残照日記

晩節を孤芳に生きる。

偶然の一致

2010-11-28 08:57:20 | 日記

 当然あり、自然あり、偶然あり。
 君子はその当然を尽くし、
    その自然に聴(任)せ、
    その偶然に惑はず。(「呻吟語」)

∇オバマ大統領が、友人とバスケットボールのプレー中に、唇を12針も縫うけがをしたとのことだ。先の中間選挙で共和党が過半数の議席をとり、民主党が歴史的大敗を喫したばかり。まさに「踏んだり蹴ったり」「泣きっ面に蜂」だ。思えば世界中の耳目を集め、鉦太鼓を鳴らして誕生したオバマ大統領だった。それが今ではどうだ。米世論調査会社ゾグビーが行なった調査結果によると、オバマ大統領の支持率は過去最低の39%、不支持率は最悪の60%に達し、大統領の2012年の再選は「危険な状況にある」とされている。(11/23共同通信) ふと我が民主党政権にも共通する「何か」があるような気がし出した。

∇自民党政治への不満が爆発して民主党が圧勝したのも束の間、現在は「カネと政治」不信、外交問題を機に晒した大臣等の失言の数々、内閣の危機管理の甘さ等々が立て続けに重なり、管首相のリーダーシップが厳しく問われている。新聞各紙の世論調査によれば、最近の内閣支持率は20%台前半、不支持率が60%台にのぼる。政権維持ができるかどうかの目安とされる“危険水域”に入った。早くも「12月末内閣改造」説や「1月解散」説が取沙汰されている。偶然なのだろうが、米「民主党」で起きていることが同時に日本「民主党」でも起きている不思議。今年は、日米同名の「民主党」なる団体の“年回りが悪い”のかもしれない。──ふと、寺田寅彦の「藤の実」という随筆が脳裏を掠めた。

∇ある日のこと、寅彦宅の庭の藤棚の藤豆が突然はねて、その実の一つが飛んで来た。家の者の話によれば、藤豆は午後一時過ぎから四時過ぎごろまでの間に頻繁にはじけ、庭の藤も台所の前のも両方申し合わせたように盛んにはじけた、という。寅彦は銀杏の葉が散るときも、椿の花が落ちるときも似たような現象に出くわした。又、<先日宅(うち)の子供が階段から落ちてけがをした。それで、近所の医師のM博士に来てもらったら、ちょうど同じ日にM氏の子供が学校の帰りに道路でころんで鼻頭をすりむきおまけに鼻血を出したという事であった。それから二三日たってから、宅の他の子供がデパートでハンドバッグを掏摸(すり)にすられた。そうして電車停留場の安全地帯に立っていたら、通りかかったトラックの荷物を引っ掛けられて上着にかぎ裂きをこしらえた。その同じ日に宅の女中が電車の中へだいじの包みを置き忘れて来たのである。>

∇似たような出来事が場所を違えて同じ日に起こる。類似の事件がA市とB市、そしてC市とたて続けに起こる。不思議なようで、現実にはそのような現象がよく起きる。α家に不幸なことが続いたり、火事の発生、介護疲れで老夫婦が殺傷する事件、ひき逃げ事件、学校教師の盗撮、飛行機の墜落事故等が同時にあちこちで起きたりする。 寺田寅彦は、このように、藤の実がいっせいにはじけたり、人間がけがをしたり、遺失物をしたり、あるいは飛行機や汽車などの事故が重なるのは、科学の立場から見れば全く偶然なのだろうが、古くから忌日とされる「悪日」「さんりんぼう」といったものも、一概に「迷信」で片付けられるものではないのではないか、と言っている。「柳の下に泥鰌が二匹」いたり、「二度あることは三度ある」のが実は普通なのかもしれない。現内閣や民主党の将来は、オバマ政権の動向を注視することで分る? 尤も、それまで政権が持てば、の話だが。呵呵大笑。