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’08/04/24の朝刊記事から
米産牛肉に危険部位
吉野家向け 輸入再開後で初
厚生労働省と農林水産省は23日、米国産輸入牛肉から牛海綿状脳症(BSE)の特定危険部位の脊柱が見つかったと発表した。
危険部位が見つかったのは2006年7月の輸入再開後初めて。
両省は問題の牛肉を出荷した工場からの輸入を一時停止し、米政府に詳細な調査結果を報告するよう要請した。
この工場は日本向け米国産牛肉の19%を処理しており、流通販売に影響が出そうだ。
ダイエー販売中止
牛肉の出荷元は、日本向けに牛肉処理を行なっている米国の41施設中、取扱量が最多のナショナルビーフ社カリフォルニア工場。
昨年8月、牛丼チェーンの吉野家ホールディングス(東京)向けに大手商社の伊藤忠商事が輸入。
埼玉県内にある吉野家の加工工場で21日に検品作業を行った際、「冷凍ばら肉」と表示された700箱(約17トン)の中に、脊柱入りの腰部の肉1箱が交ざっているのが見つかった。
市場には流通していない。
米農務省が発行した衛生証明書には脊柱の記載はなかった。
農水、厚労両省が在日米国大使館に照会したところ、「(危険部位の入った箱は)日本向けではなかった。詳細は調査中」との回答があったという。
両省は調査結果が報告され、再発防止策が確保されるまで同工場からの輸入を停止する。
脊柱は、BSEの原因物質の異常プリオンがたまりやすく、特定危険部位として輸入が禁止されている。
米国でのBSE発生で03年12月に輸入停止となった米国産牛肉は05年12月にいったん輸入が再開されたが、06年1月に今回と同じ脊柱の混入が判明し、同7月まで再度停止となった経緯がある。
前回、脊柱が見つかった際は衛生証明書に「危険部位を含む」と明記されていた。
このため日本政府は米側に輸入条件の理解が浸透していないとして輸入を全面停止した。
今回は「どの段階かで間違って混入した単純ミスの可能性が高い」(農水省動物衛生課)と判断。
出荷元のみの輸入停止にとどめた。
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’08/04/24の朝刊記事から
輸入条件緩和 見直しか
日本政府が2006年に米国産牛肉の輸入を再開して以降、初めて特定危険部位を含んだ牛肉が見つかったことで、国内の消費者の間で米国産牛肉の安全性に対する不信感が強まるのは必至だ。
対日輸出を拡大したい米国が、日本に輸入条件の撤廃を求め、両国が続けている協議が暗礁に乗り上げる事態も予想される。
米国産牛肉をめぐっては、韓国が18日に輸入制限の段階的な解除を発表したばかり。
「米国が日本に輸入条件の撤廃を迫る環境が一層整った」(政府関係者)とみられていた矢先の問題発覚だけに、米国にとって手痛いミスとなった。
日本は生後20ケ月以下としている輸入の月齢条件を、30ケ月未満に緩和しようとしているー。
米国のキーナム農務次官は昨年12月に来日した際、日本が条件緩和に向け、落としどころを米国に打診していることを明らかにした。
日米の協議は、両国の専門家が米国での牛海綿状脳症(BSE)の管理について、報告書をまとめ上げる段階まできている。
日本政府は、この報告書をうけ、食品安全委員会に条件緩和を諮問するシナリオを描いていたが、今回の事態で対応を練り直さなければならなくなりそうだ。
’08/03/03の朝刊記事から
米農務省 食の安全に無関心?
「へたり牛」問題 鈍い反応
【ポートランド2日枝川敏美】牛海綿状脳症(BSE)感染の可能性がある「へたり牛」が、米国内で流通し、米史上最大の牛肉回収に発展した問題で、「食の安全」に背を向ける米農務省の姿勢が議会で明らかになり、批判を浴びている。米国が日本や韓国に、輸入の全面解禁を求める米国産牛肉の信頼は、大きく揺らいでいる。
今回、問題を起こしたカリフォルニア州の食肉処理会社には、食肉検査法に基づき、農務省の検査員5人が常駐していたが、動物愛護団体の通報まで、「へたり牛」の出荷を見抜けなかった。2月末の上院公聴会で、この点について質問が集中したが、シェーファー農務長官は「調査中」と繰り返すのみだった。不正出荷に対する罰則強化の要求に対し、シェーファー長官は「現状で十分に厳しい」と拒否。さらに、食肉処理団体の幹部が、検査員が不足している現場の実態を証言しても、検査員の増員について否定的な考えを示した。
一方で、長官は、問題を通報した動物愛護団体が「へたり牛」の食肉処理をビデオ撮影してから、通報まで時間を要したことについて「もっと早く知らせるべきだ」と批判、出席者を驚かせた。
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’07/12/13の朝刊記事から
米国産牛肉輸入条件「30カ月」か 撤廃か
日米交渉進まず
米国産牛肉の輸入条件緩和をめぐる日米間の交渉が膠着状態に陥っている。
日本側は「生後20カ月以下」に限定している現在の条件を「30カ月未満」に緩和する方向で調整する意向を米国側に伝えたが、米国はあくまでも月齢条件の完全撤廃を要求する構えを崩していない。
解決の糸口をつかみきれない状況が依然続いており、6月に始まった協議の決着は来年に持ち越される公算が大きくなった。
「不快感を持っている」。
今月7日まで東京都内で開かれた日米の次官級経済対話。
日本側が輸入条件で譲歩する考えを示したにもかかわらず、会合後に記者会見したキーナム米農務次官は終始、不満げな表情だった。
米国は5月に、動植物の検疫ルールを定める国際獣疫事務局(OIE)から「牛の月齢に関係なく牛肉を輸出できる国」に認定された。
日本側に月齢制限の完全撤廃を求めるのは当然というのが米国の姿勢だ。
米国で牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認された2003年12月に、日本は米国産牛肉の輸入を禁止。
06年7月に輸入を再開したが、毎月の輸入量は禁止前の数分の一にとどまっている。
日本向けは月齢20カ月以下で特定危険部位の完全撤去、韓国向けは骨付き肉は不可など、各国の米国産牛肉の輸入条件は異なっている。
このため米国にとっては「作業が煩雑になり、飼料価格の高騰と併せて二重の負担増」(米政府関係者)
日米両国は今年6月と8月に、BSE感染リスクを検討する専門家会合を開催。
日本は「米国のリスクは低下した」と一定の評価を行った。
しかし、感染源とされる牛の脳や脊髄などの特定危険部位を飼料に混ぜることを禁じた「飼料規制」をめぐって、日米の見解はまだ折り合っていない。
米国は1997年に飼料規制を導入したと主張するが、日本は記録などから規制の実効性が確認できるのは2002年前後以降と見ている。
日本側の見方に立てば、規制の効果が出る前に感染した高齢牛の肉が輸入される可能性は否定できない。
それが、全面撤廃に踏み切れない理由の一つでもある。
米国産牛肉を輸入する多くの国が「30カ月未満」を条件にしているため、日本は以前から30カ月未満で落としどころを探り、米国側も同意する可能性が高いとみていた。
しかし、打撃を受けた米国の畜産業界の反発は日増しに強まりつつある。
来年秋には米大統領選があることから、米国側に「軟化の兆しは全く見えない」(日本政府関係者)。
日米両政府は今後、BSEリスクの共同報告書をまとめる方針で、日本は既に文書をまとめて、米国に送付済。
「間もなく提出する」としている米国の回答が今後の行方を左右することになる。
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’07/11/11の朝刊記事から
米国産牛肉輸入 条件撤廃要求へ
米大統領 日米首脳会談で
【ワシントン10日共同】米政府筋は10日までに、ワシントンで今月16日に開かれる日米首脳会談で、ブッシュ大統領が福田康夫首相に対し、米国産牛肉の輸入条件完全撤廃をこれまで以上に強く迫る方針であることを明らかにした。
日本側は「食の安全」の観点から撤廃はできないとの立場を崩しておらず、ブッシュ大統領との初会談に臨む福田首相は難しい対応を迫られそうだ。
日本は生後20カ月以下の牛に限定している現在の輸入条件を、30カ月以下に緩和する方向で調整を進めている。
しかし米国はそれでは不十分だとして、月齢条件の完全撤廃を求めている。
同筋は「大統領が規制撤廃を求める首相は、これで3人目になる」と述べ、小泉純一郎、安倍晋三の歴代首相に繰り返し撤廃を要求してきたにもかかわらず、いまだに進展が得られないことに大統領自身が不満を募らせていると指摘した。
福田首相は「科学的知見に基づき対応する」と説明する方向だ。