一杯の水

動物であれ、人間であれ、生命あるものなら誰もが求める「一杯の水」。
この「一杯の水」から物語(人生)は始まります。

「インド夜想曲」

2005年06月26日 11時11分26秒 | cinema
書こう書こうと思いながら、なかなか書けなかった「インド夜想曲」。
カテゴリー「cinema」の第一弾です。

インドで「失踪した」という友人を探しにインドを訪れた主人公が、手がかりをたどって、ボンベイ、マドラス、ゴアなど、主に南インドをさすらう物語です。
舞台はインドなのですが、主人公の狭い枠から眺められたインドではあります。

友人の恋人でもあったボンベイの娼婦から「友人失踪」の手紙を受け取った主人公ロシニョル氏は、まず、その娼婦とコンタクトを取ります。
その娼婦の話では、当時の友人はかなり心身に変調をきたしていたとのこと。
この深刻さが主調音となって、暗喩に満ちた物語は進んでいきます。

暗い場面が多く、手がかりの少ない友人を探すので分かりにくい映画です(笑)
その分、明るい昼の場面は強く印象に残ります。

友人を探しながら、ついには自分探しの旅であったと主人公は気がついていきます。
さまよっている自分の魂をかかえ続いていく旅です。

では、心身に変調をきたすほど友人が悩んでいたのは何か、たぶん世俗化していく自分との葛藤だったのでしょう。自分の魂のルーツを求めてインドを訪れた彼は、世俗化していくことによって安定を見出してく、彼にとっては、それはごまかしや堕落と感じたのかもしれません。

最後のシーンで、主人公は友人と出会い、そして理解します。
そして、互いを煩わすことなく、二人は別れて行きます。

――――――――――――――
なお、「インド夜想曲」は、tokiさんのサイト「音楽とペーパーバック」内の「アントニオ・タブッキ」で、原作とともに、tokiさんご自身のインド体験を交えながら丁寧に紹介されています。

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