‘06/10/24の朝刊記事から
前福島県知事を逮捕
ダム発注 収賄容疑
9億7千万円土地購入させる 東京地検
福島県発注のダム工事をめぐり、受注側に便宜を図った見返りに土地を約9億7千万円で買い取らせ、同額分の利益供与を受けたとして、東京地検特捜部は23日、収賄容疑で同県前知事佐藤栄佐久容疑者(67)を逮捕、共犯として実弟祐二容疑者(63)=競売入札妨害(談合)罪で起訴=を再逮捕した。
実弟も共犯で再逮捕
贈賄側はダム工事を受注した前田建設工業(東京)の元副会長と、下請けに入った水谷建設(三重県桑名市)の元会長水谷功被告(61)=法人税法違反(脱税)罪で起訴=で、既に公訴時効(3年)が成立している。
水谷建設と祐二容疑者側の土地取引疑惑が浮上してから2年近くに及んだ捜査は「知事の汚職」に発展した。
特捜部は公共工事を介した癒着の全容解明を目指す。
身内には絶対君主
最後は「裸の王様」佐藤前知事
前福島県知事佐藤栄佐久容疑者は、大手ゼネコンなどの支援を受けず、清廉さを売り物に49歳で初当選した。
かっての若手知事は18年を経て、建設業者との癒着を問われ、転落。
対外的には「学者肌で穏やか」との人物評で知られるが、実弟や秘書ら身内に対しては、「絶対君主」として振る舞い続けた。
福島県談合事件
福島県発注の公共工事を前田建設工業(東京)などの下請けとして請け負ってきた水谷建設(三重県桑名市)の脱税事件を端緒に、東京地検特捜部が7月からゼネコンや地元建設会社の担当者らから事情聴取するなどして捜査を開始。
9月4日以降、2004年8月に県が発注した下水道工事をめぐる競売入札妨害容疑で佐藤栄佐久前知事の実弟や支援者、東急建設の元東北支店副支店長、地元大手建設会社の会長らを相次いで逮捕、起訴した。