'08/11/15の朝刊記事から
ロシア、中古車輸入制限
関税 大幅引き上げ
自国産業保護狙う 道内業者影響は必至
【モスクワ14日加藤雅毅】ロシア政府は14日、中古車を解体して部品扱いで輸入する「解体車」の関税を一気に三倍以上に引き上げる法律を施行した。自国の自動車産業保護を目的に、日本などからの輸入を制限する狙いがある。「完成車」の関税も近く上げる方向で、道内の輸出業者への影響は必至。日本からの輸入をさらに制限するため、右ハンドル車の輸入禁止法案も下院に提出されている。
十四日の関税引き上げは、完成車よりも格段に関税が安い部品扱いで輸入し、ロシアで組み立て直して販売する手段を「関税逃れ」として認めない措置。
関税は車体一台につき五千ユーロ(約六十二万円)以上とし、一気にこれまでの3ー4倍に引き上げた。
輸入車締め出しのきっかけは、世界的な金融危機を受けた自動車販売の減速。ロシアではトヨタをはじめ各国の大手自動車メーカーの進出が相次ぎ、雇用への影響も大きいことから、シュワロフ第一副首相は「ロシアで生産する自動車メーカーの保護が必要」と、関税引き上げに再三言及してきた。
今後、五年未満の中古車の関税は25%から30%に、排気量に応じて決まる五年以上の中古車の関税も六ー八割引き上げる方向で検討が進んでいる。
また、ロシア下院では与党議員が「輸入車は(右側通行の)ロシアの基準を満たさなければならない」とする法案を十月下旬に提出。成立するかどうかは不透明だが、成立した場合は右ハンドルの日本車が格好の標的になりそうだ。
ロシア関税によると、二〇〇七年の極東の輸入中古車は四十万三千台で大半が日本車。このうち、約二割は解体車だった。ロシアの独立新聞は「ウラジオストクの中古車販売業者の四割は廃業するかもしれない」と報じている。
函館関税の統計では、小樽港など道内からは昨年、約二万四千台がロシアに輸出された。