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中国危険産物取り扱い読本

2008-01-27 06:12:44 | BOOKS
椎名 玲 「中国危険産物取り扱い読本」 KKベストセラーズ 1007.10.15. 

1955年(昭和30年)に発生した森永ヒ素混入ミルク事件は岡山県を中心に、中毒患者1万2131人、死亡者130人という大量の犠牲者を出した。犠牲者はいたいけな乳幼児だ。 
事故の原因は、森永乳業徳島工場でドライミルクを作る過程で、ヒ素を含む第2リン酸ソーダを「乳質安定剤」として原料牛乳に使ったことから起きた。 
安徽省早陽市では、2003年4月から10月にかけて悪質な粉ミルクを飲んだ多数の赤ちゃんが発病、死亡するという事件が相次いだ。市場で売られている粉ミルクを調べたところ、全体の6割を占めるおよそ50種類が不合格商品だった。悪質な粉ミルクの被害は全国各地に及び、60人近くの赤ちゃんが死に至った。 
いったい、中国ではどれだけの違反食品や偽装食品が出回っているのだろうか。2004年、中国国家工商行政管理総局によると、食品の安全に関する法律違反の疑いで摘発された業者は中国全土で395社、押収された「ニセ食品」ブランドは5,581個を上回る。2007年の検査では有害物質が検出されたり、基準に満たないとして摘発された食品は2万3000点以上。粉ミルク、米、小麦粉、肉、ビスケット、シーフード、醤油、菓子など、国内で幅広く消費されている食品から、工業潤滑油、ろう、発ガン性のある化学物質などが続々と見つかっている。 
しかし、危ないのは中国産だけではない。ベトナムやタイ、インドネシア、フィリピン、韓国、マレーシア、インドなどのアジア諸国からも、食品衛生法に違反する食品が続々と見つかっている。 ニセ粉ミルク事件や、農薬の中毒が続く、今の中国の現状を見ていると、40年前の日本の姿を見るようである。森永ヒ素混入ミルク事件、ズルチン中毒事件、カネミ油症事件など、食品にまつわる事件は日本の歴史を振り返ってみても数多くあった。 
実は中国に危険な農薬を運びこんだのも、日本や米国をはじめとする先進諸国だ。そして中国に深刻な土壌汚染や水質汚染を生じさせた企業も欧米諸国の企業だ。 農業の場合、日本が種や苗、肥料、農薬や機材を中国に持ち込み、栽培や養殖技術を教えこんだ。シイタケの菌床栽培を教えたのも日本人であり、ホルマリンの消毒を教えたのも日本人である。 
金儲けに目がくらみ、中国で、さんざん悪さをしてきた日本企業や欧米の企業は、中国当局の規制強化や、人件費が上がってくると、今度はミャンマーやアフリカ諸国にまで手を伸ばしている。