んだ」と見るか、「美しくなった」と見るかは人によってソースによって違うのだろうが私にとっては明かな「グレードアップ」である。
 
キャンつき気味に聴こえた盤や荒れた音が出ていた盤が、随分と聴き易くなった。
レコードやカートリッジのそばでオイルを扱う事に抵抗があって、今までフルイドダンパーを使おうとは思っていなかったが反省することしきりである。
次はダンピングオイルの粘度による音の違いを確認してみよう。カートリッジのコンプライアンスによって最適なオイル粘度があるはず。AZのオイルは簡単に手に入るし、粘度もいろいろあって試しやすいのでさっそく発注しよう。

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お買い物日記(TT-71(QL-7)メンテナンス(備忘その2))

2016-08-28 14:49:48 | オーディオ

久しぶりの更新。
今回はビクターQL-7のジャンク品を見つけたのでその報告を。やはり、行きつけのオーディオ店には日ごろからきちんと欲しいものの話をしておき、お願いをしておくものだ。


とにかく外観は綺麗、最初は正常に回転するが、時間が経過すると回転が揺らいでくるという、よくある症状とのことで、それならば自分も修理の経験があるので治せそうだ...との判断から購入を決め、さっさと持って帰ってきた。Victorのロゴも新しく、これはすでに修理&オーバーホール経験のあるTT-71と同じバージョンと想定できたことも購入決定の判断材料である。TT-71には新旧のバージョンがあって、古いものだとモジュールを使用しているので修理に難儀する可能性があるから...。

(TTシリーズのフォノモーターを買うときはVictorロゴのチェックは必須。ゴシックの太字ロゴの方が同じ機種でも製造年度が新しい。あえて写真を不鮮明にしてこのロゴを見にくくしている悪質なオークション出品者もいるから要注意....とはよくお邪魔するオーディオ店のご常連さんからの情報)

QL-7(TT-71)ばかり集めてどうするんだとのひとり突っ込みをよそに、修理とメンテナンスを始める。
(青春のフォノモーターだし...。予備で一台持っていてもバチはあたらないだろう。たぶん)

回転の揺らぎは4つの半固定VRを手持ちパーツで交換、もう一台のTT-71のメンテナンス時に購入したオシロスコープを使って調整しあっさり修理完了。何時間回しても変な揺らぎは起こらない。

前回TT-71をメンテナンスした際にはネオンランプが劣化していて、あれやこれや画策するも、同じネオン管が手に入らず光の色合いが少々黄色の強い感じになってしまったが、今回購入したTT-71は何もせずともしっかりと赤々と点灯、とても引き締まって見える。

これで手を入れるのを終了とも思ったが、年数の経過している製品なので、どうせなら前回と同様にしっかりとオーバーホールしてやろうと思い、在庫部品を確認し足りない部品を調達した。

で、最終的に交換した部品は以下の通り。

・すべてのトランジスタ、FET、オペアンプ
以前は手に入らなかった2SC1573や2SD313が手に入るようになって嬉しい。
(情報ありがとうございました!ブログやっててよかったなあ)
2SC945⇒2SC1815(GR)
2SA733⇒2SA1015(GR)
2SK34
2SD571L
2SC1573
2SD313V⇒2SD313E
4558DD

・すべての電解コンデンサ
容量耐圧は割愛。今は同じ耐圧でもサイズが随分小さくなったので、手持ち品がうまく利活用できた。容量さえ合っていれば、耐圧が高いもので代用しても何も問題はないのだが、この時代のものと比較して現在の電解コンデンサは同じ容量耐圧3倍で同じ大きさなので、技術の進歩は凄いな。(40年近く前の製品だしなあ)

念のため外した電解コンデンサすべてを容量計で調べてみたが、容量の点で劣化しているものは無かった。

・半固定VR
抵抗値は割愛。22kΩの同型の半固定VRがネットで見つけられなかったので代わりに手持ちの30kΩを利用。ほんの少しだけ調整がクリティカルになるが何ら問題はない。

・ヒューズクリップ⇒ヒューズホルダー(MF550C)
これは危険だった。なぜかと言うとこのQL-7(TT-71)、修理歴があった(半田面でわかった)のだが、オーバーホール後の最終確認時に、よくよくヒューズクリップをみるとヒューズの金属部分を挟んでいる部分に隙間があり、あれ?と触ったとたんにクリップがぽろりと折れてしまった。それまでの動作確認の際によく接触していたものだ。(冷汗。そう言えば修理や点検の際には電源からというありがたい教えがあったのを思い出した....)

おそらくはこれを最初に修理した方が、修理のためヒューズを外すときに、無理に負荷をかけクリップ部の根元を痛めてしまったのだろう。

これはいかんと、同じ形状のクリップをネットで探したが、手配に時間がかかるのが嫌だったので近所のパーツ屋に売っている基板用ヒューズホルダーと交換することとした。基板にふたつ穴をあける必要があるが、現物合わせでリードピンの位置を確認し、基板用電動ドリルできゅんきゅんと1.5mmの穴をあけしっかり半田付けしあっという間に作業完了。もちろんヒューズそのものも新しいものに交換した。

カバーのついたヒューズホルダーはかっこいい。




で、無事オーバーホール完了。SC3043やμPC1009Cは入手が極めて極めて極めて困難なのでくれぐれも壊れないで欲しいもの。9504kHzの水晶も同様。(水晶は特注で何とかなるけれど)

たまには回してあげながら長持ちさせるつもり。次はTT-81か101が欲しいな。(どちらも71と比較してとても高い.....)

 

ところで.... 

製品名+回路図で検索されてこのブログにご訪問くださる方もいらっしゃるようなので私がよく利用する海外サイト

(日本語OK)をご紹介しておきます。

https://www.servicemanuals.net/

メーカー名はJVC、機種はQL7で検索するとTT71の回路図を含めたサービスマニュアル(英語)を入手できます。
(有料。クレジットカード要。) 
DP80のサービスマニュアルもここで入手しました。なんとも良い時代ですね.....

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お買い物日記(ライブ&アナログレコード)

2016-05-01 12:39:39 | 音楽

本当に久しぶりにライブに行ってきた。

クラシカル・シンフォニックロックの孤高、英国のバンド、THE ENIDである。





このバンドに出会ってからもう随分と経ってしまった。

初めて買ったのがライブアットハマースミス1979の2枚、当時はオリジナルのファーストとセカンドアルバムは
貴重で中々入手できなかったので、それらのライブアルバムをなけなしの小遣いをはたいてすぐに購入し聴いた。

その時のすさまじい音楽体験は、初めてブルックナーやマーラーの交響曲を聴いて以来のものだった。
若かったから感性も研ぎ澄まされていたのだろう。
音の咆哮に魂を宇宙の彼方に持っていかれる感じとでもいうのか、自分自身が音の粒子になって一体化
したまま、あらゆる一切すべてのものに同化される感じというか、とにかくすごい体験をしてしまった。

その後の人生の折々で、クラシックの数々の名曲と共にこのバンドの曲を聴いてきたように思う。

会場で新譜も含め懐かしい曲を聴きながら、様々な思いや記憶(甘酸っぱいものも...)が去来して、
とめどなく流れる涙を抑えることはできなかった。
アンコールが終わり、「ありがと~」と叫んでいた女性の方、私も全く同じ気持ちです。

でお買い物。



夢魔はフランス盤だが有名な初回プレスの「キメ1回でふぁん無し」ではないので安かった。さすがに国内初期
再発盤の、「いかにも盤起こしのひずんだ感じやノイズ感」はなく音質的に問題はない。
こうして改めて聴くと、「キメ2回でふぁん有り」の方が自然で、初回プレスの方こそ単なる編集ミスの事故盤のような
気すらしてしまう。(だから高い....のかな?)カットは簡単、追加は編集が面倒だからという単純な理由で。
バンドとして実際のところはどちらが望んだ方なのかよくはわからないが....

ポーレンもモールスコードも有名な盤だが今はこんな値段で買えるのか。
カイパはマーキーで初めて紹介された当時知り合いのつてで安く手に入れていたが、なぜか今手元になく
買いなおしたもの。そこそこのプレミアがついていたが、十分許容範囲なので購入してきた。

エニドものはライブ会場で購入。最近のアルバムも素晴らしい。Tシャツはお約束である。

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お買い物日記(N55E、奏-KANADE-)

2016-03-13 22:35:56 | オーディオ

M44Gは現状2個所有していて、ひとつは現行品、ひとつはいわゆるカモメマークのもの。現行品にはユニオンの赤針(N44GCR)を装着、カモメにはN44GPHを取り付け、相性の良い3009S2impでご機嫌に聴いていたが、気に入っていたN44GPHが生産中止、購入から5年も経てば(100時間超は聴いたかな)さすがに劣化も進むので交換針を買うこととした。せっかくなので互換のある楕円針のN55Eを試すことにし、あわせてレコードクリーナー「奏-KANADE-」をJICOに注文した。

で、無事届く。

N55EはM44G本体にぴたり、見た目にも全く違和感がない。見た目が明るくなったがこれは愛嬌。JICOの推奨針圧が0.75g-2.0gなので、とりあえず1.8gに設定して聴いてみた。iPhonoの負荷容量設定はそのまま300pFでいじらない(当たり前か)。


わあ、いいなあ。

トレースは全く問題なし。「元気の良さとメタリックな粗さ」は「音楽の活きの良さ」に変わり、M44Gの音楽再生の懐が深くなったよう。クラシックもJAZZもロックもOK、低めの音量でのんびり静かに聴いていると、これ以上何が必要だろうかとすら思ってしまう。JAZZやロック、ボーカルものは生気があって乗りが良く、オーケストラではスピーカーとスピーカーの間に各パートの音塊がぽっかりしなやかに実体感をもって浮かぶ。

もちろん、外盤A級ものや録音が極度に良い盤を、目のやり場に困るようなぎょっとするようなリアルさで聴こうと思えば全く物足りないが、これはこれで良いではないか...と納得してしまう音。オリジナルのN55Eならもっと良いのかなとも思うが今となっては....である。

M44Gの針にはN55E(オリジナル)が一番相性が良いとネットで見かけたことがあるが、互換でこのくらい良ければ確かに....と納得。これは良い買い物ができた。これからM44Gの出番が増えそうだ。
(そういえば最近3009S2impにとりつけるカートリッジはM91EDとかM44Gばかりで、V15タイプ3は完全に休眠してしまった)


「奏-KANADE-」はJICOのサイトで読める「なんダイヤ!?」のバックナンバーの短い記事を読み、購入を決めた。新しい商品を企画し、販売までこぎつけるには、並々ならぬエネルギーが必要で、この若手の社員さんは、おそらく相当に苦労されたのではないだろうか。この記事には上司や同僚の厳しくも暖かい眼差しと、本人の苦労が文字の隙間に見え隠れしている。これは購入への大きなモチベーションとなった。

檜で作られている入れ物の意匠はここまでやるかというような手の込んだもので(檜の香りがとてもいい)クリーナー本体は手へのなじみ感(革の手触りと暖かみ)がとても良く、もちろんクリーナーとしての性能も抜群で、クリーニング中に発生する静電気も少ない。鹿革シートと組み合わせて使用するともう元にはもどれない。もっと早く買うべきだったなあ。限定品なので在庫があってよかった。

とても良い品なのでレコードファンにはお勧めです。

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お買い物日記(N91ED)

2016-03-06 00:22:21 | オーディオ

久しぶりにオーディオ屋めぐりをしていたら、こんなものを見つけた。


SHUREのN91EDで、もちろんオリジナル針。
前のオーナーはほとんど使っていなかったとのことだが、さすがに古いものなのでジャンク扱いという事で買ってきた。
確かにムクの針先はぴかぴかだがダンパーは大丈夫だろうか。

クリーニングブラシで確認すると、V15タイプ4のオリジナル針のような経年でのダンパー固化はしていないようだ。
ほっとしてセッティングを開始、すでに3009S2impにはJICO針付きのM91EDがセットされていたのでそのまま針だけ
差し替え、針圧は1.25gに設定し聴いてみた。

うむむ、何を聴いてもオリジナル針は音のリアルさが1枚上手。もはやこのような劣化の少ないオリジナル針の個体は
非常に少ないと思うので大事に使い倒したい。

もちろん、使用に耐えなくなったら迷うことなくJICO針に戻す予定。

M97xEの出る幕がますます無くなってきた......






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