中村 剛 「リンリンの繁殖断念、新パンダ獲得調査へ…上野動物園 」 読売新聞 2007.12.08.
東京都は、上野動物園の「リンリン」(オス)による繁殖を断念し、新しいパンダの獲得を進めることにした。
中国は現在絶滅の危険があるとして贈与をやめている。ワシントン条約で商業取引も禁じられており、繁殖のための共同研究として借りるしかないのが実情だ。
現在、上野以外の国内で飼育されているパンダは、神戸市立王子動物園のオスメス2頭と、和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドのオスメス3頭ずつ。王子動物園の場合、2頭で年100万ドル(約1億1000万円)の「研究費」を支払っている。
上野動物園の昨年度の入園者数は約365万人。人気のパンダがいなくなれば「入園者が大幅に減る恐れもある」。仮に中国側が上野への貸し出しを認めたとしても、高額の負担を迫られる可能性もあり、新パンダ獲得の先行きは未知数だ。リン・ウォーレン
「パンダ貸します」 ナショナルジオグラフィック 2006年7月号
動物園が中国からパンダを借り受けて飼育すると、1年に平均260万ドル(約2億9000万円)の費用がかかる。野生のパンダのは約1,600頭。一方、動物園のパンダは、2005年末時点で世界にわずか188頭だ。
動物園の人気者だけにパンダはどこでも手厚い世話を受け、飼育には年間何十万ドルもの費用がかかる。さらに、パンダを借り受けた動物園はそれぞれ毎年100万ドルを中国政府に提供し、パンダが子供を産むと、子パンダ1頭当たり60万ドルを中国に支払うことが義務づけられている。
中国はこの資金を使って、パンダとその生息地保護のため、自然保護区に通信ネットワークを設けたり、環境保護教育や、竹林の再生計画を練ったりしている。
昨年夏、中国四川省の臥龍(ウォロン)自然保護区では、飼育されているパンダの空前のベビーブームが到来した。雌パンダ11頭が、16頭の赤ん坊を生んだのだ。生まれたパンダは1頭残らず元気に育った。
レンタルパンダが縁となり、本格的な国際協力の可能性が広がり、飼育されているパンダは絶滅の危機から一歩抜け出そうとしている。
25年ぶりのパンダ誕生。
オーストリアにある世界最古の
シェーンブルン動物園で2007年8月23日に生まれたパンダは、自然なかたちでの誕生は欧州初。「福竜(フーロン)」と命名された。