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野口悠紀雄の「超」経済脳で考える

2008-01-28 06:37:17 | BOOKS
野口悠紀雄 野口悠紀雄の「超」経済脳で考える 東洋経済新報社 2007.11.08.

人々が信じて疑わない『通説』で常識になっている考えが、実は間違いというものが、いまの日本には非常に多い。 
日本の食料供給自給率は大変低く、カロリーベースで見ると2002年で40%だ。 しかし、自給率はむしろ低いほうが望ましい。コストの問題である。日本の国土は大規模農業を行なうには狭い。国内生産は割高で、輸入のほうが価格は安く、食料を輸入に頼るほうが日本人は豊かな生活を送れることになる。また、海外の多数の供給源から輸入することで、安定的な供給を実現でき、日本は食料供給の安定度が世界で最も高い国でもある。自給率を高めるべし」とする主張は、国内の農業生産を守ろうとする供給者のエゴイスティックな主張でしかない。 
国は大変な借金財政で、国民1人当たり400万円を超える借金を抱えている。2007年度一般会計予算での公債金収入は25兆4,320億円で、一般会計総額の30.7%に上った。07年度末の普通国債残高は547兆円になると予測されている。 
だからといって、これが「国民にとっての借金」だとか、「将来世代に負担を残す」ということにはならない。なぜなら、国債の保有者(債権者)も国民だからだ。金融資産として見れば、国債は最も安全な資産だから、日本国民は国債という安全な資産を547兆円も持っているほど豊かだとも言える。 
国債発行の問題点は、税に比べて容易に調達できるので、財政支出が放漫になり、無駄な支出が行なわれる危険がある。国債で調達された資金が、将来の日本人の所得を増やすような目的に使われているかどうかを監視し、野放図な国債発行を防止するための制度的裏づけを確保することだ。