音楽とオーディオの備忘録

購入したレコード類やオーディオ機器の購入、調整&メンテナンスなどなど

DP-3000&TT-71メンテナンス(備忘)

2013-09-15 01:01:44 | オーディオ

現在使用しているDP-3000はオーバーホール済み(モールドタイプのトランジスタのみ交換済み)ということで購入しているが、一度故障修理している。その後全く問題なく使用できているが急にオーバーホールしたくなった。

で、今回のオーバーホールの基本方針。

1.前回のオーバーホールで取り替えていない電解コンデンサーをすべて交換する。
2.前回のオーバーホールで取り替えていない半固定VRを交換する。
3.前回のオーバーホールで取り替えていないリレーを交換する。
4.前回のオーバーホールで取り替えていないスパークキラーを交換する。
5.半田修正を行う。

電解コンデンサーは、出回っている回路図と実装が異なるので実装に合わせて交換する。余り意味は無いがせっかくなのでオーディオ用のMUSEに交換する。一部手持ちのBPタイプも使用。念のため外した電解コンデンサーを調べてみたところ容量抜けはなかった。

半固定VRは、これまた出回っている回路図では33回転調整も45回転調整も10kΩだが、実装は45回転が20kΩなので、出回っている回路図だけで部品を集めると泣きを見るので注意が必要。

実は同じメーカー同じデザイン(横調整、リードの配置)の10kΩと20kΩの半固定抵抗器を探すのは結構難しい。例えば、あるメーカーでは10kΩの上が47kΩとか。回路図を見れば別に47kΩでも50kΩでも100kΩでも良いのだが、その後の調整や万が一を考えると、現用と同じ定数のものを使いたかった。そのため今回はメーカー違いで交換。見た目でこぼこになってしまったが、もちろん動作上は何ら問題無いし普段見えないのでよしとする。
取り換える際にはもちろん、もとの部品を取り外した後、その部品に設定されていた抵抗値を測定しておき、新品の半固定抵抗をその値に合わせてから取り付ける。TT-71を修理してくれたおやじさんから教わったちょっとしたノウハウ。

リレーはオムロンのG5LE-1(24VDC)が互換品。リード線の配置は全く同じだが、旧品よりリード線自体に幅があるため、穴の場所は同じでも径が狭くそのままでは穴に入らず取り付ける事が出来ない。手持ちの小型電動ドリルで、穴径を広げ無事交換作業完了。基板をいじるのは怖いがこの位は自分で対処できないと、このあたりのビンテージ機種とは付き合えないので勇気を出しての作業。
やはり新しいリレーはいい。これまでは「ガチャッ」といった音で回りだしていたのだが、「カチッ」という小気味よい音で回りだすようになってとても気持ちがいい。

スパークキラーは、リード線の間隔に注意。ものによっては広すぎて取り付ける事が出来ない。近所のパーツ屋にも同じサイズのものがなく、QUAD44をメンテナンスするときに買っておいたビニル被覆線の出ているタイプ(リード線の間隔が同じもの)のものを利用。

半田修正は丹念に。さすがに30年以上も前の製品なので半田修正は必須。力のかかるところ、熱が出るところ、高圧のところは特に丹念に。

で、無事終了。

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とにかくリレーの音が小気味よい。今までの産業機械のような音からちゃんとオーディオ機器の操作音になった(笑)。これであと20年は快適に動いて欲しいものだ。

Dsc_1024

ところで、このDP-3000は一度修理の実績があると前述したが、その修理について記録に残しておく。

DP-3000の故障というと、2SC458などのトランジスタの劣化(足の腐食)がほとんどのようだが、このDP-3000は、2つしか使っていないメタルキャンタイプのトランジスタのうちのひとつ2SD259の不良という珍しい故障に見舞われた。

症状はというと回転しない(笑)。回転しない以外は全く正常。ランプもちゃんと点灯するし、リレーも働く。だがガンとして回らない。しかし、なんの拍子か突然復活し、しばらくは普通に使えてて再び突然症状が出るという困った故障。

2SD259(&2SD256)の代替品はサンケンによると2SC3851だが、これを修理してくれたエンジニアさんは2SC3856と交換していた。メタルキャンタイプの2SD259と形状が異なるのでかなり無理して取り付けていたが、これでも立派な修理である。修理した方の「意地」を見たような気がしてこういう修理はアリと思う。

Dsc_1018

もうひとつのメタルキャンタイプのトランジスタで、安定化電源に使用している2SD256も劣化が心配だが、これもいつかは交換しておきたい。2SC3851か、もしかするとTT-71のメンテで確保しておいた2SD2012(2SD313Vの代わり)も使えるかもしれないのでデータシートを良く見ておこう。

-----9月18日追記-----
2SC3851(3851A)、2SD256/259のデータシートとDP-3000の回路をよく見比べて検討してみた。サンケンでは2SD256/259の代替として2SC3851(3851A)を指定しているが、2SD259の代替として2SC3851(3851A)をこの回路にあてがうのは定格的に厳しそうに見える。

そこで、2SC3856のデータシートを見ると...ああ、なるほど。今回の場合は2SD259の代替として、2SC3856を選んで修理したエンジニアさん(CTNの方?)が正解。ただ、2SD256の代替としては2SC3851(3851A)や2SD2012は十分使えそうなのでこの2種類の石は念のため確保しておこう。(2SD256が壊れないことを祈るばかりだが)
他のトランジスタ(2SC1815GRなど)やICのTA-7061BP、リレーのG5LE-1(24VDC)も余分に確保済みなので、これでモーター本体やトランスがブッ飛ばない限りは動き続けてくれそう。メンテナンスを続けながら長く使って行きたいものだ。

2SD259⇒2SC3856
2SD256⇒2SC3856、2SC3851(2SD2012)
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さて、ここまでやっていてどうしてもTT-71のネオン管のちらつきが気になってきた。ターンテーブルの停止状態で、ネオン管が明るくなったり暗くなったり時間をかけて良く眺めて見ると結構激しい。周辺回路の電圧はOK、トランジスタも交換したのでおそらくはこのネオン管の劣化。このネオン管がつながっている回路は、TT-71の回路の中でも特に高圧な部分だ。このまま使い続けて、万が一このネオン管の劣化のあげく、ショートして他の回路に悪さをしたら...と不安になった。

とは言え、現在はこのネオン管は手に入らなさそう。そこで、代替策の検討のためにネオン管の代替回路と、買っておいたネオン管(NE-2H(4.8/11)?)と、TT-71に使われているもともとのネオン管と明るさを真面目に比較してみることにした。

左から、TT-71のネオン管、今回入手できたネオン管、高輝度LEDを使用したネオン管との代替回路(100VでLEDを点灯させるよくある回路)。

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結論から言うと、やはりNE-2H(4.8/11)では明るさ不足(前回のブログのとおり)。高輝度LEDではオリジナルのネオン管なみの明るさは確保できるものの、この基板をTT-71のシャーシ内に収めるのに一苦労しそう。ということで安直にネオン管だけの交換に決定。多少暗くてもいいやということで、さっさと交換する。

Dsc_1025

セッティングして眺めて見ると確かに暗い。実用上問題は無いので、これ以上手を加える事はしばらくやめとして、レコードを心ゆくまで楽しもう。オリジナルと同じ明るさが確保できるネオン管が手に入るまでは...

<追記>
ついにこのネオン管を作っている会社を見つけたが個人相手に売ってくれるだろうか。まとめて100個とか注文しないとダメなのかなあ。ダメもとで問い合わせしてみようかな。

-------------9月21日追記--------------
TT-71のネオン管と同等のものを作っている会社にダメもとで問い合わせしてみた。大変丁寧な(おことわりの)返事を頂いた。残念ながら相当数のまとまったロットが必要とのこと。想定通りなのでまずは了承&納得せざるを得ない。我が家は電車ですぐに秋葉原に行けるというロケーションでは無いので、もはや道なし。

一途の期待をかけ、ネットで丹念に調べてみたところとあるパーツ通販の会社で似たようなネオンランプを見つけた。おそらくはそのサイトで普通に検索したのではわかりにくいはず。お宝を掘り当てたような気分だが、パーツのデータを見ても写真をみてもガラス管の直径以外のサイズがよくわからない。直径自体はTT-71から取り外したものと同じ(今使っているものよりは明らかに大きく明るそうだ)なので、もうカケである。さっさと注文してしまった。上手くいけばまた備忘としてブログに残すようにする予定。これで助かる方がいれば幸い。

2SC3851Aや2SC3856をまとまった数で欲しくなって探してみたが有名通販業者では何故かなかなかこれらの石がヒットしない。サンケンのサイトでは生産中とあるのに見つからないのはおそらくは国内での流通のコントロールをしているのだろうと勝手に判断。その邪推を裏付けるように、他の国内の販社をあたって見つかったとしてもBtoBばかりで「○万円以上じゃないと取引しない」とかサイトの作りが「あからさまに個人との少額取引を拒否」しているような会社ばかりでどうしようかと思っていた。(これは仕方ないのです)

しかしこれらの石はDigikeyでは購入可能。とは言え、国産の石をわざわざ高い送料をかけて海外から買うのかと思うと何故かとても馬鹿らしい。これまた根性で調べていたところ、やっと一般向けに販売している「店」を見つけたので早速注文し2SC3856だけは何とか確保できた。まあいいや、2SD256が壊れたら、2SC3856か2SD2012で対処しよう。

DP-3000のメンテナンスにはさらに鬼門があって回路図で10DC2と記載されているツインダイオードが入手困難のようだ。多くの個体で、すでにリードが腐食して真っ黒なはずだが検索して出てくるほとんどの修理例では(修理専門業者ですら)無視されている。

うちのDP-3000でも確かに真っ黒だがちょっと磨けばすぐに綺麗な金属リード部が出てくるし、2SC458のような細いリード線ではなく、相当に太いリードなので、全部が腐食しトラブルを起こすことは今のところ考えにくい。なので他の例に従いそのままにしておこうかと思ったが、偶然にとある通販店で同等品を見つけたので注文してみた。

上手くいけばまた備忘としてブログに残すようにする予定。これで助かる方がいれば幸い。まあ、最悪は整流用ダイオード(200~400V、2~5A程度)を組み合わせれば全く同じことなのだが、できれば同等のパーツで交換できたほうが気分が良いのでちょっと頑張ってみるつもり。

コメント
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