一杯の水

動物であれ、人間であれ、生命あるものなら誰もが求める「一杯の水」。
この「一杯の水」から物語(人生)は始まります。

「限定的添性(ウパーディ)」

2005年08月31日 00時09分57秒 | インド哲学用語集
アートマンは唯一・不変・常住であるが、あたかも水晶が、青や黄色等の色が近くに置かれると異なった宝石に見えるように、無明の状態において、アートマンの本質を見えなくさせる様々な要素を「限定的添性」という。

これには次の6種があげられる。
・粗大な身体…いわゆる肉体。死に際して滅するもの。
・微細な身体…微小にして透明、アートマンに随伴して輪廻し、解脱したときに消滅。
・主要生気…5つの作用を持っており、呼気、吸気、媒気(呼気と吸気をつなぐ)、上気(死の際にアートマンを身体から導き出すもの)、等気(消化の働きをなすもの)。
・5種の行動器官…語、手、足、排便器官、生殖器官。
・5種の感覚器官…聴覚、触覚、視覚、味覚、臭覚。
・内官…心(manas)や統覚機能(buddhi)など。シャンカラは、大抵の場合、心と統覚機能の2種を同義と捉えるが、区別して語る場合もある。また、内官と心が同義の場合もある。
さらに、行動機官、感覚器官、内官といわれる器官(indriya)には、それぞれの支配者であり監視者である、神霊が存在する。(「ブラフマ・スートラ」2,4,14、および「シャンカラの思想」中村元、515頁)

なお、「限定的添性」は、前田専学博士の訳であり、中村元博士は「限定的制約」、「付加的制限」等と訳していらっしゃる。

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