'08/11/15の朝刊記事から
「妊婦は自粛を」全酒類に表示へ
ドイツ 子に悪影響 調査が裏付け
【ウィーン14日石井群也】ドイツ保健省は、妊娠中の飲酒は胎児に知的障害などの悪影響を与える危険性が高いとして、妊婦に禁酒を勧告する「警告表示」をビールやワインなど全酒類のラベルに記すよう、来秋までに法律で義務付ける方針を固めた。
ベルリン大学シャリテ病院の調査で、妊婦の飲酒によってドイツ国内で毎年四千人の新生児が知的・発育障害を患っている可能性が高いことが分かった。
「知能指数(IQ)が70以下」「注意力が欠ける多動性障害がある」「身長が平均より25%以上低い」「歯や眼球などの発育障害がある」などの特徴すべてを満たすベルリン市内の子供たちを二十年間にわたって追跡調査。母親の飲酒歴を調べたところ、ほぼ100%が妊娠中に毎日ワインをグラス一杯以上、またはビールを五百ミリリットル以上飲んでいた。
同病院は「妊娠後十二週間以内の飲酒は特に危険で、週一回の飲酒でも胎児への影響がある」と指摘。保健省は「妊婦の八割が何らかの飲酒をしていたとの調査もあり、早急な対応が必要」と説明しているが、ビール業界から早くも反対の声が上がっている。
妊娠中や授乳期の飲酒が子供の発育に悪影響を与えるとの報告は各国で相次ぎ、日本は2004年から、大手ビールメーカーなどが自主的に妊婦の飲酒自粛を求めるラベル表示を行っている。フランスではワイン協会との論争の末、〇六年十月から警告表示を義務付けている。