竹林の愚人  WAREHOUSE

Doblogで綴っていたものを納めています。

Google Maps Hacks

2008-01-10 09:51:11 | BOOKS
Rich Gibson & Schuyler Erle 「Google Maps Hacks 地図検索サービスをもっと活用するテクニック第2版」 O’REILLY 2007.10.25. 

2005年2月、Googleが。GoogleMapsの開始を発表し、これにより、インターネットにおける地図の利用や作成の方法が一変しました。 Googleの売りは「入念にデザインされた単純さ」。日本の全国地図、それに検索に関する説明や例が表示され、ここから日本語のインタフェースのままで、他の国の地図を見ることもできます。「GooglMapsはすごい!」と大騒ぎするのは、Googleの企業哲学があげられます。「You can make money without doing evil.(悪事を働かなくても金儲けはできる)」、「わかりやすいインタフェース」、「瞬時にロードされるページ」という項目が「Googleの理念」にあります。 まず、地図検索のボックスがひとつしかない。ある住所が地図上のどこにあるかを調べたいときには、検索ボックスにその住所を入力するだけです。地図を少しずらしたいときでも、マウスでドラッグするだけ。住所以外にも、たとえば、「新宿区 ホテル」と検索をすればその地区のホテルを探してくれます。「航空写真」を1回クリックするだけで、画面は通常の地図から航空写真(あるいは衛星画像)に切り替わります。マウスを使ってのドラッグや、「拡大」「縮小」の小さなアイコンへのポインタ移動が手間だと感じたら、同じ操作をキーボードの矢印キーでもできます。GoogleMapsが登場したおかげで、紙の地図に期待できるものをはるかに超える驚異的な機会が生じてきました。 地図はとにかく正しく、その場所を客観的に表現していると思い込みやすいものです。しかし、本当のところは、地図は現実を反映すると同時に現実を作り出しもするのです。このことは、地図上にあるものを選択するとき、もしくは地図上にないものを選択するときにはっきりします。 たとえば、役所などの地元紹介の地図は、たいてい公園の緑や緑地帯を多く載せていますが、その土地のあまり好ましくない側面については見て見ぬふりをしています。航空写真も単にその場所がどのようであったかの記録にすぎず、画像の選択次第で偏向が生じる可能性は大きいのです。簡単に言ってしまえば、地図は物語を語るのであり、そのため個々の地図製作者は物語をよりおもしろくするために、画像の選択を通じて現実を構成するのです。 物語の中には、ぞっととするようなメッセージを持つものもあり、ワシントンDCのぺンシルベニア通り1600番地周辺の画像を見てみると、原書の準備時点ではホワイトハウスの屋根はどれも判然としませんが、訳者第2版の準備時点では塗りつぶしがなくなっています。米国政府の方針が変わったのでしょうか。 ここで現実の国家セキュリティとセキュリティシアターについて述べておきたい誘惑に駆られますが、世の中には理解できない奇妙なことがあまりにもたくさん起きていますから、黙っておくのが一番でしょう。