constructive monologue

エゴイストの言説遊戯

要塞都市へようこそ

2005年03月10日 | knihovna
エドワード・J・ブレークリー, メーリー・ゲイル・スナイダー『ゲーテッド・コミュニティ――米国の要塞都市』(集文社, 2004年)

偶然アマゾンの検索で引っ掛かった。マイク・デイヴィス『要塞都市LA』(青土社)、酒井隆史や渋谷望の議論などに触発されて、都市空間の再編やセキュリティ強化との関連に多少の興味があったのだが、建築関係中心の出版社から刊行されていて、本屋に並んでいたとしてもおそらく建築関係の書棚だろうから、今までその存在を知らずにいたようだ。早速、図書館に入っているかチェックしたが、所蔵しておらず。週末あたりジュンク堂か丸善に出向いて確認することになるだろう。

ちょうど2年前の今ごろ放映された「NHKスペシャル:地球市場・富の攻防」でも、「要塞町の人々」と題して、この話題を取り上げていたことを思い出した。番組自体の主眼は、セキュリティではなかったが、セキュリティ感の変質をもたらす階層/階級による空間の分節化を伴うネオリベラル市場経済の一端を垣間見せてくれるものだった。

物理的な障壁を作らないまでも、メンタル面で、とりわけセキュリティの欠如/セキュリティへの執着に象徴される「過防備都市」(五十嵐太郎の言葉)的状況がここ最近の日本でも感じられるところ。「よき垣根はよき隣人を作る good fences make good neighbors」というロバート・フロストの詩の一節が牧歌的に響く時代が現在といえるかもしれない。
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