竹林の愚人  WAREHOUSE

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疾風怒涛のJAZZオーディオ放蕩生活

2008-01-03 00:46:17 | BOOKS
寺島靖国 「疾風怒涛のJAZZオーディオ放蕩生活」 河出書房新社 2007.08.30. 

スピーカーを購入する人は自分の部屋に合うスピーカーを選ぼうとするだろう。だが、スピーカーに部屋を合わせる。これ式でゆきたいのである。スピーカーが換わると当然好みも変わってしまう。別な新しい素晴らしい音を好きになっていく。 ケーブルはまさにケース・バイ・ケース。まわりの機器やケーブルと組み合わせて初めていい悪いが言える。それはだいたい姿形に現れていて、細いのは細い。太いのは太い。中くらいのは中城が得意だ。とにかく自分で使ってみるしかない。 家庭用の50Aのほかに、30Aを新設してオーディオ専用の電気を流す。その先がある。玄関口に設置された電気メーターのその先に電柱がある。その電柱から何軒かに電気を供給している共用トランスにはいろいろな雑音が入ってくるので、専用のトランスを設ければ6600Vの電流の雑音が66分の1に減る。よって素晴らしい音質を得ることが可能になる。  そこで、トランスから屋内に入っている50メートルもある引き込みケーブルもオーディオ用に、分電盤も高級機に換え、費用は100万円以内。家の前の路地を丸一日封鎖し、大の男が5人がかりで12メートルの電柱を建てたのだ。 聴く人聴く人、みなさん口裏を合わせたみたいに、よくなったという。音のバランスが取れて優等生になってしまった。オーディオとは「バランス」であり、「ジャス・オーディオ」はどこかバランスを欠いているが、その欠点が逆に魅力につながっている音、とでもいおうか。私は自分の好きな楽器を局部的に抽出し、拡大して喜ぶ偏奇的マニアなのだ。 ハイハットの「ズジャーン」はライブで聴くと思いのほか音が大きい。にもかかわらず、録音技師の目に留まらず、残念にも中音でしか捉えられていないのが現状だ。それが、ようやくライブ音の3分の1くらいに近づいたというのに、今回バイバイと手を振ってはるか彼方に去って行ったのである。これを悲しいと言わずしてなんと言えばいいのか。