’08/09/07の朝刊記事から
中国のギョーザ中毒
冷凍庫に保管 持ち出される
【北京6日高山昌行】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、今年6月中旬に中国国内で発生した中毒は、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の倉庫の冷凍庫内に保管されたギョーザを、同社関係者らが食べて引き起こしていたことが6日、明らかになった。
中国公安当局は、同社の元従業員らによる内部犯行とみて、関係者約千人を事情聴取したが、容疑者の特定は難航している。
中国国内で有機リン系の殺虫剤メタミドホスが混入した冷凍ギョーザを食べて中毒症状を訴えたのは4人。
中国筋によると、天洋食品関係者が1月下旬の工場の操業停止後、冷凍庫内のギョーザを持ち出し、元従業員らに「おすそ分け」したほか一部は工場周辺の住民に廉価で販売した。
ギョーザを食べた人は延べ数百人に上り、このうち4人が中毒になったという。
日本で中毒を起こしたギョーザを、あえて食べた理由について、中国筋は「公安当局が当初、『ギョーザの原材料がメタミドホスに汚染された形跡はない』と、中国国内での毒物混入を否定したため、安全だと考えたのではないか」とみている。
天洋食品は今年1月末、日本でギョーザ事件が発覚した後、操業を停止し、3月には生産加工部門の従業員を全員解雇した。
中国公安当局はギョーザの製造、輸送、販売に関わった天洋食品の元従業員や臨時工など約千人を事情聴取した。
しかし、同当局関係者は「最終的には『自白』頼みになる」と捜査の難しさを認めているといい、真相究明へのハードルはなお高そうだ。