’08/10/22付朝刊記事から
6カ国協議 北朝鮮、日本揺さぶり
譲歩狙い排除を主張
【ソウル21日井田哲一】北朝鮮が核施設の無能力化などの見返りとして受け取る重油百万トン相当の経済・エネルギー支援で、日本が拉致問題を理由に応じていない20万トン相当の支援分を他国が肩代わりする方向となったことで、北朝鮮は実利を得ることになった。
今後は、核問題をめぐる六カ国協議から日本を排除する動きを加速させ、日本からの譲歩を引き出したい考えとみられる。
北朝鮮の内閣などの機関紙「民主朝鮮」は21日、六カ国協議で合意した北朝鮮への経済・エネルギー支援に、拉致問題で進展がない限り応じないとする日本を非難。
「日本の協議参加資格を論議する時が来た。日本の参加資格を剥奪するのは至極当然なこと」との論評を発表した。
北朝鮮は、11月にも開催される六カ国協議の首席代表会合で、他国が支援を肩代わりする状況を受け「日本は六カ国が合意した義務を履行していない」(同紙)として、同協議からの日本排除を強く主張するとみられる。
北朝鮮が日本排除の動きに出ても「他の参加国が同調することはない」(韓国外交筋)。
しかし、六カ国協議参加国以外の国が北朝鮮の核問題に関与することで、「六カ国協議の枠組み自体が変化する可能性がある」(聯合ニュース)との指摘も出ている。
一方、北朝鮮にとっても日朝関係を悪化させることは得策ではない。
北朝鮮は日本との関係を改善し国交正常化にこぎつければ、「大きな支援を手にし、危機的な経済状況から立ち直ることができる」(日本外交筋)。
そのため少しでも優位に立つために日本に揺さぶりをかけ、譲歩を引き出す「瀬戸際戦術」を繰り広げているようだ。