竹林の愚人  WAREHOUSE

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2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

2008-01-11 08:39:39 | BOOKS
西村博之 「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? 巨大掲示板管理人のインターネット裏入門」 扶桑社 2007.07.01. 

'06年10月にグーグルはYouTubeを買収しました。無料のサービスを増やしても、既存のサービスを拡大しても、その先に待っているのは莫大な設備投資だけですが、グーグルはサービスを展開し続けています。それは、広告収入や株式市場で集めたお金の使い道がないからです。上場企業は、お金を集めて何もしないのは許されません。だからグーグルは新しいサービスを買ってくる。その結果、株価が上昇する。 グーグルは企業の標語として「Don't be evil(邪悪になるな)」という言葉を掲げています。この標語は、独占状態で他者に効率の悪いことを押しつけない、ユーザーにサービスを利用してもらううえで、意図的な操作などを行わない、という意思表示です。 しかし、中国版のグーグル検索では、中国政府による言論の制限を受け入れ、検索結果のページを検閲し、問題のあるWebサイトを検索結果の対象から外しています。 この中国の検閲問題について、アメリカ政府関係者に質問を受けたグーグルは「それは政治問題なので、文句があるなら大統領に言ってくれ」と答えたようです。「evil」にならないと言ったものの、クライアントを抱え、検索サービスを広めているうちに、権力の問題に巻き込まれてしまったのでしょう。自分が決めたルールと経済的な利益の選択はどこの企業でもあることです。 グーグルの検索システムがすごいのは、論文において引用される数が多いほど素晴らしい論文であるという100年前から学会で言われている論理を、検索に応用できると気づいたアイディア、企画力です。そして、検索などのアルゴリズムを考え出し、他の会社が追いつく前にサービスを普及させた営業力がすごいのです。 グーグルは、ポータルサイトにグーグルの検索機能を載せると広告費を支払っていました。そして、グーグルは便利だとユーザーに気づかせたあと、グーグルの検索機能を使用するための料金を課金し始めたのです。 これは、かなりの先行投資だったと思われます。もともと他のサイトにすればコストでしかなかった検索を、置いておくだけでお金が入るシステムにしたという発想の転換は素 晴らしいとしか言いようがありません。 時価総額はIT企業ではマイクロソフトに次ぐほどに、グーグルの株は高騰していますが、10年後はその価値を保てているかどうかは、微妙だと思います。 グーグルの収入は広告によるものが大部分です。検査結果に表示される広告の「グーグルアドワーズ」もヤフーの「オーバーチュア」も技術的にはほとんど同じで、グーグルの広告モデルが拡大するということは考え難く、広告費も価格競争になってくるのは時間の問題だと想像できます。