バンビの独り言

バンビことけーちんの、あくまでも「独り言」デス☆

酪農家の友達の思いを聴いて下さい

2011-04-26 00:36:00 | 地震・原発事故
うちの長女が「極度の犬アレルギー」と分かって飼い犬を手放さなければならなくなった時、成犬になったゴールデンレトリバーを、快く「うちで飼ってもいいよ」と言ってくれた、とても温かい人柄の牧場経営の友達夫婦がいます(我が家の救世主でした)。

その友達(夫さん)からのメッセージを抜粋して転載します。
……………

どうしても酪農家としてお話ししたいことがありメールしました。

最近になって、ようやく報道などで取り上げられるようになった制限区域内にいる動物たち。
とかく犬や猫などのペットたちは、飼い主や動物愛護団体などから助け出されたりしております。

しかし・・・。
現地には、沢山の牧場があり、半径20キロ圏内には、2万頭を超える牛や豚、馬たちがおります。
政府が制限区域を設け、自主避難を促した際も、最後まで残った人たちのほとんど
が、「動物たちを見捨てるわけにはいかない。」と身の危険を顧みず残った、畜産農家たち家族とその関係者でした。

避難命令がだされても、多くの農家が、避難所から片道10~20キロという道のりを毎日通い、家畜たちに、ライフラインの止まった農場へ、水やわずかな餌を運び、餓死寸前の牛たちに餌を与えてきたそうです。
乳牛は、毎日大量の水を飲み、毎日30キロほどの餌を食べ、また毎日欠かさず乳を搾らなくてはならないので、
真っ先に衰弱、餓死していきました。
人の手を介さなくてはなかなか育たない、子牛たちも・・。
(春は牧場にとって出産のシーズンです。どれほどの子牛たちがお腹を空かしたまま死んでいったことか・・。)
そして肉牛や馬たちも、おなじ運命をたどっています。

地震を逃れ、本来なら助かっていた動物たちの命が・・・。そう思うと、同業者としてとてもつらくて・・。

昨年の今頃、宮崎県で口蹄疫が発生し、実に20万頭という牛や豚たちが殺処分されました。
たった1頭でも、農場で口蹄疫が発生したら、その農場の動物をすべて殺さなくてはならない現実は、同じ畜産農家として、本当に辛かった・・。

でも、あの時殺された牛や豚たちは、もしかしてまだマシだったかもしれない・・。
最後の最後まで、農家の人たちが精いっぱい面倒をみて、自衛隊の人たちが埋葬するまで、農家の人たちは、皆最後まで見届け、死んでいった動物たちに手を合わせた・・。

でも、今回の原発事故に関しては、半径20キロにある農場の家畜たちには、あの時、全国から集められた安楽死させる獣医師も、埋葬してくれる自衛隊の人たち
もいない・・。

水も飲むことも出来ず、ただ静かに餓死していくのを待つだけ。
出荷され、肉となる家畜たちなら、我々農家もあきらめはつく。
しかし、餓死…こんな残酷な死に方があるのだろうか。

農林水産省が、家畜たちの移動を検討しています。
報道では、いくつかの受け入れ先が、可能なのでは・・?とか。
でも、実際はとてもハードルは高いと思います。
この報道を聞いて、うちの牧場も福島から、牛を受け入れしたいと思いました。
しかし、現実は風評被害という大きな壁があります。

牛乳というものは、個々の農家が、牛乳会社に収めるのではなく、一元集乳多元販売といって、県内すべての牛乳を、一度その県の酪農組合が集め、それぞれの乳業メーカーへおろします。
このシステムは全国共通で、どの県も、酪農組合が乳業メーカーへとおろします。
だから、農家個人が何とかしたい!と思ったところで、その県すべての農家や、そして乳業メーカー、そして給食で使う学校やその保護者たち。
すべての人たちに、「うちには、福島からきた牛がいます」と説明できるだろう
か・・・。
特に牛は、BSE以降、個体識別制度が定められ、どこで生まれ、どこで育ち、今どこにいる。とまで、日本人の戸籍登録ほどの、制度が現実行われており、インターネットで誰もが回覧できます。
風評被害をおそれるメーカーは、絶対に受け入れを許さないでしょうね・・。

私は原発が良いか悪いかは、未だはっきり言い切れません。
ただ、一つだけ言えること。それは、都市や工業中心だけの考えでは、日本を支える食や命というのもは絶対に見えないということ。
東京の電力の20%が福島の原発で補っているということをはじめて知りました。
震災にあった地域では、少しずつではあるけれど、支援の手が届き、水や食糧が渡るようになった。多くの人々、企業や大物実業家などが、沢山の義捐金を送っています。
タレントさんまでもが、支援活動をしている。

でも、半径20キロ圏内の餓死するのを待つ動物たち。
農家の人たちが、「最後に、放してやりたい」そう思っても、もし牛たちが原発作業の邪魔をしてしまったら・・。
そう思うとそのままにしておくしかないと言ってました。

こんな現実があることを、どうか知っていてほしいなと思いました。
最後まで読んでくれてありがとう。

なお、アドレスはyoutubeにあげられた餓死していく牛たちの映像です。
かなり衝撃的ですので、気分を害すようでしたら、見ない方がいいかもしれません。

http://www.youtube.com/watch?v=bmc_l3Wa5o8&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=-kNVWIdWpG0&feature=related

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