‘06/10/16の朝刊記事から
サハリン2 認可取り消し
商慣行に反するロシア 海外からの投資に冷水
記者の視点 ユジノサハリンスク 山野辺 享
ロシア天然資源省が環境対策の不備を理由に、三井物産や三菱商事が参画するサハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に対して事業認可を取り消した問題は、資源の国家管理強化を図るプーチン政権の強権体質を浮き彫りにした。
対ロ投資には、これまでもロシア国内の法律基盤の未整備などが原因で度々トラブルがあった。
同省の天然資源監督局はパイプライン建設工事が森林や河川の環境破壊につながっていると主張。
9月末にサハリン南部の工事現場を視察したミトポリ副局長は「環境破壊は続いている」と述べ、工事の即時中止を求めた。
同事業は産出した石油・ガスを開発企業側とロシア政府が分け合う生産物分与協定(PSA)という契約に基づく。
PSAは1990年代の経済混乱期に海外からの開発投資を呼び込む方法として導入された。
開発企業側は売り上げをまず投資回収に充てることが認められており、実際の利益分配は後回しになる。
政権内で「ロシア側が受け取る利益は遅く、少ない不平等協定」との不満が高まっていることが今回の強硬姿勢の原因になっている。
ロシア当局の指摘通り、開発主体のサハリンエナジー社(ユジノサハリンスク)には環境破壊を未然に防ぐ義務があり、そのための努力を惜しんではならない。だが、事業の許認可権を持つ当局が環境問題を理由に事業中止をちらつかせ、自国の利益を増やそうとする強引な姿勢は国際ビジネスの常識に反する。
サハリンでは、日ロ合弁企業が建設したホテルがロシア側に乗っ取られたケースもある。
サハリン2 認可取り消し
商慣行に反するロシア 海外からの投資に冷水
記者の視点 ユジノサハリンスク 山野辺 享
ロシア天然資源省が環境対策の不備を理由に、三井物産や三菱商事が参画するサハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に対して事業認可を取り消した問題は、資源の国家管理強化を図るプーチン政権の強権体質を浮き彫りにした。
対ロ投資には、これまでもロシア国内の法律基盤の未整備などが原因で度々トラブルがあった。
同省の天然資源監督局はパイプライン建設工事が森林や河川の環境破壊につながっていると主張。
9月末にサハリン南部の工事現場を視察したミトポリ副局長は「環境破壊は続いている」と述べ、工事の即時中止を求めた。
同事業は産出した石油・ガスを開発企業側とロシア政府が分け合う生産物分与協定(PSA)という契約に基づく。
PSAは1990年代の経済混乱期に海外からの開発投資を呼び込む方法として導入された。
開発企業側は売り上げをまず投資回収に充てることが認められており、実際の利益分配は後回しになる。
政権内で「ロシア側が受け取る利益は遅く、少ない不平等協定」との不満が高まっていることが今回の強硬姿勢の原因になっている。
ロシア当局の指摘通り、開発主体のサハリンエナジー社(ユジノサハリンスク)には環境破壊を未然に防ぐ義務があり、そのための努力を惜しんではならない。だが、事業の許認可権を持つ当局が環境問題を理由に事業中止をちらつかせ、自国の利益を増やそうとする強引な姿勢は国際ビジネスの常識に反する。
サハリンでは、日ロ合弁企業が建設したホテルがロシア側に乗っ取られたケースもある。