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boban のんびり 株投資日記

備忘録です。ディトレードなどの短期勝負ではないので、日々の変化はあまりありません。

ガンドラック氏、米長期金利「21年までに6%」

2018-11-29 | 2018
2018/11/28 20:00

米国市場で「新債券王」と呼ばれる著名投資家のジェフリー・ガンドラック氏は日本経済新聞のインタビューに応じ、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを進める中で財政悪化が続く状況について「非常に危険」と警鐘を鳴らした。現在3%台で推移する米長期金利は「2021年までに6%に達する」と予想した。

「中間選挙の結果、財政赤字の拡大がより早く進むだろう」

米中間選挙の結果、上下院で過半数を握る政党が異なる「ねじれ」が生じた。市場では新しい法案は通りにくく、政策は停滞するとの見方が多い。一方、ガンドラック氏は「下院の民主党がトランプ氏の選挙公約である中間層向けの10%減税に賛成し導入される」とみる。民主党は従来の税制改革では富裕層や企業に恩恵が偏っていると主張していたからだ。

中間層向けの減税実現に向けた財源確保は難しい。下院の民主党は現行の減税策見直しを提案しそうだが、トランプ大統領や共和党が反対するのは確実だ。結局、財政赤字の拡大を容認する形で中間層向け減税が導入されるというのが同氏の見立てだ。

「FRBが利上げを進める中で政府債務が膨らみ続ける状況は非常に危険。5年以内に問題になりうる」

ガンドラック氏はトランプ政権と共和党が景気サイクル後期にもかかわらず、減税策や財政支出の拡大を進めていることに批判的だ。今後、政府の利払い負担が急速に増えかねないからだ。将来、景気後退期に入っても財政上の制約で十分な対策を打てなくなる可能性も出てくる。

同氏によれば今後5年間で総額約7兆ドルの米国債が償還を迎える。一方、FRBは金融政策正常化の一環で利上げを進め、米国債の再投資は減らしていく。米国債の保有シェア最大の海外勢も為替ヘッジのコスト上昇で購入を減らしている。国内投資家がその穴を埋めるには、インフレ率を上回る魅力的な利回りが必要だ。従来は年2%程度の利払いで済んでいたが、ガンドラック氏は今後は3~4%に上昇するとみる。

「16年に『21年に長期金利は6%に到達する』と予想した。今もその方向に向かっている」

ガンドラック氏は16年夏、市場関係者の中でいち早く長期金利の底入れを主張し、予想通りの展開となった。18年10月に10年債利回りは約7年ぶりに3.2%台に上昇した。足元は3.0%台まで低下したが、同氏はまだピークは打っていないとみる。金利の上昇予想を曲げない裏には、米国の財政悪化が止まらないとの見立てがある。

同氏は保守的な運用に徹しており、債券の償還までの平均回収期間(デュレーション)を短くして、金利の上昇(債券価格は下落)リスクに備える。特に社債の保有は少なめだ。今後、米経済が景気後退期に入れば格下げが相次ぎ、価格下落のリスクがあるという。

「もし20年までに景気後退に陥れば、トランプ氏は次期大統領選に出馬しないだろう」

トランプ大統領はすでに2期目に意欲をみせている。ただ景気後退で株価が下落すれば、選挙戦で自身の経済政策を成果として誇れなくなる。最終的に「経済失速」の責任をFRBに転嫁し、次の大統領選からは撤退する――。ガンドラック氏はトランプ氏の性格を踏まえてこう予想する。

同氏が次の大統領選の争点になるとみているのは、所得格差問題と社会保障政策だ。景気後退に陥れば、国民皆保険などセーフティーネット(安全網)の拡充を主張する民主党の急進左派の勢いが増し、次の大統領がこの一派から誕生すると予想する。新政権の政策は財政拡張的になるだろう。ガンドラック氏はそこまで読んだうえで、今後の金利上昇シナリオを描いている。(ニューヨーク=宮本岳則)