激動の2011年も、残すところあと数時間となりました。
3月に起こった想像を超える天災と、それに追い討ちをかけるようなとてつもない人災の発生によって
個人から社会レベルに至るまでが混乱し、振り回され、あるいは分断され、その傷跡が癒えないままの
年越しとなりました。
また、震災以後はtwitterやネット中継の威力が大いに発揮されたと同時に、様々な手段で飛び交う
ネット上の情報について、誰が真偽を保証し、その影響について責任を持つのかという問題についても、
大いに考えさせられたところです。
いまのネットは技術がすごいスピードで発達し、ユーザーが表現する幅も大いに広がっている一方で、
ネット上ではどうしても「反射的」な反応をしがちな分、どのユーザーも自らの立場を省みる余裕に
欠けているようにも思えます。
自由であること、人に先んじることばかりを優先するあまり、ネットで繋がった先の相手を見るゆとりが
なくなりつつあるのではないか・・・というのが、twitterを使い始めて2年目の素直な感触でもあります。
本当に成熟したネット社会というのは、誰でも発信者になれると同時に、誰もが言論に責任を持つことが
当たり前になることによって、初めて実現されるはず。
自戒の意味もこめて、来年はネットとの距離感を改めて検証すべき時期ではないか、とも感じています。
それでも、twitterでのつぶやきを通じて様々な方とつながり、いろいろな経験ができたのも事実。
このところ追いかけている『マイマイ新子と千年の魔法』について、今年は念願の防府訪問と野外上映を
体験することができ、さらにスタッフや地元の皆さんと交流を深めることができましたが、それもやはり
twitterからの情報によるところが大きかったです。
防府訪問の際には、震災後に読み直して力づけられた『この世界の片隅に』の作者であるこうの史代先生にも
お会いできたし、自分にとって一番のトピックは今年もやっぱり『マイマイ新子』関係でした。
さらに片渕監督との関連で『空とぶゆうれい船』をはじめて見られたのも、大きな収穫のひとつです。
マイマイは自分にとって出会いの作品であり、それはこれからも変わることがないんだろうと思います。
アニメのイベントは他にもいろいろ行ったけど、印象的だったのは攻殻SAC関係とUN-GOのイッキ見。
こんな時代にアニメとして何ができるか、ということを真剣に考えた作品は、見ていて力づけられます。
その意味では、1年を通して「過去からの罪と罰、そして解放」を問い続けた『輪るピングドラム』も
シュールな映像と相まって見応えのある作品でした。
SF関係では、なんといってもSFセミナーの内容が濃かったです。
上田早夕里先生や巽孝之先生から直接お話を伺えたのは、貴重な思い出となりました。
改めて『ダールグレン』邦訳刊行と『華竜の宮』日本SF大賞受賞を祝したいと思います。
このサインも、大切な宝物になりました。
あ、水鏡子先生と深夜の『大帝国』談義で盛り上がったのも、あの夜の忘れがたい記憶です(笑)。
美術もいろいろ見たけど、質・量ともに圧倒されたのは『酒井抱一と江戸琳派の全貌』。
磯江毅展や犬塚勉展など、リアリズム作品の秀逸な展覧会もありました。
社会も人心も不安定な時期こそ、美術によって心を落ち着けることも必要ではないかと思います。
そして美術に限らず、こんな時代こそ小説や映像によって語られる物語が必要とされ、
さらにその力が試されるときではないか、とも感じてます。
裏返して言えば、それらを受け止める我々の力も、また試されているのかもしれない。
2011年は現実に打ちのめされ、みんなが力をあわせることによって立ち直っていく過程の年でした。
2012年はその経験を糧にして、新たなステージに進む年にしたいものです。社会も、そして我々も。
それでは、今年一年お世話になりました。みなさまも良いお年をお迎えください。
3月に起こった想像を超える天災と、それに追い討ちをかけるようなとてつもない人災の発生によって
個人から社会レベルに至るまでが混乱し、振り回され、あるいは分断され、その傷跡が癒えないままの
年越しとなりました。
また、震災以後はtwitterやネット中継の威力が大いに発揮されたと同時に、様々な手段で飛び交う
ネット上の情報について、誰が真偽を保証し、その影響について責任を持つのかという問題についても、
大いに考えさせられたところです。
いまのネットは技術がすごいスピードで発達し、ユーザーが表現する幅も大いに広がっている一方で、
ネット上ではどうしても「反射的」な反応をしがちな分、どのユーザーも自らの立場を省みる余裕に
欠けているようにも思えます。
自由であること、人に先んじることばかりを優先するあまり、ネットで繋がった先の相手を見るゆとりが
なくなりつつあるのではないか・・・というのが、twitterを使い始めて2年目の素直な感触でもあります。
本当に成熟したネット社会というのは、誰でも発信者になれると同時に、誰もが言論に責任を持つことが
当たり前になることによって、初めて実現されるはず。
自戒の意味もこめて、来年はネットとの距離感を改めて検証すべき時期ではないか、とも感じています。
それでも、twitterでのつぶやきを通じて様々な方とつながり、いろいろな経験ができたのも事実。
このところ追いかけている『マイマイ新子と千年の魔法』について、今年は念願の防府訪問と野外上映を
体験することができ、さらにスタッフや地元の皆さんと交流を深めることができましたが、それもやはり
twitterからの情報によるところが大きかったです。
防府訪問の際には、震災後に読み直して力づけられた『この世界の片隅に』の作者であるこうの史代先生にも
お会いできたし、自分にとって一番のトピックは今年もやっぱり『マイマイ新子』関係でした。
さらに片渕監督との関連で『空とぶゆうれい船』をはじめて見られたのも、大きな収穫のひとつです。
マイマイは自分にとって出会いの作品であり、それはこれからも変わることがないんだろうと思います。
アニメのイベントは他にもいろいろ行ったけど、印象的だったのは攻殻SAC関係とUN-GOのイッキ見。
こんな時代にアニメとして何ができるか、ということを真剣に考えた作品は、見ていて力づけられます。
その意味では、1年を通して「過去からの罪と罰、そして解放」を問い続けた『輪るピングドラム』も
シュールな映像と相まって見応えのある作品でした。
SF関係では、なんといってもSFセミナーの内容が濃かったです。
上田早夕里先生や巽孝之先生から直接お話を伺えたのは、貴重な思い出となりました。
改めて『ダールグレン』邦訳刊行と『華竜の宮』日本SF大賞受賞を祝したいと思います。
このサインも、大切な宝物になりました。
あ、水鏡子先生と深夜の『大帝国』談義で盛り上がったのも、あの夜の忘れがたい記憶です(笑)。
美術もいろいろ見たけど、質・量ともに圧倒されたのは『酒井抱一と江戸琳派の全貌』。
磯江毅展や犬塚勉展など、リアリズム作品の秀逸な展覧会もありました。
社会も人心も不安定な時期こそ、美術によって心を落ち着けることも必要ではないかと思います。
そして美術に限らず、こんな時代こそ小説や映像によって語られる物語が必要とされ、
さらにその力が試されるときではないか、とも感じてます。
裏返して言えば、それらを受け止める我々の力も、また試されているのかもしれない。
2011年は現実に打ちのめされ、みんなが力をあわせることによって立ち直っていく過程の年でした。
2012年はその経験を糧にして、新たなステージに進む年にしたいものです。社会も、そして我々も。
それでは、今年一年お世話になりました。みなさまも良いお年をお迎えください。