一杯の水

動物であれ、人間であれ、生命あるものなら誰もが求める「一杯の水」。
この「一杯の水」から物語(人生)は始まります。

「戦争と平和」完読!

2006年02月01日 15時23分43秒 | BOOK
一年半にわたって、こつこつと読み続けてきたレフ・N・トルストイ作『戦争と平和』(岩波文庫版 全4巻)を昨日読了いたしました!

どうせ一巻の途中で挫折するだろうと覚悟して読み始めたのですが、案に相違して、主人公の一人である「アンドレイ・ボルコンスキイ公爵」が、ナポレオン軍の砲弾に倒れ、天を仰ぐ場面から、その素晴らしい描写にぐんぐんと引き込まれていきました。

5百人の登場人物を描き分けたといわれる「戦争と平和」。
さすがにその描写力は、内面、外面問わず、素晴らしいものがありました!
自分が経験したことが無いことであっても(多分、一生経験することが無いだろうことまでも)、これまた、内面外面にかかわらず、「確かにあり得る」という強い説得力を持って迫ってきます。
ナポレオン軍のロシア侵入という災禍に見舞われたロシア貴族の悲哀と没落とロマン、そして成長。大事件と些細な出来事、そして生ける者と死せる者の影響が、等しく次の世代に受け継がれていく歴史とその姿が、全編を通して淡々と、そして丹念に綴られていきました。

このような、内面と外面が緊密に結びついた、トルストイが描いたこの世界は、映像で表現するには、トルストイに匹敵する大手腕を必要とするのでしょう。

かの「小林秀雄」は、『戦争と平和』(「小林秀雄全集」第7巻所収)という文章の中で次のように語っています。
「これは、トルストイが、『戦争と平和』を書いたときに彼の剛毅な心が洞察したぎりぎりのものではなかったか。戦争と平和は同じものだ、という恐ろしい思想ではなかったか。 ……中略…… 戦は好戦派というような人間が居るから起こるのではない。人生がもともと戦だから起こるのである」と。

次回はオードリー・ヘップバーン主演のハリウッド映画、「戦争と平和」について書いてみたいと思います。

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私は「米川正夫訳」(改訂版)で読んだのですが、絶版なのでしょうか?
戦争と平和〈1〉

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小林秀雄の代表作のオンパレード!
静かな美しさが心を打ちます。
小林秀雄全集〈第7巻〉歴史と文学・無常といふ事

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上記全集の後半部分が収録されている廉価版です。
「脚注」もつき、とても助かります。
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