音楽とオーディオの備忘録

購入したレコード類やオーディオ機器の購入、調整&メンテナンスなどなど

お買い物日記(EMPIRE 4000D3)

2012-01-28 00:11:26 | オーディオ

何と今手にしているのはEMPIREの4000D3である。

Dscn3022

いや~このデザイン、なんて懐かしいんだろう。先日のブログで4000D2を過去に持っていたことを書いたが、こんなに早く再び手にすることができるとは思わなかった。

4000D2をもっていた当時は、あまりの精彩の無い音にがっかりしたものだが、それは当時のアンプのフォノイコがダメダメだっただけ。今手にしているのは最上位機種のD3だという違いはあるものの、このカートリッジ、フォノイコさえ良ければいくらでも化けるカートリッジと信じたい。まあ、確かに発売当時(1970年代)は定価が58,000円。(今の貨幣価値に換算したら幾らになるのだろう。)アナログ全盛期にそれだけの価値だったのだから、相当よい音が出るカートリッジなはず。....と期待を込めていろいろ聴き始めてみた。
負荷インピーダンスが100kΩとの情報なので、切り替えができるようにプリは押入れからアキュフェーズのC-200X(改)を引っ張り出してきて試聴。設定は82kΩ。

おお、この滑らかさと艶やかさと抜けの良さ...た、たまらん。ケイト・ブッシュってこんなに艶めかしかったっけ。外盤A級ものは苦手か?原音に忠実かというと決してそうではないようで、多少の演出感はあるものの、それがよい味を付加して、より原音らしく聴かせるのが憎い。とにかくこの滑らかさは異常。そして余韻の美しさ、やはり値段だけあると思う。

気を良くして、現用プリにも戻しさらに試聴を進める。負荷インピーダンスは47kΩ固定でミスマッチングだが、まあ、多少のF特の出っ張り引っ込みがあってもDEQ2496でどうにでもなるので気にせず聴いてみた。

ほんの少し、注意して聴かなければわからない程度だが最高域の出方が変わったかな?しかし、レンジ感はそう変わらない。滑らかさや抜けは相変わらず良好。新しいプリなだけにさらに音に磨きがかかり、しかも音数は多い。とがった感じは全く無くとても滑らかなのに音がポンポン飛んでくる。やはりいいなこのカートリッジ。外盤A級ものは確かに少し苦手のようだが、古めのクラシックの録音や女性ボーカルが得意なようだ。柔らかい、滑らかな、つややかな、しっとり感、音抜け....が、うちで聴くこのカートリッジのキーワードかなあ。弦の音や女性ボーカルがメロウなのに切れがあって、音の産毛がふわふわと耳をくすぐる。とても麻薬的な音だ。負荷インピーダンス的にはミスマッチングだが、十分聴ける音が楽しめることは確か。負荷にはあまり神経質にならなくても良いのかも知れない。(とはいえ、うちの環境だからということはあるかも)

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ところで。

C-200Xは負荷インピーダンスが47kΩ~150kΩの範囲で切り替えられる。聴きながら、負荷を変えていくとなかなか面白い。SHUREの一連のカートリッジの負荷指定は47kΩだが、負荷を上げていくと面白いように音が変わる。特に高域がシャリシャリになってバランスが悪くなってくるので、とてもわかりやすい。ところがこの4000D3、推奨負荷インピーダンスが100kΩなので、47kΩで受けると余程おかしく聴こえそうな気がするが、実はうちでは「大騒ぎするほど」変にはならない。特に問題なく普通によい音で聴こえる。とすると、よく聞く「精彩がない」とか「もこもこ」の原因は何かということになる。

おそらくは、単にフォノイコライザの負荷抵抗値だけの問題ではなく、他の機材(シェル、シェルリード線、アーム、アーム内配線ケーブル、アームケーブルなどフォノイコライザまでの装置)の影響も無視できないということだろう。ミスマッチングなのだから、負荷抵抗までの系で電気的に厳密に測定すれば明らかに差は出るだろうが、聴感上、機材の影響によってフラット方向になるか、癖が目立つ方向になるか人それぞれシステムによって千差万別なのだろう。

実はこの辺の話、V15タイプ3にも言えるそうで、タイプ3は負荷「容量」による音への影響がとても大きいらしい。JAZZ向きというのは実はこのミスマッチングによるF特のうねりが「たまたまJAZZには良い味付け」になっていたということであって、きちんと容量マッチングをとるととてつもなくフラットでクラシックもOKとなるのだそうだ。うーんあまり気にしたことがなかったな。うちではクラシックが何も問題なく素晴しく鳴るので、相性がいいのかな。

そういう意味では、いい思いをしたのはV15type3で、割りを食ったのが4000D3のような気がする。多くのリスニング環境でのミスマッチングの影響が、偶然にも「JAZZ向きの味付け」となってしまって人気となったtype3、偶然にも「精彩がない」「もこもこ」となってしまって今一つ人気が出ない4000D3というところなんだろう.....。環境さえ整えてあげれば4000D3はこんなに良い音で鳴るのにもったいない話だよなあ。

 

先日の2mBLUEといい、今日の4000D3といい、素晴らしいカートリッジが増えてオーディオが、音楽を聴くのがとても楽しくなってきた。今日も夜が長い...

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お買い物日記(ortofon 2m BLUE)

2012-01-07 19:31:53 | オーディオ

昨晩は義姉夫婦が帰省してきたので宴会となった。明けて今日は駅まで送迎のため街中へ行ったついでに某家電量販店にて、カートリッジを購入してきた。

購入したのはortofonの2mBLUE。REDはすでに持っていてそのコストパフォーマンスの高さに満足していたものの、やはりグレード的に常用機とはならず、検盤検聴ごみ取り(笑)用となっていた。(シェルは一番高いもの(LH-6000)を使っているが....)
ヨーロッパのオーディオ誌で絶賛された(ortofon談)というBLUEの音を聴いてみたかったので試聴はわくわく。

まずは、REDから針だけ外し、BLUEの針を取り付けて聴いてみた。針先だけで音が全然違うのはV15type3で散々わかっていたつもりだったが、無垢針と接合針でこんなに違うものなのか。へえ、もうこれは唸るしかない。楽器と楽器の間の分離は良く、ボーカルはリアル、明らかにBLUEの針の方が音数が多く、ホールは広く、色彩豊かだ。余程の盤を余程シビアに聴くのでない限りこれでも十分だと思えるほど。

気を良くして、ボディーもBLUEに交換する。針交換ほどの衝撃的な音の差はないが、空間表現には素人でもわかる差があって音のグレードは高くなるような気がする。ボディーの基本部分は共用なのだろうけれどもどこがどう違うのだろう。実はボディーが完全に共用で、単なるプラシーボかもしれないけれど...。

Dscn3021

カメルーンのオペラからピンク・フロイド、フルトヴェングラーまで聴いてみたが、正直、V15に代わるカートリッジがついに見つかったといった印象。決められた枠内でクールに気まじめにしっかり仕事をしている(鳴っている)感じのV15とは性格が明らかに違って、あっけらかんと開放的でMCの様に高域が伸び、一音一音が明確で切れ込みがよく現代的に若々しさを狙った音づくりと思う。V15からこれに変えると、タガが外れたように、ぱっと見通しが良くなり、すっきりクリアになり油気は少なくなる印象。なのでSHUREのカートリッジで調整されているシステムにこれを導入すると恐らくはその突き抜け感に違和感を感じるのではないだろうか。評価が分かれると伺っていたがそんなところも理由としてあるのかもしれない。その昔、CDが出たばかりの頃、アナログで徹底的に調整されたシステムにハイエンドのCDプレーヤーを導入、期待して鳴らしたがクリアで音がひとつひとつ聴こえ過ぎ、違和感でとても聴いていられなかったと言う話を伺ったことがあったがそれに近いか。とはいえ無機的無個性な感じや荒さは微塵も無いが、似たような音の記憶を辿ると、SAECのC-3を思い出す。(オーディオテクニカのAT-150E/Gの明快さとはまた違う....)同じ盤を聴いているのに、へぇと何度もハッとさせられる。

シリーズ構成上、価格的にも位置的にも音質的にもBLUEはとても戦略的ではないだろうか。REDも良いカートリッジだと思うが、BLUEとREDとの差がありすぎるので、REDを聴いただけで2mシリーズを判断するのは大きな間違いと思う。とは言え、BLUEを導入してこれに心底惚れこみ、徹底的にシステムを再調整する人も少ないだろうなあ。外盤A級系レコードを鳴らすには情報量と切れ込みでコストパフォーマンスの大変高いカートリッジだと思うが何だか残念。(長岡鉄男さんがご存命だったら褒めそうな気もする)

もしMMカートリッジを1個だけ買うなら何が良いかという質問を受けたら、今ならV15ではなく2mシリーズと答えたい。もちろんシェルはLH-6000で決まり。現行品であるというアドバンテージは大きい。SHUREに現行でM97xEがあるじゃないかと言われそうだが、M97xEはV15VxMRの針を使用しても、JICOの最高級SAS針を使用してもやはりV15より格下で我が家のシステムでは2mBLUEの圧勝だった。

いやーこれから何を常用しようかな。本当に迷う.....

2023.8.15追記
シェルを交換しようとした際に、リード線を抜こうとしたら、ピンごと抜けてしまった。いや、抜いてしまったと言う方が正しい。今のシステムで実力がどうなのか、改めて検証しようと思っていた中で壊してしまいとても残念。10年もうちにあったのだから、もう縁が無くなったと言うことでお別れしました。中古で見つけたらまた買うかも(笑)
コメント (2)
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